【三菱 エクリプスクロス PHEV 新型試乗】「ランエボ」に通じる三菱らしさを感じた…渡辺陽一郎

三菱 エクリプスクロス PHEV
三菱 エクリプスクロス PHEV全 12 枚
『エクリプスクロスPHEV』は、『アウトランダーPHEV』のプラグインハイブリッドシステムを移植したクルマだ。そのためにホイールベース(前輪と後輪の間隔)は変えずに、ボディの前側を35mm、後ろ側は105mm伸ばした。オーバーハングが拡大されてボディ全体が落ち着いた見え方になったから、ボンネットも水平に近づけて、視覚的なバランスを整えている。

ボディの後部は、ルーフパネルなどを変えられないので、リヤゲートとリヤバンパーの変更だけで105mmの拡大に対応した。デザイナーは「最初に変更内容を聞いた時は、オイオイ本当かよ、と思った」という。苦労しただけあって、無茶ともいえる変更を施しながら、造形バランスを損なっていない。


運転感覚は峠道を走ると良く曲がってスポーティだ。通常は4輪をモーターで駆動するが、後輪側の性能を高めた。走行状態によっては、ボディの捩れが感じられ、今日のクルマでは珍しく後輪の接地性が削がれる場面もある。それでもやや古典的な操る楽しさには、かつての『ランサーエボリューション』シリーズにも通じる三菱らしさを感じた。

エクリプスクロスPHEVは、SUVでは良く曲がるが、開発者は「PHEVの制御によって安定方向に設定した」という。エクリプスクロスが1.5リットルターボを搭載して登場した時の走りは、バランスが取れていたが、2019年に追加されたクリーンディーゼルターボでは悪化した。良く曲がるが、前輪側が重くなり、危険を避ける時などは後輪の安定不足が生じた。そこをPHEVの制御により、改めて安定方向へ設定し直したわけだ。

従ってディーゼルに比べると安定方向だが、一般的な認識では、今でも良く曲がる部類に入る。


客観的にいえば、2005年に登場した初代アウトランダーから使い続けるプラットフォームが古いのだが、エクリプスクロスPHEVではそこが個性になっている。

今は全般的に走行安定性が熟成されたから、どの車種でも、後輪をしっかりと接地させた上で操舵角に応じて正確に曲がる穏やかな挙動変化が実現されている。安全を考えれば有るべき進化だが、クルマ好きとしては、画一的で少し退屈に感じることもあるだろう。そんな時にエクリプスクロスPHEVを運転すると、妙に懐かしく、愉快な気分になってくる。



■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

渡辺陽一郎|カーライフ・ジャーナリスト
1961年に生まれ、1985年に自動車雑誌を扱う出版社に入社。編集者として購入ガイド誌、4WD誌、キャンピングカー誌などを手掛け、10年ほど編集長を務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向した。「読者の皆様に怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けている。

《渡辺陽一郎》

渡辺陽一郎

渡辺陽一郎|カーライフ・ジャーナリスト 1961年に生まれ、1985年に自動車雑誌を扱う出版社に入社。編集者として購入ガイド誌、4WD誌、キャンピングカー誌などを手掛け、10年ほど編集長を務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向した。「読者の皆様に怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けている。

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