日産とDeNAが自動運転タクシー Easy Ride…2020年台の早期にサービスを実現したい

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向かって左から、日産自動車代表取締役社長兼最高経営責任者の西川廣人(さいかわひろと)氏、ディー・エヌ・エー代表取締役社長兼CEOの守安功(もりやすいさお)氏。
向かって左から、日産自動車代表取締役社長兼最高経営責任者の西川廣人(さいかわひろと)氏、ディー・エヌ・エー代表取締役社長兼CEOの守安功(もりやすいさお)氏。 全 6 枚 拡大写真

日産自動車とDeNAは2月23日、無人運転車両を活用した交通サービス『Easy Ride』の実証実験を、横浜市のみなとみらい地区周辺で3月5日より開始すると発表した。

Easy Rideは、日産とDeNAが共同開発するサービスで、今回の実証実験では、日産グローバル本社から横浜ワールドポーターズまでの約4.5kmのコースを、管制センターの監視による無人運転で往復する。一般モニター300組が参加する予定だ。

発表会では、日産の西川社長がまず挨拶に立った。「横浜市の全面的な支援を得て、大規模な実証実験を行う。新しいモビリティサービスに向けた大きなステップだ。今回は公道を走行するので、周囲のクルマや歩行者から見ていただき、フィードバックを得ながら磨きをかけていく」。

そして、日産にとって今回の取り組みが意義のあることだと強調した。「中期経営計画「M.O.V.E to 2022」にあるとおり、2022年に向けて進化していくために、我々自身だけではなく、それぞれ専門のパートナーと協力していくことが将来に向けて重要であり、今回のようにパートナーと共同発表をすることができたという点でも将来に向けた大きなステップだと考えている」。

つづいてDeNAの守安社長が登壇し、DeNAが交通領域に取り組む理由を説明した。「高齢化などによる移動困難者が増えており、いっぽうで運輸業界の人手不足も深刻な問題になっている。地方の過疎地域だけでなく、今後は都市部でも顕在化してくるだろう。DeNAはこのような交通課題に向き合い、インターネットやAIの力を使って課題を解決していきたい。モビリティサービスにおいて当社は、エンドユーザーが利用する部分や需要と供給をマッチングするアルゴリズムなどのサービスレイヤーに注力しており、C2Cカーシェアリングの『エニカ』やタクシー配車アプリの『タクベル』、ヤマト運輸と取り組んでいる『ロボネコヤマト』、自動運転バスの『ロボットシャトル』を展開してきた」。

そして今回のEasy Rideについて、2020年台の早期にサービスを実現したいとアピールした。「コネクテッドカーや自動運転技術に積極的に取り組んでいる日産とパートナーシップを組むことによって、新しい交通サービスを生み出せる。(日産とは)協業して1年ほどだが、世の中により良いサービスを提供できるパートナーシップになると確信している。2020年台早期のサービス実現を目指し、到来する完全自動運転社会で主役を担えるサービスにすべく、モビリティサービスでの経験を活かして、長期的に育てていきたい」。

日産のアライアンス専務執行役員であるオギ・レドジク氏は、Easy Rideを手掛ける背景を説明した。「交通に関して、グローバルの共通課題として、排気ガス、交通事故、渋滞の問題があり、また日本特有の課題として、過疎化、高齢化、労働者不足がある。また社会のトレンドとしても、繋がり方の変化、シェアリングのカルチャー、外国人観光客の増加という点が挙げられる。Easy Rideはこれらの社会的課題の解決に貢献するものだ」。

最後に、DeNA執行役員でオートモーティブ事業本部長の中島宏氏が説明に立ち、地方自治体や交通事業者との連携が重要だと強調した。「Easy Rideのビジョンは、日産とDeNAの二社だけで実現できるものではない。自治体や地域の交通事業者との連携が不可欠だ」。

「交通課題は地域それぞれで様相が違う。最適なソリューションを提供するためには自治体との深い連携が不可欠だ。また、無人のモビリティを社会実装していくためには、地域にお住いの方々のご理解やご支援が欠かせない。地域への浸透支援という点でも自治体の協力が欠かせない」

「また、自動運転というとタクシーやバスと敵対関係になるとよく言われるが、Easy Rideに関してはそれは間違いだ。補完関係を築きながら進めていく。また交通事業者の喫緊の課題は人手不足だ。Easy Rideを利用して補完的に経営課題を解決していけるはずだ。神奈川県タクシー協会とは役割分担や双方の強みをどう活かすか、勉強会を開催している。ビジネススキームを構築していきたい」

また中島氏は、今後のロードマップを3つのステップに分けて説明した。「(Easy Rideの)ビジョン実現のために3つのステップを想定している。今回の実証実験が1つ目のステップだ。安全を確保しつつサービスを運用し、事業スキームを確立する。次のステップは、限定環境でのサービス提供だ。本格サービスへの移行期間であり、サービスを続けながら出てくる課題を解決していく。地域の提携パートナーの開拓やローカライズをする段階でもある。そして最後は本格サービスの展開。2020年台の早期に実現を目標としている。この手のサービスは一定の品質を超えないと普及しない。そのため充分な台数とエリアカバレッジを意識してく。そして交通インフラとして定着し、地域の交通課題を解決していくことが目標だ」。

《佐藤耕一》

日本自動車ジャーナリスト協会会員 佐藤耕一

自動車メディアの副編集長として活動したのち、IT企業にて自動車メーカー・サプライヤー向けのビジネス開発を経験し、のち独立。EV・電動車やCASE領域を中心に活動中。日本自動車ジャーナリスト協会会員

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