懐かしの商用車の歴史を探る…小型・軽トラック年代記

『小型・軽トラック年代記[改訂版]』
『小型・軽トラック年代記[改訂版]』全 1 枚

『小型・軽トラック年代記 [改訂版]』
三輪自動車の隆盛と四輪車の台頭 1904-1969
著者:桂木洋二
発行:グランプリ出版
定価:1980円(本体価格1800円+税)
ISBN978-4-87687-372-2

1904年から1969年の間に生産された小型・軽トラックをフィーチャーした本が刊行された。その内容は現存しないメーカーも含め、貴重な写真を豊富に収録し、詳細に解説したものである。

戦前に日本独特の自動車として発展したオート三輪車をはじめ、戦後にブームとなった軽三輪。さらには日本の経済成長とともに各メーカーが開発にしのぎを削った小型・軽トラック。本書では、トラックの変遷が最も顕著であった1904年から1969年までの小型・軽トラックが、どのように開発されたのかを当時の社会状況を含め、豊富な写真とともに解説されている。

本書で興味深いのは当時の時代背景を捉えたうえで記されていることである。例えば戦前の自動車と法律として現在とは違った点を踏まえながら国産小型車がどのように誕生したのか、そして、富裕層の道楽だった乗用車から、どのようにトラックなどの商用車が普及していったのかが解説されているので、理解がしやすい。

また戦後続々とオート三輪や商用車の市場に参入しては消えていったメーカー、例えば日新工業や明和自動車などが触れられているほか、懐かしのピックアップトラック、ダイハツ『コンパーノトラック』や日野『ブリスカ』などほとんどの商用車が当時の写真とともに網羅されているので、こんな商用車があったなと懐かしく読み進めることも出来よう。

なお本書は、小型トラックとして今に続く歴史を誇るいすゞ『エルフ』が誕生60周年を迎えたことを記念し、『小型・軽トラック年代記』(2006年刊行)から、トラックの誕生からの変遷が最も顕著である第1章から第5章(1904年から1969年)を抜粋してまとめられた。また、巻末には、その間の主要メーカーの沿革一覧を収録して資料性を高め、価格を抑えた改訂版として刊行されたものである。

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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