【第104回インディ500】佐藤琢磨、勝因は「誰もが素晴らしい仕事をした」ことと「みなさんの応援」…最多勝記録挑戦にも期待

インディ500での通算2勝目をあげた佐藤琢磨。
インディ500での通算2勝目をあげた佐藤琢磨。全 10 枚写真をすべて見る

現地8月23日に決勝レースが実施された「第104回インディ500」。自身3年ぶり2勝目をあげた佐藤琢磨が勝因等について語った内容が入ってきた。今後はインディ500の最多勝記録挑戦にも期待がかかる。

米インディアナ州のインディアナポリス・モーター・スピードウェイ、その伝統のビッグオーバルを200周する長丁場の戦いはコロナ禍で異例の8月開催となった。無観客という特殊な環境下でもあるなか、レースが150周を過ぎるくらいまではスコット・ディクソン(#9 Chip Ganassi Racing/ホンダ)の圧勝ムード。インディカー・シリーズ5冠を誇り、インディ500も2008年に制しているディクソンは今回、佐藤琢磨(#30 Rahal Letterman Lanigan Racing/ホンダ=予選3位)の隣である最前列中央(予選2位)からスタートし、主導権を掌握したレース展開を続けていた。

しかし、着実な走りで上位につけていた琢磨が終盤はディクソンに真っ向から挑み、やがてこの戦いを“前”で進めることに成功する。追う側にまわったディクソンはターン4からの脱出が特に速く見え、ホームストレートで再三に渡り琢磨の背後に迫った。だが、もう一押しがなく、琢磨の懸命のディフェンスもあってターン1までに抜き切れない。最後の土壇場で両者の戦闘力はほぼ互角、あるいは琢磨がひっくり返していたか!? いずれにせよ緊迫の攻防が続く。

そして残り5周というところで後方に大きなクラッシュが発生し、レースはフルコースコーション下でのチェッカーフラッグに。琢磨にとって2017年以来3年ぶり2度目のインディ500優勝は、2位のディクソン、3位のグレアム・レイホール(#15 Rahal Letterman Lanigan Racing/ホンダ)とフォーメーションを組んでの静かなゴールで確定することとなったのである。

琢磨が2018年から所属するRahal Letterman Lanigan Racingは今回1-3フィニッシュ。琢磨は2012年にもこの陣営に属しており、当時、インディ500で自身初優勝目前まで迫るがそれを得られず、という経緯もあった。なお、ホンダ勢は今回のインディ500で4位までを独占、シボレー勢を圧倒した。

佐藤琢磨のコメント
「最高のマシンだったと思います。(最終ピットイン周回の違いで)終盤の燃料戦略ではディクソンに1周分の遅れをとっていました。ゴールまでの燃費は少し厳しかったですね。しかし、できる限り燃料をセーブする走りを続け、最終的には最後のバトルが激しくなったとしてもフルパワーで戦える燃料を確保できていました」

「最終グリーンフラッグラップ(レースが競争状態にあった最後の局面)のターン4ではディクソンがずっと(迫って)来ていましたが、信じられないことに僕はそれを抑えることができたんです。(自陣の)誰もが素晴らしい仕事をしてくれました。自分たちのマシンが今日は最強だったと感じています」

「2勝目を飾れるなんて、これもみんなチームの努力のおかげです。彼らは本当に頑張ってくれ、今日も素晴らしいピットストップを行なってくれました。そして今回の勝利はHondaパワーのおかげでもあります。強力なエンジンをホンダとHPD(Honda Performance Development)が作ってくれ、燃費もとても良かったです」

「日本のファンのみなさんは夜中からのテレビ観戦だったと思います。応援ありがとうございました。こうしてインディ500での2勝目をあげることができました。みなさんの応援があることで、インディで走り、優勝することができていると思います。次のレースからも頑張ります」

八郷隆弘ホンダ社長のコメント
「世界3大レースのひとつであるインディ500で2度目の勝利をあげ、世界のモータースポーツの歴史に新たな足跡を残すことになった琢磨選手と、チームおよび関係者の方々、そして、琢磨選手を応援してくださっているファンのみなさまに心から感謝申し上げるとともに、この快挙達成の喜びを分かち合いたいと思います。また、このニュースが新型コロナウイルス感染拡大の影響が続く世の中にとって明るい話題となることを願います。琢磨選手、本当におめでとう!」

ポールポジション発進からインディ500初制覇を狙ったマルコ・アンドレッティ(#98 Andretti Herta w/Marco & Curb-Agajanian/ホンダ)は13位。また、F1モナコGP、ルマン24時間レースとあわせての世界3大レース制覇に王手をかけた状態で臨んだフェルナンド・アロンソ(#66 Arrow McLaren SP/シボレー)は21位だった。

今年のインディ500はNTTインディカー・シリーズの今季第7戦にあたり、琢磨はシリーズランキングでも6位へと上昇。シリーズ首位のディクソンとは128点の差があるが(335対207)、シリーズ3位まではわずか11点差だ。コロナ禍の今季はスケジュールの全容が見えず、残りレース数が未だ確定的ではない状況だが、自身初の年間トップ3入りは充分に視野に入ってきたといえよう。なお、琢磨のシリーズ戦通算の勝利数は6となった(今季1勝目)。

インディ500は1911年に始まり、今年で104回目(開催がなかった年もある)。複数回優勝者は琢磨で20人目とされる。最多勝は4勝で、目下3人。AJ.フォイト、アル・アンサー、リック・メアーズといったレジェンドたちだ。琢磨には今後、これに並び、超えることにも期待がかかる。

琢磨は現在43歳、インディ500の最高齢優勝記録はアル・アンサーの47歳360日(1987年)だ。時代が違うという見方も当然あるだろうが、2017年に琢磨と優勝を争ったエリオ・カストロネベスは琢磨より2歳年長であり、45歳の今年も自身4度目のインディ500制覇(つまり最多タイ記録)を狙い参戦していた(11位)。琢磨は昨年も3位に入るなど、インディ500を得意中の得意としつつあるので、もちろん簡単な話ではないが、今後もチャンスは充分にあるはずだ。

また、インディ500の歴史において連続優勝は2が最高であり、3連覇した者はいないとされる。琢磨にはまず来年(2021年)、自身初の連覇を果たし、再来年(2022年)には史上初の3連覇達成で最多タイ通算4勝目へ。そんなシナリオを(勝手に)描きたくなる、コロナ禍での快挙だった。

[追記] 日本時間24日夜、ホンダから琢磨選手の談話に関する追加発表があった。「第104回インディ500に勝つことができ、言葉にならないくらい、多くの方々への感謝の気持ちでいっぱいです。また、このコロナ禍のなか、多くの方々のサポートがあって今年のインディ500が開催できたことにも感謝します」。琢磨選手の感謝の気持ちがあらためて強調されるとともに、「シリーズの最後までチャンピオンを目指して頑張ります!」という力強い決意も付加されており、今シーズン今後の王座争いにも期待が高まる。

《遠藤俊幸》

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