ホンダ、最高益でも三部社長が頭を痛める「PBR1倍割れ」

ホンダの三部社長
ホンダの三部社長全 7 枚

ホンダが5月10日に発表した2024年3月期の連結決算は、売上高にあたる売上収益が前期比20.8%増の20兆4288億円、営業利益が同77.0%増の1兆3819億円、当期純利益が同70.0%増の1兆1071億円と、業績は過去最高を更新した。


◆決算会見に社長登場は初めて

「実は本決算に歴代社長が出たことがなくて、私が初めてとなる。理由としては、この非常に難しい変革期の中で、トップの私が今の経営状況、それを踏まえた短期、中期の取り組みを直接発信することが重要だと考えた」と三部敏宏社長は話す。

やはり過去最高の業績をたたき出して、出席しやすいということが一因になっているのだろう。販売台数も二輪車、四輪車とも好調で、それぞれ前期に比べて6万2000台増の1881万9000台、42万2000増の410万9000台となっている。

◆株価純資産倍率は赤点

営業利益率も6.8%で25年度の目標としている7%に手が届きそうだ。もっとも、その数字を押し上げているのは二輪事業で、営業利益率が17.3%と非常に高いためだ。四輪事業だけを取ってみると、4.1%となっており、OEMメーカーの中で最下位だ。

そんな現状だが、三部社長が今最も頭を悩ませていると言ってもいいのが企業価値の向上である。現在、PBR(株価純資産倍率)が0.7倍と1倍を切っている状態だ。東京証券取引所でも「上場会社にはPBR1倍超にむけて、積極的な取り組みを実施してほしい」としている。言ってみれば、PBR1倍が経営者としての合格ラインで、それ以下は経営者としては“赤点”ということだ。

「プライム市場の6割の企業がPBR1倍を超えている。そんな中で、ホンダは3月末時点で言うと、0.76倍となっていて非常に大きな課題だと考えている」と三部社長は話し、その要因として「資本の積み上がりによる資本効率の低下」「四輪事業の収益性」「電動化不透明感による将来不安」の3つを挙げる。

◆ホンダは大きく変わってしまった

かつてホンダの株価はトヨタ自動車より高かった。それだけホンダのクルマづくりやその将来性に期待する人が多かったわけだが、この10年ぐらいでホンダを見る目が大きく変わってしまった感じだ。そのため、見切りをつけて辞めていく社員も少なくないという。

「対応の方向性として、積極的な株主還元による資本の適正化、収益基盤の確立とその継続、電動化戦略の明確化を進めていく。24年度の取り組みとしては、3000億円の自己株式を取得し、収益性に関しても営業利益7%の達成にメドをつけている」と三部社長は話し、電動化戦略については5月16日のビジネスアップデートで詳細に説明するという。


《山田清志》

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