スズキは、米国ネバダ州ラスベガスで開催されたCES 2025(1月7日~10日)に初出展。“小・少・軽・短・美(しょうしょうけいたんび)”のテーマの下、スズキのものづくりの理念をさまざまな手法で紹介した。
会場を訪れると、正面には軽トラック『スーパーキャリイ』が置かれていた。この展示に「スズキは軽トラで米国進出を狙っているのか!?」と思ってしまいそうだが、実はそうではない。スズキはこの展示で、1961年にキャリイが登場して以来、スズキが世に示してきた“ものづくりの理念”をアピールすることを目的としていたのだ。

実は、昨年のCES 2024を取材した際、筆者は「スズキの社員150人前後が視察に訪れている」との噂を聞いていた。聞くところによれば、スズキはかねてよりCESには注目しており、視察のために社員を毎年派遣してきていたという。そんな中でより多くの人たち(仲間)との交流が育まれ、ここから新たなモノづくりが生まれるようになった。そんな結果を示すことを目的としてCES 2025への出展が実現したという。
電動車椅子の足回りを活用したベンチャーによる様々な実例
では具体的にどんな成果が生まれたのか、その出展内容を紹介したい。まず、今回の出展のメインとしていたのが「電動モビリティベースユニット」だ。

これはスズキが電動車椅子で培ってきた技術を応用し、用途に応じたロボットの足回りとして提供できるようにしたもの。その中でスズキが車両側の制御技術をベースユニットとして提供することで、スタートアップが目指す開発のハードル引き下げにもつながる。すでに多くのスタートアップが自律走行やAIなどの技術を組み合わせており、スズキとしては今後も様々な社会課題解決を役立つモビリティ開発に貢献していく考えだ。
会場には電動モビリティベースユニット本体のほか、それを活用したLOMBYの自動配送ロボット「LM-A」や、エバーブルーテクノロジーズの「除雪ドローンV3」を出展。LM-Aはすでに八王子市のセブンイレブンで配送の実証実験を展開中で、除雪ドローンはこれまでにも無人で除雪を行うロボットとして実績を積んできているところだ。スズキは今後も様々な分野の共創先を模索し、新たな価値創出を進めていくという。
自動運転LV4も可能なジムニーのシャシーを活用した電動台車
会場中央で目立っていたのが、ジムニーのラダーフレームを活用した「自動運転電動台車」だ。スズキがオーストラリアのソフトウェアカンパニーである「Applied EV」と共に開発したもので、主として、物流現場の効率化や人手不足に悩む地域での働く人の代わりとして役立つ製品、サービスの提供を目指す。自動運転の普及も見据えており、ワークモビリティ上での高い安全性をシンプルな小型自動車サイズで実現したのもポイントとなる。
