【運輸・交通EXPO16】デジタル化から多機能化へ…クラウド移行する運行管理

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ナビタイムではトラックやバスといった大型車に向けて、動体管理ソリューションを提案
ナビタイムではトラックやバスといった大型車に向けて、動体管理ソリューションを提案 全 4 枚 拡大写真

【記事のポイント】
▼多機能なデジタコへの更新ですすむ業務効率化
▼トラックカーナビ登場で、運行計画は次のステップに
▼クラウド化で進むITコストダウンに注目

■運行記録計はデジタル化を経て、多機能化の時代に

 日本経済の悪化が輸送量の伸び悩みという形で、トラック運送業界に影を落としている。近々での改善が望めない以上、企業の競争力を高めるためには業務の効率化が必要不可欠。そこで注目されているのがITの導入だ。

 トラック輸送におけるITの導入というと、一番分かりやすいのが運行記録計(デジタコ)だろう。物流に関わる技術やシステムの展示会「運輸・交通システムEXPO2016」を見ても、近年ではその技術の進化が目覚ましい。

 従来はトラックの速度や走行時間を記録して、それを元に危険運転を検知したり、運転日報を自動作成。さらに、GPSやカメラと連動して、車の状態を遠隔管理するというのが主な役目だった。それに加えて、最近ではアルコールチェッカーとの連動がトレンドとなっている。これなら遠隔地にいるドライバーと電話で中間点呼を行う際に、本当に酒気帯び運転を行っていないか確認できるというわけだ。

 その他、会場ではドライバーの拘束時間管理表を自動作成するデジタコも出展されていた。開発元のNPシステム開発 システム営業 豊田忠弘氏によると、時間管理表は運転開始時間から24時間を1日として計算するため、その時間内に次の運送業務を開始すると、日付が重なり計算が複雑化していたという。そのため、時間管理表の自動作成に対応しているデジタコは少ない。

「もしも事故が起きたときに、一番大きく騒がれるのがドライバーのオーバーワークです。きちんと法に従って業務を行っているか、その証拠として提示できるのが拘束時間管理表になります。運行管理や配車などで手一杯という事業者も多いので、自動集計による負荷軽減は大きいと思います」

■クラウド化で導入すすむ運行計画ソリューション

 トラック運輸のバックグラウンドでは、配車や運行の計画、配送状況の確認、運賃の計算など様々な業務が発生している。このうち、運行管理者泣かせなのが運行計画の制作だ。連続運転を4時間以内に収める必要があり、大型車でも使えるルートや休憩場所を指定するには、勘と経験に頼るところが多い。さらに、復路で追加の積み荷が発生したときなどには、いちいち電話で集配指示を行う必要があった。

 このような状況に対応すべく、運行指示書の制作に特化したのがデータプラスの「指示らくネット」。Google MapのAPIを利用し、国土交通省の安全基準に沿った形で、運転指示書を作成できる。プレミアム版ではドライバーのスマホやタブレット上に運行指示書を表示でき、計画の変更や追加もリアルタイムで行える。

 さらに、“日本初のトラック専用 カーナビアプリ”をうたうのが、16年3月にナビタイムがリリースした「トラックカーナビ」だ。車高や車幅、通行止め規制を考慮したルートを検索できるが、これをトラックの動態管理に利用するソリューションも同時に提供している。

 このソリューションはスマホのGPSを利用し、トラックの場所をPC上で管理するものになる。配送指示もPCから行うことができ、それをリアルタイムでドライバーのスマホに送信。あとは、カーナビに表示されたルートに従って、トラックを走らせるだけでよい。

 こうしたシステムは、従来はオンプレミス(自社運用)が中心だったため、導入費用が大きな負荷になっていた。しかし、近年ではクラウド対応が進むことで、大幅なコストダウンが起きている。例えば、「指示らくネット」であれば、ランニングコストは月額1万5000円から。ナビタイムの「動態管理ソリューション」も月額1万2500円からと中小企業でも導入しやすい。

 15年1月に運行記録計の装着義務付け対象が拡大するなど、安全対策に向けたコンプライアンスの徹底が進められている。こうした動きに対応しながら、いかに運行管理などにおけるコストを抑えるか。今後、物流業界で生き残るために、その対策が求められている。

【運輸・交通EXPO:2】トラックカーナビ、クラウドで月1万円台から!

《丸田鉄平/H14》

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