【ロイヤルエンフィールド コンチネンタルGT650 試乗】見た目は60年代、その走りはモダン…佐川健太郎

ロイヤルエンフィールド コンチネンタルGT650
ロイヤルエンフィールド コンチネンタルGT650全 16 枚

ロイヤルエンフィールド『コンチネンタルGT650』は、英国車が全盛期だった1960年代のスタイルと乗り味を現代に蘇らせたネオクラシックモデルである。クリップオンハンドルにロングタンクとレーシングシートなど、当時の流行をフィーチャーした姿が郷愁を誘う。

世界最古級の老舗2輪ブランドとして現在はインド企業の傘下にあるが、開発やテストはバーミンガム近郊にある技術センターで行われている。そして、車体設計は著名フレームビルダーとして知られる英国のハリス・パフォーマンス社(現在はロイヤルエンフィールドが買収)が担当するなど今も英国との関係が深い。

伝統を残しつつも現代化されたバーチカルツインエンジン

ロイヤルエンフィールド コンチネンタルGT650ロイヤルエンフィールド コンチネンタルGT650
エンジンは空冷並列2気筒650ccの通称“バーチカルツイン”。かつて英国車の定番だった伝統的レイアウトを踏襲しているが、そこは現代のバイク。ヘッドはコンパクト化を優先したOHCとし、燃焼効率を高めるため4バルブを採用するなどすべてが新設計である。

鉄の感触が伝わってくるずっしりとした車体に跨りセルを回してエンジンに火を入れると、こぶしの効いたワイルドなエキゾーストとともに目覚める。

低速トルクが厚くアクセルに対するレスポンスも穏やかなので走り出しもスムーズだ。270度クランクによる骨太な鼓動感に浸りつつ、移りゆく街の景色を眺めながらまったりと走るのが気持ちいい。ピークパワーは47psと控えめでもクランクマスが大きめで、一度速度に乗せてしまえば滑るように走る。

6速ミッションなので高速クルーズも余裕でこなす。アクセルを開けていくと、4バルブらしいメリハリのある加速も味わえ、ノイズと振動も少なめなのが現代的だ。

モダンに洗練された走りで期待通り

ロイヤルエンフィールド コンチネンタルGT650ロイヤルエンフィールド コンチネンタルGT650
前後18インチのワイヤースポークホイールと鉄製のダブルクレードルフレームによる、しなやかでおっとりしたハンドリングが特徴。見た目の雰囲気ともよくマッチして、高速コーナーでの安定感も文句のないレベル。サスペンションは柔らかめだが動きは落ち着いていて、丁寧な乗り方をしてやればちゃんと応えてくれる。

また、足まわりも名門ブレンボのセカンドブランド、BYEBRE製前後ディスクブレーキにABSを備えるなど必要十分。攻めすぎなければスポーツ走行にも対応できるレベルである。加えて好印象だったのが標準装着のピレリ製ファントム。これも名前は古風だがスペックは現代版。接地感が豊富でグリップ性能もなかなかのもの。冬場の路面でも安心できるフィーリングだった。

ちなみにライポジはカフェレーサーの基本であるセパハン&バックステップではあるが、極端ではなく程よい前傾スタイルに設定されていて、スポーティにも走れてツーリングも快適にこなせるレベル。シート高も標準的でスリムな車体と合わせて足着きも良好。ハンドル切れ角が大きいのでUターンもしやすかった。

コンチネンタルGT650は見た目こそ60年代風だが、その走りはむしろモダンで洗練されている。きっと多くの人がこのモデルに期待している通りの走りをプレゼントしてくれるはずだ。

ロイヤルエンフィールド コンチネンタルGT650ロイヤルエンフィールド コンチネンタルGT650
■5つ星評価
パフォーマンス:★★★
走りの楽しさ:★★★★★
快適度:★★★
趣味性:★★★★★
オススメ度:★★★★★

佐川健太郎|モーターサイクルジャーナリスト
早稲田大学教育学部卒業後、出版・販促コンサルタント会社を経て独立。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。(株)モト・マニアックス代表。バイク動画ジャーナル『MOTOCOM』編集長。日本交通心理学会員。MFJ公認インストラクター。

《佐川健太郎》

佐川健太郎

早稲田大学教育学部卒業後、出版・販促コンサルタント会社を経て独立。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。メーカーやディーラーのアドバイザーも務める。(株)モト・マニアックス代表。「Yahoo!ニュース個人」オーサー。日本交通心理学会員。MFJ公認インストラクター。

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