自動車開発に欠かせない試験・評価環境、UL Solutionsならではの充実性と信頼性の高さ…人とくるまのテクノロジー展2025

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UL Solutionsブース(人とくるまのテクノロジー展2025 YOKOHAMA)
UL Solutionsブース(人とくるまのテクノロジー展2025 YOKOHAMA)全 26 枚

自動車関連の最新技術が数多く紹介された「人とくるまのテクノロジー展2025 YOKOHAMA」(パシフィコ横浜、会期:5月21日~23日)。その中で、UL Solutionsは自動車開発に欠かせないEMC試験や各種評価に関する充実した環境と信頼性をアピール。本記事では、幅広い試験環境を展開する同社の取り組みについて紹介する。

自動車の進化に合わせたEMC試験環境を新設

UL Solutionsのブースを訪れると、「車載機器EMC試験・電気試験」「無線試験」「サイバーセキュリティ」「信頼性・安全性試験」「水素機器/バッテリー評価サービス」「材料評価」「開発プロセス:管理ツール・コンサルサービス」の7つのパネル展示がズラリと並び、同社が手がける事業範囲の広さを感じさせる。中でも同社の根幹事業の一つであるEMC試験についてのコーナーは非常に興味深い。

「車載機器EMC試験・電気試験」「車載機器EMC試験・電気試験」

EMC試験とはEMC(Electromagnetic Compatibility)電磁両立性試験と呼ばれるもの。さまざまな電子機器から発生する電磁波が他の電子機器に障害を与えないこと、さらに他の電子機器が発生する電磁波(ノイズ)を受けて自らの電子機器が影響を受けないこと、その両立によって電子機器のトラブルが起こらないようにするのがEMC規制であり、その規制をクリアしているか試験で確認する必要がある。多様化し高度化し増え続ける近年の電子機器では、そういった点があらためて重視されているのだ。

特に自動車に搭載される機器にも近年ますます電子機器の搭載が増え続けている。電気自動車(BEV)やハイブリッド車(HEV)、さらにはADASや自動運転など、さまざまなカテゴリーや機器に電子機器は必要不可欠な要素となっている。それらの機器は一つひとつがEMC規制の対象となっているため、適切な試験を経て基準を満たした機器のみが使用可能になる。そのための試験を担当しているのがUL Solutionsなのだ。試験を通じて国際規格に準拠していることを確認し、法令に則った電子機器であることを実証するのが同社によるEMC試験の役割だ。

同社は日本国内に5カ所の試験所を持ち(本社EMC試験所&大型モビリティ試験棟/三重県、横輪EMC試験所/三重県、湘南EMC試験所/神奈川県、鹿島EMC試験所/千葉県、オートモーティブテクノロジーセンター/愛知県)、EMC試験を幅広く手がけているのだが、自動車の進化に合わせて新たなEMC試験環境の対応に迫られていた。そこで2026年下期、新たな試験所を愛知県豊田市に開設する。

コンシューマー機器事業部 コマーシャルグループ シニアセールスマネージャーの田畑裕也氏コンシューマー機器事業部 コマーシャルグループ シニアセールスマネージャーの田畑裕也氏

コンシューマー機器事業部 コマーシャルグループ シニアセールスマネージャーの田畑裕也氏はその特徴や反響を「モーター、インバーター、eアクスル、さらには高電圧DC/DCコンバーターなど、EV時代の機器類に必要とされる新しいEMC試験に対応する試験所として開設するものです。それらの試験環境で必要とされる高電圧・高電流・高回転数・高トルクに対応した試験を提供可能な、日本国内でも数少ないEMC試験所となることから期待が寄せられています」と語る。

日々変化する電波法に逐一対応が可能

「無線試験」「無線試験」

近年の車両には数多くの無線通信が利用されており、それらの試験も同社の事業分野における大きな柱となっている。そもそも無線は各国の電波法などで規制され無線機器は試験を経て基準を満たした上で認可を受ける必要がある。その点で世界各国の無線試験・認証取得をサポートしているのが、UL Solutionsの大きな強みでもある。例えば米国のFCC(Federal Communications Commission)に代わって認証を行う第三者機関であるTCB (Telecommunications Certification Bodies) になっていることからもわかるとおり、世界の電波法や規制を知り尽くしている点がこの分野における大きな優位性となっているのだ。

「各国の電波法は日々刻々変わっていき試験や認証に要求される項目も変化し続けています。それに逐一対応できるのも我々の強みです。世界各国・地域の電波法への試験・認証取得サポートを行ったり、顧客に対して各国・地域の最新の規制情報を伝えるGCM(Global Compliance Management/規制情報提供サービス)を提供しているのも当社ならではの取り組みです」(田畑氏)

高まるサイバーセキュリティ対策への注目

「サイバーセキュリティ」「サイバーセキュリティ」

また、昨今大きなトピックになっているのがサイバーセキュリティ対策だ。このジャンルでもUL Solutionsは大きな動きを見せている。その一例として欧州のRED(Radio Equipment Directive/無線機器指令)対応が挙げられるが、こちらはサイバーセキュリティの試験を新たに課している。DDoS(Distributed Denial of Service)攻撃に対する耐性、製品が取り扱う個人情報の保護レベル確認など、その試験項目は多岐にわたる。近年はクルマに対するハッキングも問題になっており自動車の分野でもサイバーセキュリティに関する注目も高まっている。

「ただしサイバーセキュリティ規制に対して“何をすれば良いのか”がわからない企業も数多いため、当社が持つ情報を提供するアドバイザリーの支援も行っています」(田畑氏)

ワンストップで信頼性/安全試験まで

「信頼性・安全性試験」「信頼性・安全性試験」

車載機器に特化した信頼性試験サービスも手がけている。EMC試験を手がけていたところ、各社からワンストップで信頼性試験も対応してほしいといったニーズを受け、豊富な安全試験に対する知識、経験を活かして2019年にスタートした事業分野だ。ここではエンジンルームのような、振動が激しく、高温で油・塩水にもさらされる場所においても、電子機器はその過酷さに耐えうる耐久性があるかの確認、さらには光放射安全試験(車載レーザーやLEDなどの安全の評価)も行っている。これまでは自動車メーカーが自社で行ってきた試験だが、近年はアウトソーシングが進む分野でもあり、同社はここでも業界をリードする存在になっている。

短納期で効率的なTesTneTの水素機器評価

「水素機器/バッテリー評価サービス」「水素機器/バッテリー評価サービス」

UL Solutionsは水素機器やバッテリー評価の分野でも実績を持つ企業だ。今回は、水素機器評価を手がけるUL Solutions傘下のTesTneT(テストネット)のSenior Business Manager マリウス・ヘル氏(Dr. Marius Herr)がドイツから来日し説明を担当してくれた。水素機器の評価は大きく分けて二つのカテゴリーがある。一つはバルブなどの部品レベルの試験、もう一つが車載タンクや商業用のタンクなどを試験する項目だ。同社では、部品およびタンクの機能検証もしくは顧客の要求や様々な国際規格に基づいた承認プロセスの一環として、幅広い試験を実施している。これらの試験の多くは、最大100MPaの圧力下での漏れの有無と耐久性を確認することを目的としている。例えば水素タンクがどの程度の圧力まで耐えられ、どの時点で破裂するのか試験を実施することで安全レベルを満たしているかを確認している。特にドイツとカナダに配備する耐圧サイクル試験設備は、高度に自動化された連続試験が可能なため、非常に効率的に試験を実施できる。こうして水素機器の開発段階から認証までをサポートすることが可能で、さらに国際認定機関への認証も含めて任せられる。

「TesTneTは、短納期で効率的なのも業界での認知度を高めている理由です。今後は燃料電池や液化水素などの試験も含めて、取り扱いの幅を広げて行く予定です」(ヘル氏)

TesTneT(テストネット)Senior Business Manager マリウス・ヘル氏(Dr. Marius Herr)TesTneT(テストネット)Senior Business Manager マリウス・ヘル氏(Dr. Marius Herr)

一方バッテリーに関する評価サービスも取り扱っている。特に近年は産業用の蓄電池システムの容量アップやBEVバッテリーの需要の拡大などもあって、バッテリーの評価に関するオーダーが急増中だという。UL Solutionsでは北米(アメリカ ミシガン州)にも新たなバッテリー評価の施設を設置するなど、バッテリー評価の対応力アップに急ピッチで取り組んでいる。

TIC Industrial営業部 Energy & Industrial Automation担当 セールスエグゼクティブの山田涼介氏TIC Industrial営業部 Energy & Industrial Automation担当 セールスエグゼクティブの山田涼介氏

同部門を担当するTIC Industrial営業部 Energy & Industrial Automation担当 セールスエグゼクティブの山田涼介氏は、「高エネルギー密度、高容量バッテリーセルやパックの破壊試験、電気試験などを行っています。またバッテリーが燃えてしまった際に周囲にはどのような影響が出るか検証を行うこともあります。近年はBEV用のバッテリー、さらには定置用バッテリーの評価も増えています」と話す。

材料評価ではバッテリーの熱暴走を再現した試験も

「材料評価」「材料評価」

同社では、材料評価として自動車用材料やケーブル試験サービスにも力を入れている。バッテリーパックに使用される材料の評価試験として、UL 2596がある。UL 2596 TaG(Touch and Grit)試験は、1200℃の炎とアルミナ粉末によるリチウムイオンバッテリーの熱暴走時を模擬した評価試験方法である。TIC Industrial営業部 Engineered Materials セールスエグゼクティブの土井真美氏は、「自動車の電動化に伴い、バッテリーパックに使用される材料のみならず、近年では超高速給電システムに使用される材料の600V~900Vacでの耐トラッキング性試験法、UL 2597を2025年5月6日に発行しました。さらに、プラスチック材料のnon-PFAS(有機フッ素化合物)認証(UL 746G)も提供しています。これからもこの様なお客様のニーズに合った評価試験の開発を行っていきます」と話す。さらに、プラスチックのリサイクル材料の評価試験・UL認証も同部門で手がける。

TIC Industrial営業部 Engineered Materials セールスエグゼクティブの土井真美氏TIC Industrial営業部 Engineered Materials セールスエグゼクティブの土井真美氏

また、様々なケーブル評価・試験サービスも提供している。車載ネットワークの高速化に伴い、Automotive Ethernetの高周波信号伝送の信頼性評価の要求が高まっている近年では、ISO/IECやOPEN Allianceなどの国際規格に準拠した試験や、OEMやサプライヤーの開発支援も行っている。

ツール販売やコンサルサービスによるサポート (UL Solutions Software Intensive Systems:SIS*)

「開発プロセス:管理ツール・コンサルサービス」(UL Solutions  Software Intensive Systems: SIS)「開発プロセス:管理ツール・コンサルサービス」(UL Solutions Software Intensive Systems: SIS)

最後に、ここまでのUL Solutionsの業務分野とは大きく異なるジャンルである開発ツール/コンサルサービスについての展示があったので紹介したい。担当であるコンシューマー機器事業部 Software Intensive Systems(SIS) シニアセールスエグゼクティブ 宮澤充氏にSISの事業内容について話を聞いた。

「私達の部署ではソフトウェア集約型製品をサポートしており、ツールの販売やコンサルティングサービスを行っています。具体的にはSDV(Software Defined Vehicle)やAI、自動運転などのソフトウェアに関わる新しいジャンルのコンサルティングや、開発プロセス管理のためのツールの提供を行っています」

コンシューマー機器事業部 Software Intensive Systems(SIS) シニアセールスエグゼクティブ の宮澤充氏コンシューマー機器事業部 Software Intensive Systems(SIS) シニアセールスエグゼクティブ の宮澤充氏

コンサルティングサービスとしては自動車のサイバーセキュリティ、Automotive SPICE、機能安全、自律安全/SOTIF、AI/MLなどの領域をカバーしており、AIを活用した車載システムの安全性確保に関する新国際規格ISO/PAS 8800にもいち早く対応している。また、開発期間が短縮傾向である一方で規格・法規制への準拠が年々複雑化する開発サイクルをマニュアルで管理することが限界に近づいていることから、法令・規格に準拠したプロセスの実行と効率的な管理を実現するDXツール「Stages」を提供している。この様にSISは規格・法規制に準拠したプロセス構築支援から、プロセス管理ツールの提供まで、一貫したプロセス支援を行っている。

*ULグループ企業として、自動車業界向けに幅広いサービスを提供しています。これには、試験、検査、評価、認証、コンサルティングサービスが含まれます。利益相反の防止と保護、利益相反の認識、当社およびお客様のブランド保護を目的として、UL Solutionsでは潜在的な利益相反を特定し管理し、公平性を維持するためのプロセスを導入しています。


多岐にわたる評価、試験環境を自社で備えるUL Solutions。自動車の電動化や自動運転をはじめとする時代に合わせた進化にも、スピーディに対応していることがわかった。自動車関連の開発、製造を行うメーカーにとっては、幅広い分野で協力関係が築けるのも魅力だろう。

同社は、7月16日~18日にAichi Sky Expo(愛知県国際展示場)で開催される「人とくるまのテクノロジー展2025 NAGOYA」にも出展予定だ。各担当者による詳細な説明を受けることができるので、ぜひ足を運んでみてほしい。

UL Solutionsの自動車・車載機器向けサービスはこちら

《土田康弘》

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