定番サブウーファー DIATONE・SW-G50 の「魅力と使いこなし術」

ダイヤトーンデモカー(メルセデス-ベンツ・A180 Sports)。
ダイヤトーンデモカー(メルセデス-ベンツ・A180 Sports)。全 11 枚

DIATONEから発売されている定番サブウーファー『SW-G50』(税抜価格:8万円)。当機が定番たり得ている理由は何なのか、そしてこれの使いこなし術とは…。それらを知るべく、実力カーオーディオ・プロショップ、“エモーション(福岡県粕屋郡粕屋町)”を取材した。

『SW-G50』は、理想的な低音を鳴らせる数少ないサブウーファーのうちの1つ!

『SW-G50』は2012年の2月に販売が開始され、以後、多くのカーオーディオ愛好家に使われてきた。“エモーション”でも、高音質を求める多くのユーザーから選ばれているという。さて、まずは同店の代表を務める橋本さんに、当機がどのようなサブウーファーなのかを教えてもらった。

「私は『SW-G50』を、“軽く、低い低音”が出せるサブウーファーだと捉えています。“軽く、低い低音”とは、ズンと響くのだけれど空気のようにふわっとしている。圧として体に伝わってくるというよりも音波として耳に入ってくる低音、そのようなイメージです。そして“軽く、低い低音”は、サブウーファーサウンドの1つの理想形だと考えています。

ところでハイエンドホームオーディオの世界ではもう何十年も前から、“軽い低音”と“重い高音”が理想だと言われ続けてきました。ちなみに“重い高音”とは例えばシンバルの音の場合、チンチンというような響き方ではなくカンカンと重量感を伴って鳴る高音のことを指しています。

なお、“重く、低い低音”を奏でるサブウーファーは多いのですが、“軽く、低い低音”を鳴らせるモデルは多くはありません。なぜなら、“軽く、低い低音”を鳴らすためにはレスポンスが相当に速くなければだめで、そのようなサブウーファーを作るのは簡単ではないからです。対して“重く、低い低音”は、振動板のストローク量を多く取れば案外簡単に鳴らせます。

で、どちらのサブウーファーが良いかは好みによって変わってきます。低音に迫力を求めるのであれば、“重く、低い低音”を鳴らせるサブウーファーが向いています。しかし、フロントスピーカーとの繋がりの良い、Hi-Fi的な低音を望まれる方には、『SW-G50』はもってこいだと思います」

理想的な特長を有する振動板と強力な磁気回路が、高性能たる主なポイント!

『SW-G50』がそのようなサウンドを奏でられる理由について、さらに詳しく教えてもらった。

「ポイントは2つあると思います。1つは、振動板に“NCV”が使われているからです。この素材は軽さと硬さを両立できていることが最大の特長です。軽さと硬さは本来はトレードオフの関係にあるので両取りするのは難しいのですが、“NCV”はそれができています。このことが“軽く、低い低音”を再生できる1つの原動力になっているのだと推測しています。

ちなみに“NCV”は、ミッドウーファーに使ったときにも優れた特長を発揮します。軽くかつ剛性が高いことにより、分割共振が起こりにくいんです。分割共振は、ミッドウーファーである程度の高域側の音を再生する際に起こります。振動板の中心部分と外側がリニアに動かずに波打ったような動きをしてしまうことが分割共振と呼ばれていて、これが起こると音を濁します。しかし“NCV”が使われているDIATONEスピーカーでは、このような現象が発生しにくいんです。

そして“NCV”はサブウーファーで使われたときは、応答性の良さを発揮します。結果、“軽く、低い低音”を奏でられるというわけです。

ポイントの2つ目は、磁気回路が強力だからです。『SW-G50』は製品写真を見ていただければ分かるように、磁気回路が堅牢に作り上げられています。ちなみにスピーカーはより高音質を得ようとするとき、マグネットの磁力とボイスコイルの磁力の両方を上げることが目指されます。そうすることで情報量が上がるからです。しかし、磁力が高まると音にクセが出やすくなります。特定の周波数でピークが出がちになるんです。なので設計者は、磁力を上げながらもクセが出ないように工夫を凝らします。

『SW-G50』は、それが完ぺきに成し遂げられています。磁力は高いのにクセの発生が抑え込まれているんです。完成度はすこぶる高いです」

『SW-G50』は、ボックスタイプもパワーアンプのタイプも選ばない!

続いては、使い方に関してのコツを訊いてみた。まず『SW-G50』は、どのようなボックスで鳴らすと良いのだろうか。

「『SW-G50』は、ボックスタイプを選びません。どのようなボックスであっても良さを発揮できます。この点も、『SW-G50』だからこその恐るべき特長の1つだと思っています。

というのも当機は、10リッター程度の小容量のシールドボックスでも問題なく鳴らせます。少容量のシールドポックスではボックス内の空気のバネの力が強くなるので、硬い振動板が使われているサブウーファーでないと向きません。その点『SW-G50』の振動板は剛性が高いので、問題ありません。

それでいて、フリーエアでも高性能を発揮できます。通常、硬い振動板が採用されたサブウーファーはフリーエアではオーバーストロークしてしまいます。硬い振動板は重くなる傾向があるので、フリーエアでは空気のバネがほとんど効かず振動板が止まりにくいんです。

しかし『SW-G50』の振動板は、硬いけれども重くない。なので、フリーエアでもしっかり鳴ってくれます。で、フリーエアで鳴らせるということは、バスレフボックスでも問題なく鳴らせるということを意味します」

組み合わせるパワーアンプはどのようなタイプが良いのだろうか。

「組み合わせるパワーアンプも、タイプを選びません。ちなみに当店では、サブウーファーは一般的によりハイパワーなD級アンプと組み合わせた方が性能を発揮しやすいと考えています。D級パワーアンプは力強く鳴らせるだけでなく、振動板を止める力も強力です。ゆえに、締まった低音を鳴らしやすいんです。しかし『SW-G50』は非力なAB級アンプで鳴らしても振動板がピタリと止まります。サブウーファー自体に振動板を止める力が備わっている、というわけなんです。

システムを組む都合上、AB級のパワーアンプしか用意できないケースもありますが、『SW-G50』は都合を優先しても問題が起こりにくいです。もちろん、こだわってパワーアンプを選べた方が良いですが、鳴らしにくいパワーアンプがないこともまた確かです」

『SW-G50』は、フロントスピーカーのサウンドと繋げやすい!

次いでは、どのようなフロントスピーカーと相性が良いのかを訊いてみた。

「結論から言うと、どのようなスピーカーとも合わせられます。なおこれは、『SW-G50』に限った話ではありません。どのようなサブウーファーでも、それは同様だと考えています。

なぜなら、サブウーファーからは音色を決定する倍音成分がほとんど再生されません。ゆえにサブウーファーでは音色の違いが現れにくいです。なので、フロントスピーカーとの音色の統一を考える必要がないんです。

となると、サブウーファーを選ぶ際には何を基準にすれば良いのかという疑問が頭をもたげるかもしれません。せっかくなので、チョイスのポイントもご説明したいと思います。

それは“鳴りっぷり”です。サブウーファーの鳴り方は、3タイプに分類できます。1つが“ハイスピード型”です。このようなサブウーファーはレスポンスが速いので、フロントスピーカーとの繋がりが良好です。『SW-G50』はまさにこのタイプに当てはまります。

2つ目が“重低音型”です。このタイプのサブウーファーは振動板が重くストローク量も大きいので、重い低音を再生できます。そしてもう1つが“リズム感型”です。このタイプのサブウーファーはハイパワーなパワーアンプでないと鳴らし切れないのですが、しっかり止まりますので切れ味鋭くリズムを刻めます。

サブウーファーは、これらのどれが好みかを考えて選ぶと良いと思います。ちなみに、Hi-Fi的に鳴らそうとするなら、“ハイスピード型”が向いています」

最後に、チューニングにおいての特長も教えてもらった。

「チューニングに関しても『SW-G50』に限ったコツや注意点は特にありません。なお、すべてのサブウーファーは、チューニングができない環境下では良さを発揮しにくいということは、頭に入れておくべきだと思います。後からでも良いので、プロセッサーの導入は視野に入れていただきたいですね。『DIATONE SOUND.NAVI』のようなハイエンドメインユニットを使っても良いと思います。サブウーファーのサウンドは、フロントスピーカーの音と上手く繋がらないとリアリティが出ませんし情報量も出てきません。で、上手く繋げるためにはデジタルチューニングはマストだと考えています。

『SW-G50』は、当店でもお薦めのサブウーファーのうちの1つです。組み込むボックスタイプも組み合わせるパワーアンプもフロントスピーカーも選びませんし。高音質かつ使いやすいサブウーファーをお探しなら、当機は有力な候補に成り得ます」

“エモーション”の橋本さんの話を訊いて、『SW-G50』が定番である理由がよく分かった。これからサブウーファーの導入を考えているカーオーディオ愛好家諸氏は、『SW-G50』があることをくれぐれもお忘れなきように。

定番サブウーファー『DIATONE・SW-G50』の、魅力と使いこなし術を徹底リサーチ!

《太田祥三》

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