レベル3を公道で試乗 - ZMP「RoboCar」試乗で見えてきた課題

自動車 テクノロジー ITS
ZMP「RoboCar」試乗会
ZMP「RoboCar」試乗会 全 5 枚 拡大写真

ZMPは2月2日、報道陣向けに自動運転車の試乗会を実施した。東京都江東区のお台場エリアを周遊する20分ほどの市街地コースだ。ドライバーは乗車はしているが緊急時以外は操作せず、基本的に自動運転で走行するもの。レベル3に相当する。

車両に搭載されたセンサーは、カメラをフロントに2台、後方に2台。LiDARをフロントバンパーに3台、リアバンパーに2台、ミリ波レーダー1台、という構成だ。ベース車両はエスティマハイブリッド。

事前に想定された走行コースにおいて、前車への追従走行、交差点で信号を認識して直進及び左折、レーンチェンジ、法定速度の50km/hでの走行を実施した。制約事項としては、対向車線を横切る形の右折と、歩車分離されていない(歩道がない)道路はまだ不可能で、それらは今回のテストコースには含まれなかった。

実際に乗車し走行を体験してみたところ、まず好印象だったのはブレーキの掛け方だ。ブレーキのショックを和らげるような配慮を感じさせる。運転が上手なドライバーほどではないが、安心して乗っていられた。

また交差点での左折も安定してこなしていた印象だ。横断歩道に歩行者がいる場合はきちんと停止し、やり過ごしてから発進する。交差点を通過したあと、前が空いていれば法定速度の50km/hまでスムーズに加速した。

いっぽうで違和感を感じたのは、カーブでの動きだ。予想外に速めのスピードでカーブに進入し、大回り気味に突っ込んだところで減速、そして外側の車線に沿うようにして走る。人間の感覚では、カーブはアウトインアウト、スローインファストアウトになるところ、それにそぐわない走り方をする。

また車線変更についても戸惑うような動きを見せた。お台場エリアは大型トラックやトレーラーの路上駐車が多いため、車線上にはみ出すこともあり、幅員が十分でないと判断する場合もあった。しかし周辺がクリアな状況においても、車線変更の前にグッとブレーキをかけ、減速してからソロソロと車線を変える。

普通の運転感覚であれば、できるだけ周りのクルマの流れを妨げないよう、ブレーキも控えめにしてスムーズに車線を変えることを考えるところだが、そのような走り方には至っていなかった。

そして試乗中に一度、運転手が介入する場面があった。両脇の車線がかすれて消えかけていたところで、クルマは車線を逸脱するような動きをしたため、とっさにハンドルで進路を補正したものだ。同社の取締役で自動運転技術統括の影山浩二氏によると、「車線がかすれたり見えにくかったりすると、難度がとても上がります」とのことだ。

まとめると、法規を守って走るという意味では、右折がまだできないなどの制約はあるが、今回のコースにおいては自動運転が実現できていた。ただ、人間の運転とは違う挙動を時折見せるため、クルマを信頼し、不安なくリラックスして乗っていられるか、という意味では違和感を感じるところもあった。

《佐藤耕一》

日本自動車ジャーナリスト協会会員 佐藤耕一

自動車メディアの副編集長として活動したのち、IT企業にて自動車メーカー・サプライヤー向けのビジネス開発を経験し、のち独立。EV・電動車やCASE領域を中心に活動中。日本自動車ジャーナリスト協会会員

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

アクセスランキング

  1. マツダ、電動セダン『EZ-6』世界初公開、24年発売へ SUVコンセプトも…北京モーターショー2024
  2. 【ホンダ ヴェゼル 改良新型】開発責任者に聞いた、改良に求められた「バリュー」と「世界観」とは
  3. トヨタが新型BEVの『bZ3C』と『bZ3X』を世界初公開…北京モーターショー2024
  4. 中国製部品の急成長で2025年以降日本製の車載半導体は使われなくなる…名古屋大学 山本真義 教授[インタビュー]
  5. タイヤブランドGTラジアルよりオールシーズンタイヤ「4シーズンズ」発売
  6. マツダ、電動SUVをサプライズ公開、コンセプトモデル『創 ARATA』とは…北京モーターショー2023
  7. Sズキが電動マッサージ器を「魔改造」、25mドラッグレースに挑戦!!
  8. 見逃せない! ホイールのブレーキダスト除去術 ~Weeklyメンテナンス~
  9. 郵便局の集配車が「赤く蘇る」、KeePerが8000台を施工
  10. スバルとスカイラインにフィーチャー…第4回アリオ上尾 昭和平成オールドカー展示会
ランキングをもっと見る