カーボンニュートラルに関する政策動向と、企業の先進的な取り組み
近年、カーボンニュートラルに向けた各国政府のコミットメントが次々に公表され、これと並行して企業に対する温室効果ガス(GHG)排出量の削減に関する要求も急速に高まっている。こうした脱炭素化の流れに伴って、市場でも「脱炭素(カーボンフリー)」の製品やサービスに対するニーズが高まり、ESG経営の実践に関する優先領域の1つとして注目されている。他方、こうした脱炭素型の製品やサービスを提供するには、サプライチェーン全体を対象に、調達・生産・出荷・販売などの各プロセスを統合的に管理し、他社と連携しながら、GHG排出量などのデータを定量的に把握する必要があり、多くの企業がその対応に苦慮している状況にある。
主要国におけるカーボンニュートラル目標の設定状況を見ると、日本をはじめ、EU、英国、米国などの先進国は、2050年時点におけるカーボンニュートラルを宣言している(図表1)。中国は10年遅れではあるものの、2060年のカーボンニュートラルの目標を掲げている。これらの宣言に伴って、2030年の中期目標も強化した国が多く、今後は産業界を含めて、GHGの排出削減に関する具体的な取り組みが求められる。
主要国では、どの国も2030年時点での半減程度の排出水準を目標としている。日本政府は長期目標として「2050年カーボンニュートラル」を掲げ、2030年時点でGHG排出量の2013年比46%削減を目標としており、これを実現するには、すべての産業にわたって脱炭素の取り組みをさらに推進する必要がある。
