FRPマジック? コニリオやトヨペットクラウンスポーツのデザイナーが語る

コニリオ
コニリオ全 3 枚

『FRPボディとその成形法』新装版
著者:工業デザイナー 浜素紀
発行:グランプリ出版
定価:2640円
ISBN978-4-87687-402-6

【画像全3枚】

ガラス繊維強化プラスチック(FRP)を用いた工業デザイナーの第一人者である著者が、その経験をもとに詳細を語る。海外のFRPボディのクルマを解説するほか、自身が手掛けた『コニリオ』や『トヨペットカスタムスポーツ』にも触れた貴重な1冊である。

ガラス繊維強化プラスチック(FRP)は、軽くて丈夫で作りやすい特徴から、自動車の分野では開発試作品やショーモデルにとどまらず、自分だけの作品を手作りする格好の素材となっている。本書では、製品の成形にとりかかる前の原型と雌型の製作、それにいくつかのディティールの作り方などについて、大学でデザイン科の学生たちにFRP成形技法を教えた経験をもとに解説。

またアメリカでは1953年のシボレー『コルベット』が大メーカーとしてFRPを採用した1台として有名だが、それ以前からFRPボディのクルマ達が小メーカーで多く発売されていた。それらのクルマ達とその時代背景をデザインと絡めており、同様にヨーロッパにおいてもロータスやTVR、アルピーヌやD.B.などのメーカーとクルマを取り上げ、その歴史なども含めて語られている。

そして、浜氏自ら手掛け、作り上げたコニリオやトヨペットクラウンスポーツのヒストリーをはじめ、当時の日本での状況なども詳細に記されているので、デザインに興味のある人にも勧められる。

このように本書はまさに、FRPという素材そのものの技術的側面とともに、実際にFRPを使用したクルマのヒストリー、デザイン的特徴といった両面が解説されているので、FRPというものがどのような特徴があり、どのように加工し、その結果として、クルマではどう使われているのかといった俯瞰した視野のもとに書かれている貴重な1冊といえる。

本書は、『FRPボディとその成形法』(1998年3月20日初版発行)の内容はそのままに、カバーデザインを一新して刊行する新装版である。

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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