試乗しても違いがわからない!!…マセラティの4気筒2Lターボ MHVエンジン

上海から運ばれてきたレヴァンテ
上海から運ばれてきたレヴァンテ全 25 枚

マセラティ『ギブリ』と『レヴァンテ』には、直列4気筒2リットル・ターボエンジンが搭載されている。高まる環境規制に対応するためハイブリッドシステムも採用された。オールドファンはV型エンジンではないマセラティなど認めたくはないだろうが、流行りの2Lダウンサイジングターボとはちがうこだわりで設計されている。

【画像全25枚】

ギブリはすでに国内リリースされているがレヴァンテは先の上海モーターショーでお披露目されたばかり。日本では秋以降にリリースされる予定だが、マセラティ・アジアパシフィックは、上海からレヴァンテを運び、そこに投入されたハイブリッド技術についての説明を行った。

ギブリ、レヴァンテのエンジンとハイブリッドシステムは同じものだ。48Vのマイルドハイブリッド(MHV)システムに、eBoosterという電動コンプレッサーを搭載、内燃機関エンジンとターボチャージャーをアシストする。年々厳しくなる燃費性能・環境性能に対応すべく、エンジンのダウンサイズにハイブリッドシステムが組み合わされた形だが、マセラティのこだわりは、それだけで終わらない。

従来のV型エンジンのトルク、フィーリングに慣れた人にも違和感のない乗り味を提供するため、モーターアシスト、eBooster、ターボチャージャーを適材適所で稼働するチューニングを施したという。そもそもエンジン出力330ps、最大トルク450Nmというのは、スポーツ性能に寄せた車両のスペックであり、一般的なダウンサイジングターボとは一線を画す。

このクラスの馬力とトルクを持つ車両は、メルセデスではAMG、ボルボのポールスター、スバル STIといったスペシャルカー、コンプリートカーの位置づけである。0-100km/h加速も6秒と、マセラティのV6 3Lガソリンエンジンモデルと変わらない性能を持つ。リッターあたりの馬力はレヴァンテが165ps/L、V6 3Lガソリンエンジンは115ps/Lと、MHVのレヴァンテのエンジンのほうが上回る。

48V MHVは、制御をバッテリーのチャージよりは低速時のアシストを積極的に行う。BSGと呼ばれる発電機と駆動アシスト用モーターを一体化したユニットがその心臓部だ。高出力だが小型のリチウムイオンバッテリーは、むしろ「キャパシタ」のような制御で、溜まった電気は惜しまず放電させる。バッテリーはリアラゲッジスペースの下に、補器類の12Vバッテリーと、DC/DCコンバーターとともに設置される。フロントのエンジンは小型化化によりV6エンジンより80kgほど軽くなっている。これにより前後の重量配分は50:50を実現している。

さきほど、一般的なダウンサイジングターボとは違うと述べたが、その特性をうみだしているのがeBoosterだ。48Vで動作する電動コンプレッサーは、排気を利用するターボチャージャーが苦手とする低回転から高回転への加速、低速でのブーストを行う。ターボで出力をねらうと、どうしても大径タービンが必要となりターボラグが避けられない。結果として「ドッカンターボ」になりがちだが、レヴァンテのエンジンは大型ターボを搭載しながら、eBoosterの働きによってなめらかな加速フィーリングを実現する。

eBoosterとターボの過給の切り替えは、エンジン回転、アクセル操作、配管の内圧、温度などで制御される。ターボのウェストゲートバルブも段階的な開閉を行うので、ターボ+電動アシストながらNAエンジンのような加速を実現する。上海から持ってきたレヴァンテは国内ではまだ走れる状態ではないが、そのドライブフィールはギブリで体感している人もいるだろう。

マセラティの力強く上品な加速感はそのままなので、言われなければ直列4気筒の2Lターボエンジンとは思えない。その違いがわからないくらい作り込まれたパワートレインだ。

《中尾真二》

テクノロジージャーナリスト・ライター  中尾真二

アスキー(現KADOKAWA)、オライリー・ジャパンの技術書籍の企画・編集を経て独立。現在はWebメディアを中心に取材・執筆活動を展開。インターネットは、商用解放される前の学術ネットワークの時代から利用し、ネットワーク、プログラミング、セキュリティについては企業研修講師もこなす。エレクトロニクス、コンピュータのバックグラウンドを活かし、自動車業界についてもテクノロジーを中心に取材活動を行う。

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