【インタビュー】AV・カーナビメーカーが福岡にカスタムカーショップを作った理由…ALPINE STYLE

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アルパインマーケティング代表取締役社長の岩渕和夫氏(左)と、ニューズ 代表の今村仁氏(右)
アルパインマーケティング代表取締役社長の岩渕和夫氏(左)と、ニューズ 代表の今村仁氏(右) 全 26 枚 拡大写真

アルパインマーケティングは4月1日、オートサロン2017での発表どおり、九州の福岡市に「ALPINE STYLE」専門のカスタムマイズカーショップ第1号店となる「ALPINE STYLE オーソライズドディーラー ニューズカーズ福岡」をオープンした。

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アルパインマーケティング 代表取締役社長岩渕和夫氏、第1号店を立ち上げたニューズ代表の今村仁氏に、開店の意気込みとともに「なぜアルパインがカスタムカーを手がけるのか」「その狙いは」といった疑問をぶつけてみた。

業界への危機感から、新たな取り組みへの思いが一致

そもそも岩渕社長がカスタムカーをビジネスで手掛けようと思った理由は何か?

「モーターショーやオートサロンには長年参加していますが、カーオーディオやカーナビは、センターコンソールというスペースのデザインを手掛けるものです。いつかは車1台のデザインをやってみたいと思っていました。また、これらのイベントでは、多くのメーカーからコンセプトカーやデモカ―が展示されますが、それらはどれも買うことができない車です。どうせやるならユーザーの手に入るデモカ―を作ってみたいという思いもありました」(岩渕氏)。

確かにオートサロンで展示されていた車は、このニューズカーズ福岡にも展示され、希望すれば同じ設定の車にカスタマイズすることができる。同店舗は、岩渕社長の言葉を具現しているわけだが、ビジネスとして新しい市場に参入するには、もうひとつの理由もある。

それは「オーディオメーカーとしてのチャレンジの必要性」(岩渕氏)だ。自動車業界全体が厳しい状況に置かれる中、アフターマーケットも変革の波にさらされている。実験的な取り組みではあるが、ターゲットは、アルパイン製品のボリュームゾーンである30~40代の子育て世代とする。そのため「パーツは当然車検対応。BIG-Xで培ったフィット感のあるデザインで主張しすぎない洗練されたトータルデザインを目指した」(岩渕氏)という。

業界の危機感という点では、ニューズの今村社長も同じ認識を持っている。

「カスタムカーを手がけるという話をいただいたのはちょうど1年ほど前の2016年4月。最初はまるで、岩渕社長から168km/hのボールを投げられたように感じました。しかし、業界の5年後10年後を考えると我々も変わる必要があるという認識は常に持っていたので、そこからプロジェクトが始まりました」。

パーツの開発は2016年の夏ごろから始まったというが、その後のスケジュールは、今村社長に「スピード感に本気度を感じた」と言わしめるほどアルパインの動きも速かった。畑違いともいえるバンパーやサイドステップのデザインは、専門家のアドバイスを受けながらも自社デザインにこだわった。BIG-Xシリーズのノウハウ、統一感を出したかったからだ。その結果、2017年1月のオートサロンには4台のデモカ―が完成し、商品化も進められた。

“吊るし”の車には満足できない人へ…

福岡市がAPLINE STYLE専門店の第1号となったのは、アルパインマーケティングとニューズ社の関係に加え、岩渕社長の熱意に共感した今村社長の決意によるところも大きい。その追い風もある。2016年度の新車販売台数が3年ぶりに500万台を超えた。市場全体の活性化に期待が高まる。また、カスタムカー市場は西日本の方が活気づいているとされており、九州では車を通勤に使う人も多い。東京とはちがった車社会がある。

事実、すでに2桁の確定予約を受けており、商談中の案件も進んでいる。このうち何件かは「オートサロンの発表後、現地でデモカ―を見た人やニュースで知った人から、価格も決まっていない段階で問い合わせや注文があった」(今村氏)という。

『ヴェルファイア』や『アルファード』はドレスアップやチューニング車両の定番でもあるが、『ヴェゼル』や『CX-3』は、純正含めてカスタムパーツが少ないところに、アルパインブランドでトータルコーディネートできる点が評価され、こちらも注文や問い合わせが多いそうだ。BIG-Xシリーズを立ち上げたとき、岩渕社長はライバル企業からは「クレイジーだ」と言われたそうだが、今回も潜在的なカスタマイズニーズの掘り起こしに成功。両社長ともALPINE STYLE専門店に手応えを感じているという。

このようなユーザーニーズを今村社長は、次のように分析する。

「本当にコアなカスタムカーは、一部で車の機能をスポイルしている面があります。そこまではしたくないが、ディーラーの『吊るし』はいやだ、という層は少なからずいます。我々は個別のパーツを取り付けるだけでなく、その車の良さとオーナーらしさを引き出すこと。ALPINE STYLEは、そこをうまくついていると思います。新しい『CH-R』も格好いいですよね」。

最後に岩渕社長は、「車種はもっと広げたいですね。SUVに力を入れていきたいと思っています。そのためにはマーケティングをしっかりやり、ユーザーや市場の声をしっかり吸い上げていかなければいけない。汎用品ではなく専用設計だからこそ提供できる価値があります。目指しているのは、ファミリーで楽しめるカスタムカーです。ALPINE STYLEでは、パーツという『モノ』だけではないライフスタイルという『コト』の提案をしていきたいですね」とALPINE STYLEの目指すところを語った。

《中尾真二》

テクノロジージャーナリスト・ライター  中尾真二

アスキー(現KADOKAWA)、オライリー・ジャパンの技術書籍の企画・編集を経て独立。現在はWebメディアを中心に取材・執筆活動を展開。インターネットは、商用解放される前の学術ネットワークの時代から利用し、ネットワーク、プログラミング、セキュリティについては企業研修講師もこなす。エレクトロニクス、コンピュータのバックグラウンドを活かし、自動車業界についてもテクノロジーを中心に取材活動を行う。

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