「カーボンニュートラルをめざして」5社が共同会見…スーパー耐久サーキットで

5社共同会見
5社共同会見全 23 枚

11月13日、スーパー耐久最終戦が行われている岡山国際サーキットにて、4輪・2輪メーカー5社が共同で会見を実施。カーボンニュートラルを目指して、内燃機関を活用した燃料の選択肢を広げることに挑戦すると発表した。

トヨタが提唱し、内燃機関を活用した燃料の選択肢を広げる挑戦として、スーパー耐久において「水素カローラ」を走らせているが、その提唱に賛同する形で、燃料を「つくる」「はこぶ」「つかう」の選択肢を広げるため様々な企業が参画を始めた。カーボンニュートラルと言う目標のために自動車メーカーで、マツダ、スバル、トヨタ、2輪メーカーとしてヤマハ、カワサキが参画していく。

トヨタ自動車の豊田章男代表取締役社長のほか、マツダの丸本明代表取締役社長兼CEO(最高経営責任者)、スバルの中村知美代表取締役社長、川崎重工業の橋本康彦代表取締役社長執行役員、ヤマハ発動機の日高祥博(※)代表取締役社長の5名が登壇した。※高ははしごだか

「つくる」「はこぶ」「つかう」の中で、「つくる」の部分においては、川崎重工がオーストラリア産の褐炭から作り上げる水素を使う、ということを前回の鈴鹿戦で行った。それ以前には、大林組が地熱発電から、福島県とトヨタ自動車九州が太陽光発電から、というように様々な環境で水素を作ることが行われてきた。今回は新たに福岡の下水由来の水素も使われている。

「はこぶ」の部分においては岩谷産業や太陽日酸などが運搬や貯めるなどを実際に行っている。水素を使用した小型トラックでの運搬での検証なども行われている。

「つかう」の部分においては、ルーキールーシングが走らせる水素カローラが、過去3戦でその可能性を見せてきた。水素の充填も最初は4分半掛かったのが、今回では1分50秒まで短縮するに至った。また初参戦の富士24時間から今回までで出力を約20%、トルクを約30%向上、鈴鹿大会からの2カ月では出力・トルクを5~10%向上させている。燃費においても富士24時間レースと同じ出力とした場合で約20%向上している。

2輪メーカーとして参画したヤマハは、エンジンサプライヤーとして2016年頃よりトヨタ・デンソー・ヤマハで水素エンジンの開発に取り組んできており、イベント広場に2018年製作のV8水素エンジンが展示されていた。その知見などが現在の水素カローラに生かされている。

カワサキにおいては、水素のつくる部分と運ぶ部分で以前から様々な活動を行っており、船舶や工業用エンジンなどでも水素の活用も行う。神戸市にて水素を燃料にタービン発電を行い、都市での電力供給の実証実験も行ってきている。それらの知見などを生かしながら、将来的に2輪においても水素エンジンが可能であるのか、タンクはどう解決するのかなどを、2社で開発しながら、将来的にはホンダやスズキなども参画して開発が行えるような環境を作り上げていくと言う。

マツダは今回、次世代バイオディーゼル燃料を使いスーパー耐久に参戦する。ユーグレナ社が製造する使用済み食用油や微細藻類油脂と言うサスティナブルな原料から製造される次世代バイオディーゼル燃料を使用する。トヨタがスーパー耐久機構と協力して作り上げた、ST-Qクラスにおいて、「マツダ スピリット レーシング バイオコンセプト デミオ」を走らせる。

スバルには関しては、トヨタと協業しBEV(バッテリーEV)のトヨタ『bZ4X』とスバル『ソルテラ』を開発しているが、来年の2022年シーズンST-Qクラスに『BRZ』を使い、バイオマスを由来とした合成燃料を使用して参戦する。さらにトヨタは『GR 86』をベースとしたマシンで参戦するとしており、ST-Qクラスで俄然面白い戦いが行われることとなった。

「EVだけでなく水素やバイオ燃料など、各社の特性を生かした方法でカーボンニュートラルを目指し、スーパー耐久と言う実験環境において様々な方法で10年後、20年後の未来の姿が変わってくる」とトヨタの豊田章男社長は言う。

《雪岡直樹》

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