電子車検証も追い風に⁉中古車個人間取引を変えるUcarNextの新ビジネス[インタビュー]

電子車検証も追い風に⁉中古車個人間取引を変えるUcarNextの新ビジネス[インタビュー]
電子車検証も追い風に⁉中古車個人間取引を変えるUcarNextの新ビジネス[インタビュー]全 1 枚

furasuco代表取締役 江﨑稔氏は、2月24日に開催する無料のオンラインセミナーで「UcarNext:中古車の個人間取引専用の仲介プラットフォーム」というテーマで講演する。

furasucoが手掛ける「UcarNext」は、個人間取引専用の仲介プラットフォーム。マッチングの相手は売り手と買い手というより、個人間取引と中古車ディーラー、ローン、信販会社を結びつけるというもの。これら事業者にとっては、自社のローン販売への一種の送客プラットフォームとなるという。

どんなプラットフォームでどんなビジネスなのか。詳細はセミナーで解説されるが、講演に先立ち、その発表内容やビジネスモデル、今後の展開などを聞いた。

来る2月24日にサブスクやリースなどのクルマの新たな販売サービスを展開する主要プレーヤーが一堂に会する無料のオンラインセミナー【2023年「クルマ×金融」各社の挑戦~サブスク・リース・法人・個人・新車・中古車~】が開催されます。詳細はこちらから。

■活況の中古車市場、個人間取引の課題に着目

コロナ禍の影響もあるが、おおむね年7%成長を続ける中古車市場。個人間の中古車取引もSNSやフリマアプリなどで伸びている。ビジネスとしては、マッチングプラットフォームが一般的だが、ここに新しいビジネスモデルを導入したベンチャーがある。

新車の電動化や長納期化によって、クルマの所有スタイル、利用スタイルも変わるといわれている。従来の車両販売モデルだけでは現在の市場ニーズに応えきれない面がでている。クルマの新しいモデルやセグメントの開拓が求められている中、江﨑氏が目をつけたのが個人による中古車取引だ。

「国内での中古車個人間取引(C2C)は中古車市場全体の約10%。およそ4000憶円ほどといわれています。しかし、この部分はフリマサイトやオークションサイトのようなマッチングプラットフォームだけで、取引そのものまで踏み込んだサービスはありませんでした。この領域でのサービス、ビジネスを考える上でまず車の売り手と買い手、中古車購入の課題に注目しました。」

こう語る江﨑氏は、個人間での中古車取引の課題は大きく2つあるとする。ひとつは買い手は状態の悪い車を避けたいという品質的な課題。もうひとつはできるだけ安く、または適正価格で買いたいという金銭的課題。

「品質的な課題については、ディーラーや中古車販売店を利用することが一般的な対応となります。しかし、新車価格、中古車価格は上昇を続けています。品質課題と金銭的課題を両立させるためには、介在者をなくすことすなわち個人同士で直接取引することです。しかし、個人間取引では現金一括が基本であり、一般的なカードローンの金利は18%と使い勝手がよくありません。そこで「安い金利のローンを使いたい」というニーズが生まれます。この間を埋めるサービスとしてUcarNextを考えました。」

■個人間取引に販売のプロを介在させる

ビジネスフローを簡単に説明すると、まずフリマアプリやオークションサイトで欲しい車を見つけたがローンでなければ買えない買主が、UcarNextのサイトに、車両情報や必要事項を登録する。UcarNextが買主の取引内容、車両の評価を行い中古車販売店や信販会社に取引の引き受けを募る。販売店にとっては在庫を持たずに、販売機会を得ることができる。

該当車両は、買主からはいったんUcarNextが買い取り、加盟店へ手数料を加算して販売する形となるので、加盟店は在庫のリスクを負うことはない。ローンの手数料は買主負担だが、UcarNextも実店舗や在庫を持つ必要がないので手数料、金利をカードローンより、また一般的な中古車販売店が掲示する金利よりも下げることができる。

売主は分割払いのリスクを負うことなく販売チャンスを広げることができる。加盟店は在庫を持たずに販売機会と顧客獲得のチャネルを広げることができる。買主は一括払いでは買えない中古車も、カードローンよりも安い手数料・銀行ローンより審査ハードルの低いローンを組むことができる。

「ローン審査全体を見ると、申込者のおよそ60%が拒否される(ローンに通らない)といった課題があります。しかし40%は審査は通るわけで、個人間取引でもここを押さえればローンを適用する余地が生まれます。これまで個人間取引は、取引リスクも与信リスクも高く、ビジネスとして嫌煙されてきました。UcarNextはその谷に残された、大きなニーズを補うプラットフォームを目指しています。」

■電子車検証も個人間取引の追い風

2022年、中古車の個人間取引が活発化させる制度改革が決まった。2023年1月から導入された電子車検証(車検証のICチップ化)がそれだ。いまのところあまりメリットがないといわれているが、電子車検証は、車両の登録、車検をすべてオンラインで完結させることができる。日本でナンバー登録ができる施設は、地域ごとの陸運局のみで全国に178か所しかない。

従来、登録手続きのボトルネックになっていた部分だが、電子車検証では販売店などのオンライン手続きで終わらせることができ、登録業務が大幅に短縮できる。車検・車両登録の諸手続き(売買証明、車庫証明、保険証、税申告他)の簡略化は個人間取引も拡大させるかもしれない。同様な制度を採用しているアメリカでは車検施設が12,000箇所あるといい、車検制度が違うとはいえクルマの個人売買比率は42%に達する。

電子車検証のICチップは車両のID管理を可能にする。いわゆる“車のマイナンバー“である。車両の製造から販売、リセール、リサイクル、破棄までの履歴管理、走行記録の管理は、カーボンニュートラルのためのフットプリントだけに使えるわけではない。車両の品質管理と車歴の透明性確保にもつながる。この、”車のマイナンバー“を活用することで、車両の品質管理、適切な取引価格、透明性のある査定は、中古車流通を間違いなく後押しするだろう。

UcarNextのようなプラットフォームは、今後、個人間取引などサブプライム層のビジネスを取り込むスキームとなりうる。フリマサイトやオークションサイト、損保会社との連携、マーケティング分野での応用などが広がる可能性もある。

江﨑氏が登壇する無料のオンラインセミナー【2023年「クルマ×金融」各社の挑戦~サブスク・リース・法人・個人・新車・中古車~】は2月24日開催。申込締切は2月22日正午まで。詳細はこちらから。

《中尾真二》

テクノロジージャーナリスト・ライター  中尾真二

アスキー(現KADOKAWA)、オライリー・ジャパンの技術書籍の企画・編集を経て独立。現在はWebメディアを中心に取材・執筆活動を展開。インターネットは、商用解放される前の学術ネットワークの時代から利用し、ネットワーク、プログラミング、セキュリティについては企業研修講師もこなす。エレクトロニクス、コンピュータのバックグラウンドを活かし、自動車業界についてもテクノロジーを中心に取材活動を行う。

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