【Stay Home Books】R32 GT-R はなぜ世に生み出されたのか…開発責任者が語った

スカイラインGT-Rニスモ(R32)
スカイラインGT-Rニスモ(R32)全 5 枚

『走りの追求R32スカイラインGT-Rの開発[増補二訂版]』
著者:伊藤修令
発行:グランプリ出版
定価:2200円
ISBN978-4-87687-382-1

日産『スカイラインGT-R』の復活で話題となり、いまなお多くのファンが存在する“R32”。当時の開発責任者みずからが、開発過程を中心にその詳細を綴った一冊が上梓された。その内容は、開発責任者自身がスカイラインを生み出したプリンス自動車入社の頃から、R32開発に至る経緯、実際の開発過程を詳細に解説しているものである。

1985年、R31スカイラインは当時流にいう“ハイソカー”の1台として市場に投入された。しかし、スカイラインファンからは大型化したサイズやラグジュアリーな装備などから、決して諸手を挙げて歓迎されてはいなかった。そこで1989年に登場したR32は、スカイライン本来のあるべき姿を取り戻すべく、“走りの復活”を目指し、サイズダウンしたほか、様々な新技術を導入して開発された。さらに16年ぶりに登場したGT-Rは注目を集め、レースでも活躍を遂げたのは有名な話だ。

そのGT-Rだが、R31の2ドアで復活することが検討されていたという。しかし、そのクルマの実力とネーミングの重さから、採用は見送られた。その判断を著者である伊藤氏は本書で語っている。

そのほかにも、スカイラインの主査としての苦悩や、迷い、喜びなどの“本音”が語られているので、単なるスカイラインの開発ストーリーという読み物としてだけでなく、企画段階から市販に至るまでのその全てにおいて主査が何を考え、何を基準に判断していくのかが分かるので、クルマ1台を開発するという醍醐味も文章から味わうことが出来るだろう。

本書は2016年刊行の同書の巻頭に、著者・伊藤修令氏による“スカイラインへの想い”を、さらに巻末には、昨年著者が“日本自動車殿堂入り”をした際の資料を追加収録した、増補二訂版である。
『走りの追求R32スカイラインGT-Rの開発』『走りの追求R32スカイラインGT-Rの開発』

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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