国産初のミッドシップ『MR2』は、実はスポーツカーではなかった【懐かしのカーカタログ】

トヨタMR2
トヨタMR2全 7 枚

ミドシップ・ラナバウト2シーター、トヨタ『MR2』。1984年6月にこのクルマが発売となった時には「ほほぉ、トヨタもやるじゃないか」と思わせられたものだ。

【画像全7枚】

「あのトヨタがミッドシップスポーツカーを!?」

トヨタMR2トヨタMR2

クルマそのものは前年の「第25回東京モーターショー」に『SV-3』の名で参考出品車として登場。この時のトヨタのパンフレットを見ると「レーザーαツインカム16バルブ、4A-Gをつくりあげた時から、技術者の頭の中にはその理想的な置き場所としてミッドシップがあった」と書かれている。“Fun To Drive”は当時トヨタが掲げていたスローガンだったが、“Fun To Ride”な2シーターの室内空間をもつ、新しいスポーツカーとして企画されていることが「SV-3」で公のものになった。

とはいえ市販型の『MR2』と見較べれば、内・外観とも、ほとんど固まっていたであろうことは明らかだった。外観では市販型と違ったのはリヤスポイラー形状(確か当時の法規がからんでいた)やアンテナ位置(SV-3はルーフ、市販車はAピラー内蔵の引き出し式)くらい。内装もシートなど色こそ違うものの、Gリミテッドなどのバケットタイプスポーツシートそのもの。いずれにしても、あのトヨタがミッドシップスポーツカーを!?という驚きと、さすがトヨタ!と思わせられる入念な設計、作り込みと、既存パーツの活用が特徴だった。

トヨタMR2トヨタMR2

搭載エンジンは1.6リットルの4A-Gを横置きとした4A-GELU型(と1.5リットルの3A-LU型も設定)。16バルブツインカムで、グロス130ps/15.2kg-mの性能を発揮した。トランスミッションは5速MTのほかに、スティックタイプの新形状のシフトレバーで操作するATも設定。G 、G-Limitedのそれは、ノーマル/パワー/エコノミーのセレクトパターン切り替え式のECT-Sが組み合わせられた。

実はカタログには“スポーツカー”とは書かれていない

トヨタMR2トヨタMR2

ところで初代『MR2』のカタログだが、大人の配慮もあり、スポーツタイヤ、スポーツパッケージ、スポーツマインド、Joy Sportなどの表記は見つかるも、“スポーツカー”とはどこにも書かれていなかった。むしろ「背中にはふたりを酔わせるハートがある」「ピュア2シーター。それだけでプライベートの香り」「選ばれたふたりのために、この空間がある」といった風に、幅広いユーザーを対象にミッドシップ2シーターの走りの楽しさ、新鮮さを訴求する形をとっていた。

たとえば後の『86』のほうが、よほどピュアにスポーツカーであることを打ち出していた。カタログを見返すと、初代『MR2』は、意外にも表現上はマイルドなスポーツ性の訴求のしかたのクルマだった。

《島崎七生人》

島崎七生人

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト 1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

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