【アストンマーティン DBX 新型試乗】英国スポーツの“魂”宿るブランニューSUV…河西啓介

ラグジュアリーだが華美ではなく…

イチから作り上げられた専用プラットフォーム

アストン・ファンの期待を裏切らない

アストンマーティン DBX
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ラグジュアリーだが華美ではなく…

アストンマーティン初のSUV『DBX』が日本でも発売された。いち早く試乗することができたのでその印象をお届けしたい。

まず106年歴史を誇る英国のスポーツカー・ブランドがSUVを開発したことに驚く人は少なくないだろう。しかし実際にDBXを見ると、クルマ好きならほとんどの人が感心、感嘆するのではないかと思う。DBXのスタイリング、デザインはしっかりと“アストンマーティンらしさ”を継承しているからだ。

ギュッと引き締まった凝縮感のあるボディは、思っていたよりずっとコンパクトに見える。いやじっさいには全長5m超、全幅2m、ホイールベースも3mを超す巨体なのだが、デザインの妙により、そうは見えないのだ。

アストンマーティン DBX
フロントマスクはヘッドライト、グリルの形状など『DB11』や『ヴァンテージ』の意匠を受け継いでいる。大胆にえぐられたボディサイド、そしてお尻がぴょこんと突き出した“ダックテール”形状のリアセクションが印象的だ。22インチの大きなホイールを優雅に履きこなすサイドビューのスタイリッシュさは、数あるラグジュアリーSUVの中でもナンバー1だと思う。

しかし車内に乗り込んだときの感心、感嘆は、外観を見たとき以上のものがあった。試乗したDBXはパールホワイトのボディ、そしてインテリアは熟成された赤ワインのような、華やかさと渋さが絶妙にバランスしたボルドーカラーで統一されている。

アストンマーティン DBX
シート、インストゥルメントパネルから、ルーフ、フロアまですべて。使われているレザーやウッドはもちろんすべてリアルなもの。その木目ひとつ、ステッチひとつまで手を抜かず仕上げられているのがわかる。ラグジュアリーではあるが華美ではなく、イタリア車ともドイツ車とも異なる、アンダーステイトメントなイギリス車らしい美学に貫かれている。

いちから作り上げられた専用プラットフォーム

アストンマーティン DBX
今回の試乗は市街地に限られたが、走り出してすぐに感じたのはSUVというよりスポーツカーに近いフィーリングだった。DBXのエンジンはDB11やヴァンテージにも積まれる4リッターV8ツインターボで、これはアライアンスを組んでいるメルセデスAMGから供給されたもの。550psの最高出力と700Nmの最大トルクを9速ATを介して4輪に伝え、そのポテンシャルをフルに発揮すれば0-100km/h加速は4.5秒、最高速度は291km/hに達するという。

見た目には実寸よりコンパクトに感じられるDBXだが、運転してみても同様の印象だ。運転席は意図的にタイトな空間が演出され、ドライビングポジションも足を前方に伸ばすスポーツカー的なもの。ハンドル操作に対して遅れなく、スッスッと鼻先が向きを変える。車体の動きがレスポンスよく感じられるのは、その大きさに対して比較的軽く仕上げられていることも影響しているだろう。

DBXは白紙の状態からつくられたSUV専用のプラットフォームを使用している。アストンマーティンがスポーツカーの開発を通じて改良を重ねてきた、アルミの押し出し材を接着して骨格とする構造によるもので、その結果、装備重量を2245kgに収めている。もちろん絶対値としてはヘヴィー級なのだが、基本的に同じエンジンを積む「メルセデスAMG G63」と比較すれば285kg軽いことから、その恩恵が想像できる。

アストン・ファンの期待を裏切らない

アストンマーティン DBX
近年、あまたのスポーツカーブランド、ラグジュアリーブランドがSUVを登場させている。今回「アストンマーティンがSUVを発表」と聞いて、「とうとうアストンも……」と思った人は多いだろう。だが実際に見て、触れてみると、このDBXが「アストンの名前でSUVを出せば売れるだろう」というような考えでつくられたモノではない、ということがわかった。

少なくとも今回の試乗ではネガティブな点はまったく見えて来ず、むしろ相当に魅力的なモデルだと感じられた。アストン・オーナーはもちろん、このクラスのSUVを検討している人にはとてもよい選択肢になるだろう。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース/★★★★
フットワーク/★★★★★
オススメ度/★★★★

アストンマーティン DBX
河西啓介|編集者/モータージャーナリスト
自動車雑誌『NAVI』編集部を経て、出版社ボイス・パブリケーションを設立。『NAVI CARS』『MOTO NAVI』『BICYCLE NAVI』の編集長を務める。現在はフリーランスとして雑誌・ウェブメディアでの原稿執筆のほか、クリエイティブディレクター、ラジオパーソナリティ、テレビコメンテーターなどとしても活動する。

《河西啓介》

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