内部の人間でしか語れない、当時の日産の開発現場…ダットサン車の開発史

内部の人間でしか語れない、当時の日産の開発現場…ダットサン車の開発史
内部の人間でしか語れない、当時の日産の開発現場…ダットサン車の開発史全 1 枚

『ダットサン車の開発史』
日産自動車のエンジニアが語る 1939-1969
著者:原禎一
発行:グランプリ出版
定価:1800円(消費税除き)
発売:2018年10月11日
ISBN978-4-87687-359-3

日産やダットサンの歴史を記した本は多くあるが、当時開発に関わったエンジニア自身の手で記された書物は少ない。特に30年に喃々とする開発史は希少といっていいだろう。本書は『ブルーバード(510)』や『フェアレディZ』なども手掛けた原貞一氏が語る日産各車の開発ストーリである。

原貞一氏は1939年に日産に入社。終戦直後から日産吉原工場にて戦前型のダットサンの改良と再生産に努めたという。その後いくつかのモデルを経て、初代ブルーバードを手掛ける。軽量化とともに過酷な走行耐久試験を実施するなどで、設計変更を含め様々な改良を施していった。そこには海外の各競合車を参考しながらもオリジナリティをいかに実現していくかというエンジニアとしての意地が見え隠れする。

また、その後のフェアレディではFRPという素材にトライし、生産化につなげていく。そういった史実をもとに様々な当時のエピソード、社内事情など、内部の人間でしかわからない苦悩なども含め語られている。

巻末にはダットサン関連年表、車種型式別製造期間一覧などの資料も充実している。

本書は原禎一氏が8年前に「ダットサン開発の思い出」を自費出版されたものに、収録写真を加えるなどさらに内容の充実を図り、復刊したものである。

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 待望の新型スズキ『GSX-R1000R』が予告なしの初公開!「3色3様」往年のレーシングカラーで日本市場復活へ
  2. 世界初の「破壊不可能ホイール」って何だ!? テスラ向けパーツ手掛ける米メーカーが開発
  3. 「ミニGSX-R」をスズキがサプライズ発表!? 鈴鹿8耐マシン以上に「サステナブルかもしれない」理由とは
  4. 新型『ムーヴ』『ステラ』のコーナリング性能を向上、ブリッツの車高調「DAMPER ZZ-R」シリーズ
  5. 車検NGの落とし穴!? シート交換で絶対に知っておくべき新ルール~カスタムHOW TO~
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  3. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
  4. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
  5. ブレンボが新ブレーキ開発、粒子状物質を削減…寿命も最大2倍に
ランキングをもっと見る