豊富な鉄道遺産が北海道を元気にする!?…札幌の道庁赤レンガで開催された「北海道の鉄道 過去、現在、未来」

鉄道 企業動向
圧巻だった「北海道鉄道観光資源地図」。車両展示やトロッコ、体験運転など、活動状況はさまざまだが、これだけの「資源」が北の大地に残っていることに改めて驚かされる。
圧巻だった「北海道鉄道観光資源地図」。車両展示やトロッコ、体験運転など、活動状況はさまざまだが、これだけの「資源」が北の大地に残っていることに改めて驚かされる。 全 7 枚 拡大写真

北海道の鉄道は、JR北海道の経営不振で「元気がない」とよく言われる。たしかに、連日流れる「当社単独では維持困難な線区」に関する報道を見るにつけ、「数年先は真っ暗」と思われてもおかしくない状況ではある。

しかし、札幌から遠く離れた陸別町の旧北海道ちほく高原鉄道跡で、気動車の体験運転を行なっている「りくべつ鉄道」が、今年は過去最高の入場者数を記録したという報道を見ると、地域の足としての存在にこだわり続け、鉄道を衰退させていくパターンは時代遅れではないかと思わざるを得ない。

りくべつ鉄道に限らず、民間・地域レベルで北海道の鉄道をもっと知ってもらい、元気にしたいとする活動は、近年、少しずつ実を結びつつある。11月25・26日に札幌市で行なわれた「北海道の鉄道 過去、現在、未来」という企画展も、そのひとつだ。

北海道150年事業にちなんで開催されたこの企画展は、北海道の鉄道の過去から未来までを、豊富なパネルを中心に紹介。鉄道のことに詳しくない人にも鉄道の魅力を伝え、興味を持ってもらうことを目的に、任意団体の北海道鉄道観光資源研究会が主催した。

同会は2014年1月に設立され、北海道で観光列車を運行するためのモニターツアーを実質的に主導し、道南いさりび鉄道の観光列車の立ち上げにも参画した、永山茂さん(日本旅行勤務)が代表を務める。

会では、岩見沢市における旧JR北海道711系電車の保存活動や、長沼町で保存されている旧夕張鉄道のSLの再塗装活動なども手がけており、北海道に残る鉄道遺産を活用しながら、鉄道を元気にしていく方策を模索しているという。

今回の企画展は、そんな活動を広く伝えるという点でも意義があったようで、2日間でおよそ3000人の来場者を数えた。筆者は開催2日目の午後に会場を拝見させていただいたが、子供連れの家族や、外国人観光客なども数多く見かけられた。

とくに、日本最初の鉄道と言われている茅沼(かやぬま)炭鉱軌道で使われていた「日本最古のレール」の前では、「最初の鉄道は北海道だったのか…」と目を丸くしていた方も。これについては諸説があり、鉄道の仲間に入れることに疑問符を付けている人もいるようだが、トリビア的にはかなりの関心を引いていたようだ。

予想以上の盛況ぶりに関係者も驚きを隠せずにいたが、旧北海道庁赤レンガ庁舎という、北海道の超一級観光名所で行なわれたことも大きいだろう。ひとつの任意団体が、官の1等地で鉄道イベントを行なうのは異例のことだが、これも、JR北海道の問題で、深く関与することを期待されている北海道が、鉄道に敏感になってきていることの現れではないだろうか。

会場内では、鉄道模型の大型ジオラマや711系電車の実物シートに人気が集まっていたが、筆者が一番注目したのが「北海道鉄道観光資源地図」。頭ではわかっていたが、地図上に示されると、北海道がいかに鉄道遺産の宝庫であるのか、改めて驚かされる。

広大な土地に加えて、廃止された路線もかなりの数に上っているので、遺産もそれなりにあるのは当然かもしれないが、これだけの「宝の山」が、残念ながら点在しているだけの状態なのは歯痒いばかり。今後は横断的に活用されてほしいと願うばかりで、北海道が取り組もうとしている観光列車への期待が膨らんだ。

代表の永山さんによると、今回の好評ぶりを受けて、早くも来年の開催に向けて意見交換がなされているということで、JR北海道の状況と並行して、いわゆる「外野」的な活動にも目が離せなくなりそうだ。

《佐藤正樹(キハユニ工房)》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. アルファロメオの新型SUV『ジュニア』日本発売に、「420万円はリーズナブル」「マジで美しい」など反響続々
  2. ホンダ N-BOX など7車種1万2653台リコール…過去の改善措置が不適切
  3. ジープ『チェロキー』新型、新写真からリアデザインが判明
  4. トヨタ RAV4 新型の価格は390万~630万円と予想…電動グレード体系に再編
  5. ジープ『レネゲード』2027年モデルに注目集まる…6月のスクープ記事ランキング
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 茨城県内4エリアでBYDの大型EVバス「K8 2.0」が運行開始
  2. 中国EV「XPENG」、電動SUV2車種を改良…新電池は12分で80%充電可能
  3. BYD、認定中古車にも「10年30万km」バッテリーSoH保証適用
  4. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  5. 三菱が次世代SUVを初公開、『DSTコンセプト』市販版は年内デビューへ
ランキングをもっと見る