日産自動車は2月8日、2022年3月期の第3四半期(4~12月期)連結決算をオンライン会見で発表した。半導体不足などによる影響はあったものの、販売の質的改善が進み、営業利益は1913億円(前年同期は1316億円の赤字)と、この期で2年ぶりに黒字転換した。
通期の販売計画は据え置くものの、第2四半期時点に続いて利益予想を上方修正した。第3四半期(3か月間)のグローバル販売は、前年同期比16%減の90万4000台となった。減産による供給不足が要因で、北米が20%減、中国が19%減、さらに日本も16%減と落ち込んだ。
しかし、同期の台当たり売上高は前年同期に比べて13%改善し、販売減をカバーして利益確保につなげている。第3四半期累計の営業損益段階での増減益分析では、台当たり収益の改善など販売パフォーマンスによる増益が3127億円に達した。また、為替は1ドル111円で5円の円安となり、通貨全体では474億円の増益要因になった。
一方で原材料高騰の影響が811億円の減益に作用した。売上高は6兆1540億円(15.7%増)となり、売上高営業利益率は3.1%を確保した。純利益は第1四半期での独ダイムラー株売却益もあり、2013億円(前年同期は3677億円の赤字)となった。
通期のグローバル販売計画は、半導体不足などによる影響が続いており、380万台(前期比6%減)を据え置いた。収益の改善を踏まえ、通期業績予想は営業利益が従来比で300億円多い2100億円(前期は1507億円の赤字)に、純利益は250億円増額の2050億円(同4487億円の赤字)へと上方修正した。
会見したアシュワニ・グプタCOOは、第3四半期について「半導体の供給不足に加え、オミクロン株や東南アジアの自然災害などにより業界は影響を受けたが、当社は想定を上回る業績を収めた」とし、収益性を重視する販売の取り組みがなど進捗したと評価した。
また、通期業績は「前回予想がすでに達成されていることから」も再び修正となった。それに基づく営業利益率は中国合弁事業を比例配分すると3.2%となる。グプタ氏は「中期計画で21年度の目標としてしてきた2.0%は達成できると確信している」としたうえで、「取り巻く環境を見通すことは難しい状況だが、慎重かつ自信をもって前進したい」と述べた。