400ccは絶滅危惧種!? それでも進化するホンダの“ヨンヒャク”…CBR400R 開発者インタビュー

ホンダ CBR400R 新型の魅力を語ってくれた井上善裕氏(左)と古川和朗氏(右)
ホンダ CBR400R 新型の魅力を語ってくれた井上善裕氏(左)と古川和朗氏(右)全 28 枚

かつて日本のバイクシーンを牽引したのは、紛れもなく国産400ccクラスだった。当時「中型自動二輪免許」の枠内最大排気量だったからで、各社こぞってニューモデルを投入した。

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1980年代後半ならホンダ『CBR400RR』や『VFR400R』があり、ヤマハ『FZR400R/RR』、スズキ『GSX-R400/SP』、カワサキ『ZXR400/R』といったレーサーレプリカ勢が出揃い、さらにネイキッド版、アメリカンなどバラエティに富み、まさによりどりみどりだった。

気がつけばモデル数激減の400クラス

ホンダCBR400RR(1987年型)ホンダCBR400RR(1987年型)
しかし、いまはどうだ。カワサキは『Z400』と『Ninja400』の2機種だけで、ヤマハは『SR400』が孤高の存在として生き長らえている。スズキは『バーグマン400 ABS』以外は生産終了と、なんとも寂しいではないか。

そんななか、ホンダはもはや唯一の4発エンジン搭載のヨンヒャク『CB400スーパーフォア』と『CB400スーパーボルドール』の2強を主軸に置きつつ、今春『CBR400R』と「400X」をフルモデルチェンジし新発売。

日本のスタンダードとも言われた「“ヨンヒャク”ここにあり!!」と言わんばかりに、まだまだこのクラスに注力している。

両モデルの開発責任者(LPL)・井上善裕氏(本田技術研究所 二輪R&Dセンター)と、LPL代行・古川和朗氏(本田技術研究所 二輪R&Dセンター)に、車両を目の前に新型車の特徴をアレコレ聞くことができた。まずは「CBR400R」の新旧仕様の変更点をざっと教えてもらった。以下の通りだ。

■CBR400R 新旧仕様変更点
・セパレートハンドル締結位置:トップブリッジ上→下
・フロントカウル:より低く設定
・リアサスペンション(プロリンク):Wチューブ→シングル加圧
・ライディングポジション:アップライト設定→より前傾
・バルブリフト量(IN):7.4→7.4
・INバルブタイミング:0/30→-5/35
・最高出力:46ps/9000rpm(変更なし)
・最大トルク:3.77kg-m/7500rpm→3.87kg-m/7500rpm
・車両重量:194→192kg
・スリッパークラッチ:なし→新装備
・マフラー構造:2パス+エンドパイプ1本出し→2パス+エンドパイプ2本出し
・燃料タンク容量:16→17リットル
・モード燃費:28.2→28.3
・ギヤポジションインジケーター:なし→新装備
・ウインカー:電球バルブ式→LED
・エマージェンシーストップシグナル:なし→新搭載

脱ツアラー路線! 新型はより“CBR”らしく

ホンダ CBR400R 新型ホンダ CBR400R 新型
----:従来型はアップライトなライディングポジションで、ツアラー志向なムードもありましたが、新型はハンドル位置が下がって、フロントマスクもより低く身構えたことでアグレシッブなスタイルになりました。

井上氏:“Sharp and Wedge”をスタイリングコンセプトに、直線基調でスピード感を持たせたフロント/ミドルカウルと、幅を絞り込んだライダースペースによってメリハリをつけて、アンダーカウルを大型化することでよりスポーティなシルエットを実現しています。

古川氏:上半身が約8度より前傾したアグレシッブなライディングポジションとなりましたが、幅広いシーンで使い勝手の良いバランスを追求しました。また、スポーティなシルエットを強調しつつ、軽快な回頭性を獲得しています。

----:大型モデルにひけをとらないボリューム感あるカウルデザインに。

井上氏:導風ダクトや排風レイヤー構造を採用し、ウインドプロテクション性能も確保しながら軽快なハンドリング性能とヒートプロテクション性能を両立しました。

古川氏:ヘッドライト下のダクトを大型化し、そこから流入した空気をエアクリーナーに導入することで低中速トルクの増大に寄与しています。

実用域のトルクやサウンドにも注力!!

ホンダ CBR400R 新型ホンダ CBR400R 新型
----:エンジン吸気系も刷新されたのですね。

井上氏:吸気ダクトまでの経路に部品を配置せず、吸気経路をストレート化し、通気抵抗低減しています。バッテリーを小型化し、吸気ダクト周辺の空間を最大限に確保するなどし、吸気効率を向上。中低速トルクがアップしました。

----:ルックスだけでなくエンジンもパワフルになったと。

古川氏:バルブタイミングやリフト量を見直し、3000~7000rpmでトルクを3~4%向上。市街地のストップ&ゴーから、ワインディングでの軽快な走り、高速道路での追い越し加速などで、キビキビと力強くなっています。

----:ついにスリッパークラッチを搭載しました。

井上氏:CBR1000RRと同構造で、よりエキサイティングなライディングが楽しめるのはもちろんのこと、レバー操作荷重が従来モデルに比べ45%低減。ストップ&ゴーの多い渋滞時や長距離での疲労軽減につながります。

----:サウンドも迫力あるものになりましたね。

古川氏:マフラーのテールパイプを2本とすることで、パルス感とともに高回転でのスポーティなエキゾーストサウンドを演出しました。回転上昇に伴った高周波によって高揚感が増し、吹け上がりが音とともに楽しめます。

見た目だけじゃなく、走りもエキサイティングに

インジェクター変更による燃焼の安定化、スポーティなキャラクターを際立たせる専用のFIセッティング、ドッグ構成を新たにしシフトフィーリングを向上したトランスミッション、大型機種向けの分離加圧式シングルチューブ・リアサスペンション、CAE解析を用いて強度バランスを最適化したシートレールなど改良点を上げたら、まだまだキリのない新型CBR400R。

ひとつ言えることは、より刺激的なスタイルとなっただけでなく、味わえる走りもよりエキサイティングになっているということ。かつてバイクファンらを熱くさせたヨンヒャク版“CBR”。その情熱は最新モデルへ、再び受け継がれたのだ。

ホンダ CBR400R 新型ホンダ CBR400R 新型

《青木タカオ》

モーターサイクルジャーナリスト 青木タカオ

バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク関連著書もある。

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