東洋コルクからスカイアクティブXまで---マツダの歴史がわかる1冊

マツダ R360クーペ
マツダ R360クーペ全 3 枚
『マツダ』
東洋コルク工業設立から100年
編著:自動車史料保存委員会
発行:三樹書房
定価:3500円+税
発売:2021年1月22日
ISBN978-4-89522-745-2

マツダは2020年に100周年を迎えた。1920年に設立されたマツダの歴史を商品、そしてその技術を中心に詳述した書籍が刊行された。

1920年に設立された東洋コルク工業は、1927年、東洋工業に社名変更し、機械工業への経営転換をはかった。成長する三輪トラック市場で「マツダ」の名を馳せ、その後四輪自動車の分野に進出。ロータリーエンジンの実用化やスポーツカー開発、モータースポーツへの大胆な挑戦など時代の最先端を突き進み、2020年創立100周年を迎えた。

本書では商品と技術に焦点を当てながら、他にないユニークなクルマづくりを進めてきたマツダの足跡を1冊にまとめたものだ。『RX-7』や『ロードスター』など歴代モデルを網羅的に紹介するとともに、マツダ独自の量産ロータリーエンジンからスカイアクティブテクノロジーまで最新技術の変遷を解説。

巻頭のカラー36ページは、当時のカタログを集めたもの。マツダ100周年特別記念車のモチーフとなった『R360クーペ』をはじめ、『ファミリア』、『ロードスター』などが網羅され、懐かしさ満載だ。それ以降のページは東洋コルク工業から東洋工業への変遷、ロータリーエンジン開発のエピソードなどが語られている。そこには若干解像度は低いものの非常に貴重な写真が数多く収められているので必見だ。

また本書は2009年5月に出版された同書を増補したもので、年表の充実が挙げられる。マツダの社史から引用したものの他に、1960年から1980年代に関してはグランプリ出版にコピーが大量に残されていたことから年表への反映が可能となった。そのほか、2009年出版以降の車両に関して、また、新たな技術開発についても述べられており、現在知りうるマツダのヒストリーを俯瞰できる1冊といえよう。
『マツダ』

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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