【ニューヨークモーターショー16】マツダ ロードスター RF、デザイン秘話…愛着が生んだもうひとつのロードスター

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マツダ ロードスター RF(ニューヨークモータショー16)
マツダ ロードスター RF(ニューヨークモータショー16) 全 18 枚 拡大写真

「このクルマ、何か持っているんです」…マツダ ロードスターの中山雅チーフデザイナーは、RFの開発をそう振り返った。RFはリトラクタブル・ファストバックの略。運命の糸に導かれるように、幾多の困難を乗り越えて生まれた、もうひとつのロードスターだ。

【画像全18枚】

先代にRHT(リトラクタブル・ハードトップ)があったから、新型ロードスターにもそれを用意するのは当初からの方針。しかし新型はAピラーを後ろに引いてロングノーズにしながら、全長を切り詰めている。乗員から後ろが先代よりずっと短いので、先代RHTと同じようにルーフを折り畳んだのではリヤデッキの下に収まらない。

「ホイールベースを延ばせばルーフを格納できるだろうが、理由があって決めたホイールベースだ。延長なんて出来ない」と中山チーフ。「もうひとつの手段はリヤデッキを高くすること。格納スペースが大きくなるし、ルーフの天地寸法が小さくなるので、理屈の上では格納できる。でも、カッコ悪くてカタチにならない」。

「魂動のデザイン」を標榜するマツダである。カッコ悪いクルマを世に出すわけにはいかない。「勇気を持ってRHTから撤退するか、それとも…というところで奥の手を出した」。それが、ルーフを格納してもリヤピラーは残る、という前代未聞のリトラクタブル機構だ。

シルエットはファストバック・クーペだが、格納するのはルーフとバックウインドウだけだからコンパクトに折り畳める。「ホイールベースは延ばさない、荷室は減らさない。そんなあり得ないような条件を固めた結果、このアイデアが生まれた。条件が厳しかったからこそ、これを思い付いたのだ」と中山チーフ。「エクステリアとインテリアの原寸大モデルを制作し、ホントにカッコいいのか、開放感は充分にあるかを確認した。それを役員に提案したら、すぐに『やれ!』となった」。

実は最大市場のアメリカからは、固定ルーフのクーペを要望されていたそうだ。中山チーフがこう語る。「コンパクトなクーペがあったら楽しいのは、クルマ好きとしてわかる。でもマツダのロードスターはオープンでなくてはいけない。それは我々だけのこだわりではないんです。ロードスターに並々ならぬ愛着を持つ人が会社の上層部にたくさんいて、開発チームのこだわりをサポートしてくれた」。

もしかしたらボツになっていたかもしれないプロジェクト。それが世に出たのは、ロードスターを愛する人たちの執念だ。ニューヨークで発表された米国向けMX-5 RFと同じく、日本のロードスターRFも2リットルを積み、17インチを履く。赤茶系の内装色はRFだけで選べ、ソフトトップ車には設定しない。まさに「もうひとつのロードスター」なのである。

《千葉匠》

千葉匠

千葉匠|デザインジャーナリスト デザインの視点でクルマを斬るジャーナリスト。1954年生まれ。千葉大学工業意匠学科卒業。商用車のデザイナー、カーデザイン専門誌の編集次長を経て88年末よりフリー。「千葉匠」はペンネームで、本名は有元正存(ありもと・まさつぐ)。日本自動車ジャーナリスト協会=AJAJ会員。日本ファッション協会主催のオートカラーアウォードでは審査委員長を務めた。

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