「器用なAI」状況の変化に応じてアルゴリズムを自分で書き換える…三菱電機が技術発表

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ロボットアームに軽量なAIを搭載し、自分で制御アルゴリズムを書き換える
ロボットアームに軽量なAIを搭載し、自分で制御アルゴリズムを書き換える 全 6 枚 拡大写真

三菱電機は2月8日、同社のAI技術「Maisart(マイサート)」を活用した「器用に制御するAI」を発表した。状況変化を逐次把握し、制御アルゴリズムをリアルタイムで自律的に再設計することが可能なAIだ。

同社 情報技術総合研究所 知能情報処理技術部の三嶋英俊部長が発表会に登壇し、新しいAI技術をアピールした。

三嶋氏はまず、ものづくりの現場が変わりつつある状況を説明した。「生産の自動化は、これまで中心だった標準品を大量生産する時代から、(数多くの品種を、必要な分だけ生産する)マス・カスタム生産へと移行していく。これに対応する生産技術が必要だ。マス・カスタム生産は作業の標準化が難しく、大量生産の手法では生産性があがらない。人と同じように器用でフレキシブルなロボットがあれば、次の生産革命を起こせるのでは、という着眼点からスタートした。」

今回発表された「器用に制御するAI」とは、そのような状況を打開するため、生産現場で活躍するロボットに搭載することで、人のように器用でフレキシブルな働きを可能とするものだ。

デモンストレーションでは、基盤にコネクターをはめ込むロボットアームにおいて、基盤をわざと動かして状況を変化させながら、ロボットアームがその状況変化を学習し、正確にコネクターをはめ込む様子が披露された。

「通常のロボットアームであれば、0.25ミリ以上場所がずれると、コネクタをはめ込むことはできない。しかしこのAIによってロボットアームが状況変化を認識し、制御アルゴリズムを自分で学習していくということが可能となった」

今回のAI技術の新規性については、リアルタイムに状況変化に対応するための軽量化がポイントになった。「コンパクトなディープラーニングアルゴリズムとジェネレーターを組み合わせ、推論値全体を軽量化することによって実現できた。対象物の状況変化に合わせて、少ない計算量でロボットをリアルタイムに動作させる、器用に制御するAIだ」

具体的な商用化時期は明かされなかったが、三嶋氏は「まずは自社の製品に搭載し、差別化するためのアピールポイントとしていきたい」と語った。

《佐藤耕一》

日本自動車ジャーナリスト協会会員 佐藤耕一

自動車メディアの副編集長として活動したのち、IT企業にて自動車メーカー・サプライヤー向けのビジネス開発を経験し、のち独立。EV・電動車やCASE領域を中心に活動中。日本自動車ジャーナリスト協会会員

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