2020年の“勝手に”イワサダ賞は、小さなEVとあの方のメッセージ【岩貞るみこの人道車医】

ホンダ e
ホンダ e全 5 枚写真をすべて見る

コロナという言葉を毎日繰り返し聞いているうちに、2020年も終わろうとしている。

2020年。

東京オリンピックで盛り上がるはずだった年。自動運転の開発でも、2020年を一里塚として研究開発が進められてきた。しかし、オリンピックは延期になり、春には緊急事態宣言が出て、自動運転の実証実験は軒並みストップした。ふだんから家で仕事しているし、外食をほとんどしないから、私にはあまり影響はない……といいたいところだが、ホットケーキミックスの品切れが続いたのはつらかった。

さて、そんな2020年。昨年に続き、今年もイワサダ賞の発表である。今年は、カー・オブ・ザ・イヤーと、マン・オブ・ザ・イヤーを勝手に決めました。

カー・オブ・ザ・2020

ホンダ eホンダ e
今年のクルマ。カー・オブ・ザ・2020は、ちっちゃな電気自動車、『Honda e(ホンダe)』である。

かわいい。そして、小さい。小さいは正義である。現在のバッテリー技術を考えれば、電気自動車は“小さくちょこちょこ”が、いちばん真価を発揮できるのはまちがいない。

とはいえ、小さすぎて我慢を強いるようでは、そっぽを向かれてしまう。これまでもあったではないか、小さすぎていつのまにか消え去ったクルマたちが。スズキの『ツイン』とか、トヨタの『iQ』とか、ダイハツの『ミゼット』とか。

その点、ホンダeは、そのあたりをきっちり押さえている。大きさは、多少ちがうけれど軽自動車サイズ。違和感のない大きさ、不都合のない車内空間である。乗りやすい。動かしやすい。運びやすい。加えて、インテリアもおしゃれだし、スタイルが、これまためっちゃ刺さるのだ、女ゴコロに。これに乗っていたら、やたら気持ちが上がる。これは、クルマで移動するうえで、すごく大事な部分である。

街中でちょいちょい走れるというのは確かだが、それより、ガソリンスタンドが次々に廃業して補給がままならない地域の移動の足にこそ向いていると思う。こうした地域の人たちは、家のそばにクルマをとめる土地を持っているから家から電気コードをひっぱって充電できる。都会のマンションや、賃貸駐車場ではそうはいかないのだ。

これをベースに軽トラとか、軽ワンボックスを作ってほしいなあ=勝手な願望。そして、以前、試乗記を書いたときにも訴えたけれど、あと、200万円、やすくしてほしいなあ。

量産効果、という言葉に期待しよう。

マン・オブ・ザ・2020

日本自動車工業会 豊田章男会長日本自動車工業会 豊田章男会長
そして、2020年のマン・オブ・ザ・2020は、トヨタ自動車の社長……という立場ではなく、日本自動車工業会会長の豊田章男さんである。

春、新型コロナウィルスの感染が拡大し、医療従事者ですらマスクが入手できなくなる異常な状況に陥った。研究機関がコロナの正体や治療方法をつかむべく必死に奮闘するなか、4月7日に政府は緊急事態宣言を発令した。世の中の動きが一斉に止まり、経済活動の多くが地底に沈んで息をひそめるような状態になったとき、これから先の不安に(ホットケーキミックスが手に入らないということだけでなく)押しつぶされそうになったのは、私だけではないだろう。

その3日後の4月10日のことだ。

日本自動車工業4団体である、日本自動車工業会、日本自動車部品工業会、日本自動車車体工業会、日本自動車機械器具工業会を代表して、日本自動車工業会会長の豊田章男氏が、動画でメッセージを送ってくれた。

日本の製造業の心意気を示し、目の前のことをひとつひとつ、目標に向かってできることをやっていけば、私たちは必ずこの時期を乗り越えられる。あまりに力強いメッセージに、私は聞いていて泣きそうになった。

豊田章夫さんが言うなら、きっとそうなのだ。モノづくり精神と、相手のことを思う気持ちがあれば、きっとまた、好きな人と好きな場所に行ける日がくるのだ。私には文章を書くことしかできないけれど、これもある意味、モノづくり。それに、毎日のご飯を作る家庭のお母さん(お父さんやおじいちゃんおばあちゃんも、こどもたちもみんな)も、みんなモノづくりなのである。

この原稿を書いている今、第三波が襲ってきてふたたび不安になっている人もいるだろう。そんな人はもういちど、あのメッセージを聞いてみてほしい。きっと、心の奥に小さなやる気が出てくると思う。

2021年はきっといい年になる。いえ、他人だのみじゃなく、自分たちでいい年にしよう。一人ひとりの行動に、かかっているのだ。

みなさんも、おだやかでよい新年をお迎えください。

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に取材するほか、ノンフィクション作家として子どもたちに命の尊さを伝える活動を行っている。レスポンスでは、アラフィー女性ユーザー視点でのインプレを執筆。コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。

《岩貞るみこ》

この記事はいかがでしたか?

ピックアップ