タイ・ベトナム・インドネシアの電動化とEV産業…現代文化研究所 町田倉一郎氏[インタビュー]

タイ・ベトナム・インドネシアの電動化とEV産業…現代文化研究所 町田倉一郎氏[インタビュー]
タイ・ベトナム・インドネシアの電動化とEV産業…現代文化研究所 町田倉一郎氏[インタビュー]全 2 枚

来たる12月1日、オンラインセミナー「東南アジア自動車市場における電動化の今後とEV産業~日系OEMや部品産業の脅威と機会~」が開催される。セミナーに登壇するのは、現代文化研究所 主任研究員の町田倉一郎氏。

株式会社 現代文化研究所は、自動車・モビリティ領域を重点とするトヨタグループの調査・研究法人で、日本企業向けに事業立案やマーケティング活動を支援している。

今回のセミナーは以下のテーマで進められる。

1.主要国別のBEV市場概況
(1) グローバル自動車市場のBEV化における東南アジア市場の立ち位置
(2) タイのBEV関連政策、市場プレイヤー、市場規模と特徴
(3) インドネシアのBEV関連政策、市場プレイヤー、市場規模と特徴
(4) ベトナムのBEV関連政策、市場プレイヤー、市場規模と特徴

2.主要国別の自動車市場/BEV市場見通し
(1) タイの自動車市場/BEV市場の見通し
(3) インドネシアの自動車市場/BEV市場の見通し
(4) ベトナムの自動車市場/BEV市場の見通し

3.東南アジア市場の将来変化と日本の自動車産業が適応するには
(1) 東南アジア自動車産業に起こり得る変化
(2) 変化する市場で生き残るための中国系OEMとの付き合い方
(3) 日本の自動車産業に求められる変化への適応

セミナーに先立ち、見どころを町田氏に聞いた。セミナーの詳細はこちらから。

■モーターショーの人気ランキングに注目

---:今回のテーマは東南アジアのBEV市場についてです。やはり中国メーカーのBEVの進出が気になりますね。

町田氏:そうですね。中国のBEVが東南アジアで存在感を増しているのは間違いありません。それを端的に示す例として、モーターショーでの予約販売台数のランキングがあります。

というのも、東南アジアでは、モーターショー期間中にとにかく車を売って成約をガンガン取るっていう、元来のモーターショーの姿が今でも残っているので、モーターショーでの売れ行きで、その年の人気やトレンドが見えると言われているんです。

実際のランキングでは、上海汽車系のMGの人気がぐんぐん上がっていますし、それに加えて長城汽車やBYDも今年の3月末にあったバンコクモーターショーでは上位に食い込んでいますね。

MGはすでにいすゞやスズキを上回っていますし、長城汽車もいすゞを上回るレベルまで来ており、マーケットでの存在感を高めています。

このセミナーは12月1日に開催される予定ですが、その3ヶ月後にはバンコクモーターショーがありますので、その結果がどうなるか、ぜひ皆さんにも注目していただきたいところです。

---:そこでの販売ランキングは要チェックですね。

町田氏:そうですね。中国系のメーカーがさらに上位に上がってきたり、新たなプレイヤーが入ってくるかもしれません。BYDもおそらく上位に食い込んでくるだろうと思います。

タイの1人当たりGDPを考えると、ガソリン価格は日本と同じぐらいなので、かなりの負担ではありますし、都心部は渋滞も多くて、正直言って日本より燃費が悪くなることもあると思うんです。

なので、ハイブリッドも競争力はあるし、長距離走る人にとってはハイブリッドの方がいい、っていうのはあるんですけど、都心部を中心にコンパクトカーからオセロをひっくり返されていくようなリスクはあると思います。

■コンパクトなEVに強い中国メーカー

---:タイの市場で売れているBEVはコンパクトなものが多いんですか?

町田氏:基本コンパクトカーですね。それはタイに限らず、インドネシアもそうなんですが、何が売れてるかと言えば、長城汽車系のORAグッドキャットや、最近セールスが伸びていて今上位にいるのがBYDのATTO3なので、コンパクトカーとコンパクトクロスオーバーが人気車種ということになります。

中国のBEVは、日系や韓国系、欧州系よりも圧倒的に安いので買いやすいということもありますね。タイの消費者は割賦で買い物を考える傾向があって、例えば毎月100収入があるとして、必要経費が60とすると、残りの40をどのように割賦で使うかを考える。そうすると、安い中国車がその割賦のなかにうまく収まって、パッと買ってしまうということですね。

ただ、実は中国メーカーは安かろう悪かろう、というイメージがタイにはあるんです。というのは、以前、東南アジアに中国のバイクメーカーが一斉に進出してシェアを大きく取ったことがあったんですが、品質が低かったことやアフターサービスの悪さがあって、あっという間にシェアを失って、結局バイクの市場は日本のメーカーばかりに戻ったんです。


《佐藤耕一》

日本自動車ジャーナリスト協会会員 佐藤耕一

自動車メディアの副編集長として活動したのち、IT企業にて自動車メーカー・サプライヤー向けのビジネス開発を経験し、のち独立。EV・電動車やCASE領域を中心に活動中。日本自動車ジャーナリスト協会会員

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