カングー のルーツ、ルノー『4』が移動スイートホテルに…デビュー60周年

1961~1992年までの30年間に800万台以上を販売したヒット作

車と建築の世界を融合させたオープンエアのホテルを提案

車体の後部が開放的な全面ウィンドウに

ルノー・スイート N°4
ルノー・スイート N°4全 8 枚

ルノーは10月22日、ルノー『4』(キャトル)の誕生60周年を祝福するコンセプトカー、ルノー『スイートN°4(Renault SUITE N°4)』をフランス本国で発表した。

1961~1992年の30年間に800万台以上を販売したヒット作

ルノー4は1961年に発表された。コンパクトボディに広い室内空間を備えていたのが特長だった。あらゆるシーンで使い勝手の良いルノー4は、20世紀後半のカーライフを代表する車のひとつだ。1961年の発売から1992年までの30年間に、800万台を超えるルノー4が、ルノーのフランス工場から世界各地の顧客に届けられた。とくに、フランスでは乗用車史上最多の生産台数を記録し、「クルマのジーンズ」と称されている。フランス本国では、ルノー『4L』(キャトレール)と呼ばれる。

ウーマンリブ運動が隆盛した1963年には、有名女性誌『ELLE』の読者に48時間、ルノー4を貸し出すという「エル・オペレーション」を実施した。これは、人の未来のビジョンを描くルノー哲学を象徴するイベントとして知られている。このルノー4のエスプリを現代に引き継ぐモデルが、『カングー』とされる。

ルノー4は、その成功のおかげで、さまざまなオプションやコラボレーションモデルが数多く存在している。フランス国内では、郵便局や憲兵隊(国家警察)に納入された。フランスの郵便局向けの車両は、「La Poste(郵便局)」と刻まれた黄色いボディが特徴で、フランス映画にも起用されている。

車と建築の世界を融合させたオープンエアのホテルを提案

ルノー4の誕生60周年を祝福するコンセプトカー、ルノー スイートN°4がフランス本国で発表された。ルノーのカラー&トリムデザインチームとデザイナーのマシュー・レハヌール氏が協力。デザイナーの夢の移動体験を表現したコンセプトカーとして、スイートN°4が開発された。

マシュー・レハヌール氏は、1974年にフランスで生まれた。2001年にデザイナーとしての活動を開始した。NASAの研究成果を応用しながら、ハーバード大学と共同開発した空気清浄機の「アンドレア」が、2008年に「ベストインベンションアワード」を受賞して注目を集める。その後、ソニーやポルトローナ・フラウ、ナイキなどのブランド向けに、いくつかのプロジェクトをデザイン。彼の作品は、米国の「二ューヨーク近代美術館(MoMA)」、フランス・パリの国立近代美術館「ポンピドゥーセンター」などに収蔵されている。

マシュー・レハヌール氏は、「スイートN°4は車と建築の世界を融合させたオープンエアのホテル。最高級のラグジュアリーなスイートホテル体験が、ビーチや大平原などで楽しめる」と語る。

車体の後部が開放的な全面ウィンドウに

スイートN°4では、オリジナルモデルと同じサイズとボディラインを維持しながら、車体のリア部分は、アーティストのスタジオと同等の明るさが得られるポリカーボネート製ウィンドウに変更された。ルーフのソーラーパネルは、EVパワートレインのバッテリー充電を支援しながら、キャビンに多くの光をもたらすという。

車のフロント部分は、オリジナルモデルと同じ象徴的なヘッドライトやボディライン、シルエットを備えている。フロントグリルはポリッシュドアルミ仕上げとした。ボディは、現代建築に用いられるセメントに見えるように、3層の塗料でコーティングされている。

インテリアでは、暖かくエネルギッシュな雰囲気を実現するために、布地が多く使用された。シートとダッシュボードは、黄色のベルベットで覆われている。シートの背面は、厚いリブのシェニール生地で仕上げられた。室内の後部には、天然繊維製のカーペットと、取り外しが可能な木製の引き出しが装備された。当時の4Lと同様、すべての素材はフランス製で、パリの高級家具メーカーから調達した、としている。

《森脇稔》

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