5月10日のトヨタ決算説明会の場で、トヨタの中嶋裕樹副社長は以下のようなコメントを残している。
「上海モーターショーを視察して、正直に言って驚きを隠し得ない部分がたくさんあった。特に、電動化の競争というよりも、EVが当たり前になった上で、智能化の競争が非常に活発に行われているという印象を持った」
現地を取材した筆者自身も、同行した編集者も、これと同じ感想を持った。おそらく現地を見た誰もがそう感じたはずだ。
◆智能化=3つの必須機能
では、ここでいう智能化とは具体的に何か。日本語では知能化と書くべきだろうが、中国では智能化と書く。智能化と聞いて中国人が連想する3つの機能があり、運転支援機能、音声認識機能、そしてクルマのスマホ化機能だ。本稿では、クルマのスマホ化機能について取り上げたい。
クルマのスマホ化と省略して書いたが、具体的には、以下の機能が含まれる。
車載IVIシステムからクルマ用のアプリマーケットにアクセスし、欲しいアプリをクルマにインストールし、利用できること
スマートフォンと同じアカウントでログインし、アプリの利用状況などが同期されること
アカウント連携によって、スマートフォンやスマートウォッチをクルマの連携デバイスとして使えること(キーロック、遠隔エアコン操作、ビデオ通話、走行ログ表示など)
これらをすべて搭載したモデルは少ない(「AITO M5」など)が、1と2の機能については、モーターショーに展示されていた中国メーカーのEVにはほとんど搭載されていた。搭載されていないのは、宏光MINI級の小型EVだけだ。
◆UIは各社とも似通っている
これらの機能はどのように実装されているのか。実際のIVIの画面を見ていこう。
面白いことに、IVIのUI設計はどのメーカーも驚くほど類似している。ということは、この機能はもはや差別化領域ではなく、標準機能として捉えられているということだろう。