【ホンダF1】参戦最終年のパワーユニットについて開発総責任者・浅木氏が語る…「新骨格。できることはやった」

#33 マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)
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16日、今季のF1開幕を前に、ホンダがオンラインでシーズンプレビュー会見を実施した。パワーユニット(PU)開発総責任者である浅木泰昭氏が参戦最終年のPUについての概要や目標、そして参戦終了に向けての想いなどを語っている。

ホンダにとってF1参戦最終年となる2021年シーズン、その開幕まで2週間を切った。12~14日には開幕前唯一の合同テストも行なわれ、ホンダ勢はレッドブル、アルファタウリともに良い雰囲気の出足を見せている。参戦最終年に、ホンダは第4期F1活動(2015年シーズンから参戦)における初戴冠を果たすことができるのか? 注目度が上がってきている。

2022年からはレッドブルとアルファタウリがホンダのPU技術を使用した“レッドブル自製PU”で戦うことになったとはいえ、2021年のホンダPUはホンダとしての参戦最終年のPUである。ホンダのPU開発総責任者で、栃木県にあるHRD Sakuraセンター長とF1プロジェクト・LPL(ラージプロジェクトリーダー)を兼務する浅木泰昭氏は、2021年シーズンに「新骨格のPUで臨んでいる」旨を語り、その概要についてこう語った。

「カムシャフトのレイアウトを大幅にコンパクトにして、下に、地面に近い方に下ろしてきました。これでバルブ挟み角なども全部変わってきますので、燃焼室の形状を大きく変えることが目的なのですが、コンパクトになり、重心も下がり、カムシャフトの上の空気の流れ、このあたりの自由度も増しています。また、片バンク3つあるシリンダーに関しても、シリンダーとシリンダーの距離を縮めてコンパクトにしています。まったくの新作といっていいものになりますね」

#33 マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)#33 マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)

気迫の新骨格投入、これはもちろん「パワーをなんとかしたい(もっと上げたい)」ことが主眼ではあったが、「(ホンダPUを搭載する)チーム側にとっても有効なコンパクト化であったと信じています」と、浅木氏は車体とPUが一体になった速さ追究への寄与も強調している。

開幕前合同テストでは、レッドブル・ホンダ(M. フェルスタッペン&S. ペレス)もアルファタウリ・ホンダ(角田裕毅&P. ガスリー)も好調そうな立ち上がりだった。浅木氏は「例年のことですが、他陣営には“隠している”ところもあるだろうと思っていますから、開幕戦の予選が終わったときにどうなるか、期待と不安(が同居する心情)ですね」と冷静に状況を分析する(ちなみに、ホンダ勢がテストでどれくらいの本気度だったかは「秘密です」とのこと)。

#11 セルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)#11 セルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)

今年もフタを開けてみるまで本当の勢力図は分からない。でも、「できることはやった、という気持ちは大きいです」と、現段階での手応えの確かさも浅木氏は話す。そして、「今年一年戦い切って、(ホンダの)技術者の気持ちに強い自信を植え付けてF1活動を終了したいと思っています」とも。そう語るのには理由がある。

浅木氏は自身がキャリア当初に第2期のF1活動に携わった経験を有し、第2期の栄光がのちの市販車関連の仕事においても自身とホンダにとって有形無形の財産となっていた実感を会見の前段で語っていた。浅木氏が今の第4期の開発指揮を執るようになったのは途中からだが、その頃までは厳しい戦況が続いており、「今の技術者たちが1勝もできないままバッシングされて撤退、というようなことになると(その後の彼らの技術者人生において)マズイな、と思っていました」と振り返る。

#11 セルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)#11 セルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)

第4期のホンダは2015~17年をマクラーレンと過ごしたのち、2018年シーズンにアルファタウリ(当時の名称はトロロッソ)との共闘を開始。2019年にはレッドブルとも組み、その初年度に第4期初優勝をあげて年間3勝した(3勝ともレッドブル・ホンダ)。昨季2020年はレッドブル2勝、アルファタウリ1勝でホンダ勢としては19年同様に計3勝を記録。「最低限のことはできた、とも思います」と語る浅木氏だが、「目標はまだです」と、さらに上を見据える。

「最後の一行にシリーズチャンピオンと書きたい、そういう気持ちで今年一年戦っていきたいです。今のホンダF1の技術者たちにとって、その後の技術者としての生き様にも影響してくるだろうと思いますのでね。真の自信を得るためには勝つしかない。そして『世界一になった』自信を背景にして、カーボンニュートラルに取り組む技術者になってもらいたいんです」

#22 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)#22 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)

最終便に間に合えば---。第4期初戴冠、それはつまり第2期の1991年アイルトン・セナ&マクラーレン・ホンダによるドライバー&コンストラクター両タイトル獲得以来の頂点奪取を意味する。30年ぶりの覇業を成して参戦終了というドラマチックなフィナーレを目指し、ホンダF1は最後のシーズンを戦う。2021年F1開幕戦バーレーンGPは3月26~28日に開催される予定で、当面の勢力図が概ね判明する注目の“答え合わせ”、公式予選は27日に実施予定だ。

なお、浅木氏は角田裕毅について、「ここが勝負というところで結果を出す、日本人選手にはなかなかいなかったような選手かなと思います」と高く評価し、「いずれはチャンピオンになってくれるのではないかと思っています」との期待を語っている。

#22 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)#22 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)

《遠藤俊幸》

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