【VW パサートGTE 試乗】環境性能車であると同時に圧倒的なパフォーマンスも…松下宏

試乗記 輸入車
VW パサートGTE
VW パサートGTE 全 22 枚 拡大写真

『ゴルフ』に続き『パサート』にもプラグインハイブリッド車(PHEV)の『パサートGTE』が設定された。基本メカニズムはゴルフGTEから移植されたものながら、ゴルフとパサートで異なる車格と車両重量の違いに対応して、微妙に異なるチューニングがなされている。

1.4リットルの直噴ターボ仕様エンジンは110kWから115kWへ、また組み合わされる電気モーターは80kWから85kWへと強化されている。システムとして発生できる動力性能もゴルフGTEを上回っていて、その結果としてゴルフGTEより140kgも重いパサートGTEがより俊敏な加速を得ている。

スターターボタンを押してシステムを立ち上げる。室内は静かなままだ。基本が電気だけで走るEモードなので、エンジンは止まったままだ。穏やかなアクセルワークで走れば、50kmほどの距離を電気モーターだけで走れる。

電池の残量が少なくなるか、強めのアクセルワークをすることなどによって、ハイブリッドモードに切り替わる。エンジンが始動しても騒音やショックなどはほとんど感じられず、静かで滑らかな走りが継続される。いかにもハイブリッドらしい走りだ。

ハイブリッドモードにはバッテリーへの充電を優先させるチャージモードもあり、出かけた先でEモード走行をしたいときなどに使える。

クルージング中にアクセルを離すと駆動系が切り離されてコースティング状態に入る。ハイブリッド走行中にはエンジンが停止して惰性だけで走るので燃費も良くなる。これを上手に使うのがパサートGTEの走り方のコツだ。

またカーブの手前でパドルを使ってマニュアルモードで減速し、エネルギーの回生を強めた後で、カーブの立ち上がりでアクセルを踏み込んで加速を楽しむなど、いろいろな“技”が使えるのも楽しい。

特筆されるのはGTEモードだ。コンソールのスイッチを押すとスポーティな走りに切り替わる。エンジンとモーターをいっぱいに使って走るほか、エンジンのレスポンスや6速DSGの変速スケジュール、サスペンションの減衰力などがスポーツ志向に切り変わり、走りが一変する。

電池やモーターの搭載による重量増を全く感じさせず、力強い走りのパフォーマンスが得られるのだ。GTEモードで走っていたら、燃費も悪いものになってしまうが、時にはそうした走りを楽しむことが可能なクルマである。

パサートGTEの価格は519万9000円でガソリン車のパサートTSIハイラインに比べると100万円以上も高い。装備を充実させたアドバンスなら更に60万円高の設定だ。いずれにしてもガソリン代と電気代の差で取り戻せる額ではない。

環境性能車でありながら、同時に圧倒的なパフォーマンスを持つクルマでもあることに魅力を感じるユーザーが、それを意識して積極的に選ぶクルマである。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★

松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。

《松下宏》

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