ゲーム制作ツール「Unreal Engine」は自動車業界にどのような影響をもたらすのか?

Unreal Engine「Automotive Summit Japan 2022」
Unreal Engine「Automotive Summit Japan 2022」全 14 枚

近年、世界中の車業界のニュースの一部に「Unreal Engine(アンリアルエンジン)」という言葉が登場するようになりました。しかも自動車メーカーを問わず、です。いったいこの言葉は何を意味するものなのでしょうか。

Unreal Engineとは、3Dゲームの開発で使われているゲームエンジン・リアルタイム3D制作ツールです。3D CGの描画をはじめ、光の反射による色の変化、物理現象に基づいたキャラクターの動きなど、現実の製品や景観と見分けがつかないほどリアルな表現を可能にするツールです。ゲーム以外にも『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』などのSFアクション映画や、『パラサイト 半地下の家族』といったブラックスリラー映画でもUnreal Engineの技術が使われています。

実は自動車の開発現場においても、Unreal Engineは重視されています。9月7日・14日にEpic Gamesが開催した「Automotive Summit Japan 2022」から、各企業におけるUnreal Engine導入のきっかけや、活用時のメリットをご紹介しましょう。

自動運転&先進運転支援システム開発でも活用

デンソーの担当係長 小口貴弘氏が登壇したセッションでは、自動運転(AD)および先進運転支援システム(ADAS)の開発におけるUnreal Engineの活用事例が発表されました。もともと15年ほどゲーム業界にいた実績からゲーム技術の活用をテーマに業務に取り組んできたそうです。

自動運転/先進運転支援システムの試験は取得するデータ量も膨大かつ試験車両・先導車両も特殊なものですし、熟練ドライバーも手配しなければなりません。データの取得、解析には人手が掛かるのが現状。さらに自動運転/先進運転支援システムに求められる機能が複雑になるに従い、負荷が増えると認識されているそうです。そこで実車試験のシステム検証・評価にかかる時間・人手を削減したいという課題から、仮想環境を用いた効率化を図っています。

「仮想環境は並列化で評価試験を加速可能です。実車の試験と仮想環境の実験を組み合わせて網羅性を向上するアプローチを取れるのではなかろうか、という考え方ということで進めております」(小口氏)

仮想環境を利用したシステム検証の動向

セッションではゲームスタジオのORENDA協力のもと、駐車場をレンダリングしたテストシーンも公開されました。


《武者良太》

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