京急衝突事故のトラック業者を監査…台車亀裂の検査対象については慎重姿勢 国交相会見

9月5日11時43分頃、京急本線神奈川新町駅付近の踏切で発生した快速特急とトラックの衝突事故後の様子。
9月5日11時43分頃、京急本線神奈川新町駅付近の踏切で発生した快速特急とトラックの衝突事故後の様子。全 5 枚

石井啓一国土交通大臣は9月6日に開催された会見で、9月5日11時43分頃に京浜急行電鉄(京急)で発生した踏切衝突事故について記者の質問に答えた。

この事故は京急本線神奈川新町~仲木戸間の踏切で発生。青砥発三崎口行きの快速特急列車と、沿線の道路から右折して踏切に進入したトラックが衝突し、死傷者34人(大臣の発言によると31人)を出す惨事となった。

トラックは遮断機が下りた後も踏切に留まった状態となっていたが、石井大臣は、そのような障害物を検知する装置が正常に作動していたこと、当時、踏切付近にいた京急の社員が非常ボタンを操作していたことを明らかにしている。

この事故を受けて国土交通省では、鉄道局や自動車局、関東運輸局に対策本部を設置。運輸安全委員会から3人の調査官、事業用自動車事故調査委員会から5人の調査員、関東運輸局から4人の職員を現地に派遣し、原因究明にあたらせているという。

9月5日11時43分頃、京急本線神奈川新町駅付近の踏切で発生した快速特急とトラックの衝突事故後の様子。9月5日11時43分頃、京急本線神奈川新町駅付近の踏切で発生した快速特急とトラックの衝突事故後の様子。

石井大臣は「お亡くなりになられた方の御冥福と、負傷された方々の1日も早い回復をお祈り申し上げます」と述べるとともに、9月5日午後にトラック業者に対する関東運輸局の監査を実施したことを明らかにしており、「その結果を今後精査いたしますが、法令違反があれば適切に処分を行ってまいります」としている。

一方、石井大臣は、南海電気鉄道(南海)の50000系電車『ラピート』で発覚した台車亀裂トラブルにも言及した。

南海50000系電車の亀裂が発見された部位とその状況。南海50000系電車の亀裂が発見された部位とその状況。

国交省では、2017年12月の『のぞみ』台車トラブルを受けて、2019年2月に「台車枠の検査マニュアル」を改正し、「溶接部からき裂が進展したときに大事に至るおそれのある箇所等を重点検査箇所に追加すること」と「重点検査箇所の検査方法はJIS等による探傷(たんしょう)検査の実施を基本とすること」を盛り込んだが、南海では発見された亀裂箇所が検査マニュアルの重要検査箇所に入っていなかったため、それを追加するマニュアルの改正が行なわれた。

石井大臣は、この点を全国の鉄軌道事業者に周知させることの徹底、改正マニュアルの対応徹底を指示したとしているが、南海以外の全事業者の車両も検査対象に入れるか否かという質問に対しては、各社で共通している部分は当然あるとしながらも「個別の車両によって異なる部分もありますから、今回の事例を周知して、よく各社で検討していただくということになろうかと思います」と述べ、慎重姿勢を示した。
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南海50000系電車南海50000系電車

《佐藤正樹(キハユニ工房)》

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