【フェラーリ SF90XXストラダーレ】レーシングカーとロードカー、2つの開発プログラムを融合

フェラーリ SF90XXストラダーレ
フェラーリ SF90XXストラダーレ全 18 枚

フェラーリジャパンは、サーキット専用のXXプログラムのコンセプトと公道走行可能なスペシャルバージョンを融合させた、フェラーリSF90XXストラダーレ』を日本で発表した。SF90XXストラダーレのグローバルでの生産台数は799台。価格は9800万円から。

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◆既存のスペシャルバージョンとXXプログラムと

SF90XXストラダーレについて、フェラーリ極東・中東地域代表のディーター・クネヒテル氏は、「この20年間、フェラーリでは既存のモデルをベースにしてパワーアップするなどでドライビングの楽しみなどを向上させ、特にレーシング特性を増幅したスペシャルバージョンをラインナップさせてきた」と語り始める。例えば『599GTO』、『F12TDF』、『488ピスタ』、『812コンペティツィオーネ』といったクルマ達だ。

一方、フェラーリのXXプログラムは、「選ばれたエクスパートのオーナーの皆様に、公道走行ができない究極のクルマでサーキットを体験してもらうために用意したもの」とし、2005年にスタートしたXXプログラムでは『F599XX Evo』、そして『FXX K Evo』などのサーキット専用モデルが存在。そして今回、「新しいコンセプトとして、公道走行可能なモデルを発表する。それがSF90XX ストラダーレ」なのだ。

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SF90XX ストラダーレは、SF90ストラダーレをベースに「XXプログラムの最高のレーシング特性と既存モデルをベースにしたスペシャルバージョンを融合させた初のコンセプトである」とクネヒテル氏。目指したのは、「レーシングカーの爽快な体験を再現すると同時に、公道をも走ることができること」とコメント。

最高出力はシステムトータルで1030馬力とSF90ストラダーレから30馬力アップし、「ロードカー最強のパワートレインだ」とクネヒテル氏はいう。V型8気筒ターボエンジン単体では797馬力で、吸排気ダクトのポリッシュで効率性を高め、燃焼室への特殊な機械加工と新ピストンによって圧縮比を引き上げ、同時に二次空気導入装置を排除することで従来エンジンより3.5kgの軽量化に成功。

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さらに、フロントエンドの安定性が向上したことにより、「5速や6速でまわることができる高速コーナーはミリ単位でラインをトレースすることが可能な一方、タイトターンでは限界に挑む大胆な動きも可能になっている」という。

また、SF90XXストラダーレにはエクストラブーストも搭載。「F1由来の制御ロジックで短時間で強力なパワーを発揮してくれる」という。eマネッティーノのQuelifyingモードでのみ作動し、車両がコーナーを立ちあがる重要な局面でパワーを上乗せする。この機能単独で、フィオラノのラップタイムが0.25秒短縮するという。

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そして、『F40』や『F50』以来となる固定式ウイングが採用された。同時にウイングの下にあるシャットオフガーニーも再設計。これはボディ側にあり、通常はボディと一体となって整流効果をもたらし、よりダウンフォースが必要なシーンではボディ内に下降し、空気の流れを塞ぐような状況を作りリアのダウンフォースを生み出すようになっている。

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こういったことからリア周りはSF90ストラダーレとはかなり違った印象となり、「よりスリムで流れるような外観が完成。印象的で効果的なロングテールの処理が施されている」とのことだった。

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フロント部分は、「アイコニックなハンマーヘッドシャークノーズを採用。これもSF90ストラダーレから踏襲しながらも、新解釈しより力強く個性が増している。シャープなラインを示しながらクルマの視覚的なインパクトを変えている」と述べ、フロントスプリッターがSF90ストラダーレよりも大型化されている。

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そのほかドアパネル、トンネルコンソール、そしてシートなどを軽量化。特にシートは、「ドライビングエクスペリエンスをさらに高めるためにXXシリーズからインスピレーションを得て開発。軽量(従来比マイナス1.3kg)でありながら、モノコックシートにはなかった快適性を実現している」と語り、あらゆる面でサーキットとロードゴーイングカーを両立していることを語った。

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◆顧客満足度のさらなる向上

9月1日付でフェラーリジャパン代表取締役社長に就任したドナート・ロマニエッロ氏がSF90XXストラダーレの発表に先立ち登壇。イタリア出身ではあるが、日本の自動車業界で20年以上の経験を持ち、2012年にフェラーリジャパンにマーケティングディレクターとして入社し、2016年にセールスダイレクターとして8月まで勤務した経験を持つ。

ロマニエッロ氏は、「日本語を話し、読むことも書くこともできるが、未だに日本の繊細で奥深い文化については毎日が新しい発見と学びの連続だ」と日本に対して好感を持っていることを示唆。フェラーリジャパンのこれからの戦略について、「より良いサービスを提供することにフォーカスし、常にお客様満足度の向上と、ネットワークを更に成長させること」とコメントした。

フェラーリ極東・中東地域代表のディーター・クネヒテル氏(左)とフェラーリジャパン代表取締役社長のドナート・ロマニエッロ氏(右)フェラーリ極東・中東地域代表のディーター・クネヒテル氏(左)とフェラーリジャパン代表取締役社長のドナート・ロマニエッロ氏(右)

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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