日産 エルグランドVIP で快適な“移動会議室”---商業化に向けて実証実験第2弾[体験]

実証実験に“移動会議室”に改装された日産エルグランドVIPの車内。モニターは32インチ
実証実験に“移動会議室”に改装された日産エルグランドVIPの車内。モニターは32インチ全 7 枚

大日本印刷、日産自動車、ゼンリン、ソフトバンク、クワハラの5社は、車での移動中に快適な環境でウェブ会議ができる「移動会議室」の実証実験第2弾を2月17日より開始すると発表した。昨年6月に実施した第1弾の検証結果をもとに、有償サービスなど新たな取り組みを実施する。

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◆移動中でも32インチ大型モニターでウェブ会議を実現

今や業務時間の効率化やワークライフバランスはビジネスにとって重要な要素となっており、その中でもスマートフォンの普及は移動中でもウェブ会議が行える状況を生み出している。とはいえ、現状では画面の小ささや通信の接続性の問題が少なからずあり、ドライバーとの間仕切りがないことから会議内容や音声のボリュームを気遣う必要もあった。さらに既存のタクシー利用では、会議中に目的地に着いてしまえば会議を中断せざるを得ない状況にもなる。

そうした状況を踏まえ、高級ミニバンを使った移動会議室へのニーズは一定数あるのではないか。そんなアイデアの下で進められたのが今回の実験である。

最初の実験、第1弾は昨年6月下旬より約3か月にわたって実施された。実証実験で使用された車両は、日産エルグランド』(VIP 2列シート)仕様で、32インチの大型液晶モニターを遮音性の高い隔壁に取り付け、会議専用のカメラ/スピーカー/マイクを配置した。ウェブ会議用の通信ネットワークはソフトバンクの5G/4Gを使い、安定した回線環境を実現。また、運転手とは会話内容を秘匿する関係上、遮音性の高い隔壁を設置しているため、運転手とのやり取りができる専用のコミュニケーションツールが装備された。

このコミュニケーションツールは大日本印刷が担当し、ドライバーとテキストベースでやり取りできる専用アプリを開発。降車や利用時間の延長などのリクエストの他、空調の調節などを依頼することにも対応している。また、前の景色が隔壁で見えないこともあり、現在地がどの辺り中を示すのも重要だ。そのため、ゼンリンのMaps APIをここに活用することで、タイムリーに走行地点の確認ができるようになっている。

◆利用料金は1回の利用ごとに2時間または30kmまで2万円

実証実験の第1弾では約3カ月間で112トリップが利用され、アンケートによれば9割の人が満足したとの回答。また、半数以上の人からはこの利用に対して料金を支払っても良いとの回答も得られたという。こうした反応を得たことから、第2弾ではそれが本当にビジネスとして成り立つのかを検証する目的で、1回の利用ごとに2時間または30kmまで2万円の利用料を設定した。また、ビジネス用途が減少する週末などには、観光や不動産物件紹介、婚礼イベントといった分野へもサービスを拡大して収益を狙う。

利用にあたっては、モニター接続するPCやタブレットなどは持ち込みが必要だが、車内にはWi-Fiが飛んでおり、会議に必要な通信料は含まれる。また、サービス提供エリアは東京23区を全域に拡大し、それ以外は第1弾と同じ横浜市と川崎市、横須賀市が対象。エリアを跨いでの利用も可能だが、30kmを超える場合は追加料金が発生する。申し込みは車両を運行するクワハラが受け付ける。実証実験の期間は9月30日までの約7カ月間。基本24時間・年中無休で対応するが、毎週日曜日の22時00分~翌朝6時00分はメンテナンスのために休止することになっている。

今回はこの移動会議室についてプレゼンを受ける形で、実際に試乗を体験した。エルグランドVIP 2列シートならでは快適な乗り心地はいうまでもなく、余裕のあるシートサイズは寛いだ気持ちで乗車することができた。32インチの液晶モニターは、相手が複数であってもそれぞれを確認できる十分なサイズで、モニター下にセットされ撮影用カメラは乗車中の2名を鮮明に映し出していた。

◆コミュニケーションツールでドライバーとスムーズなやり取り

ドライバーとやり取りをするコミュニケーションツールは、コマンドが一画面に全表示されているので迷わずに操作できる。操作したコマンドはSMSのようにテキストベースでドライバーへ伝えられ返信もされるので、とてもわかりやすい。仮に定型のアイコンで伝えられないと思ったときは、音声での通話にも対応している。

ただ、利用の延長については「延長します」とのアイコンがあるものの、どのぐらい延長するかはこの画面からは入力できない。そういった時のために音声通話があるのだと思うが、アイコンを押したときに、たとえば「10分、20分、30分……」といったサブアイコンが出ても良かったのではないだろうか。

また、ゼンリンのMaps APIも現状では単に地図を表示するだけにとどまっており、しかも決して見やすい地図ではなかった。目的地をドライバーに伝えるための簡単な検索機能や、これをベースとした観光ガイドをモニター上に映し出すなどの工夫もあると、利用者にとってもっと便利になるのではないかとも思った。

提供エリアは東京23区と横浜市、川崎市、横須賀市のみだが、今回のプレゼンでは仮に空港周辺でサービスを展開すれば、出張先での移動中でも会議ができ、ここでの需要も見込めるのではないか、との意見も出た。

こうした様々な意見を取り入れ、改良を加えることでサービスとしての完成度は高まっていく。それが実証実験を行う目的でもある。実験に参加した5社は今回の検証結果を踏まえ、車内空間や空間を構成する主要機能に改良を加えた上で、2023年以降の商業化を目指すことにしている。

《会田肇》

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