ブリヂストンは21日、岐阜県関市にあるブリヂストン関工場敷地内において、使用済みタイヤの精密熱分解パイロット実証プラントの起工式を行った。
使用済みタイヤを「資源」としてゴムや原材料に「戻す」ケミカルリサイクル技術の確立に向けた実証実験を行うという。竣工は2027年を目指す。
◆ 起工式の概要と狙い

現在タイヤは日米欧ともに「燃料利用」と「他製品へのマテリアルリサイクル」が主流になっている。日本国内においてタイヤの99%が何らかの形で再利用されている(JATMA2023資料)。そのほとんどの85%が燃料として使われており、マテリアルは14%、その他が1%、ケミカル熱分解は0%となっている。つまりさまざまな工場の燃料として、油の代わりとしてタイヤは燃やされており、原材料再生資源にはほとんどなっていない。

タイヤの原材料は、天然ゴム・合成ゴムが約半分、充填材(カーボンブラック)・配合剤といったゴムの性能を向上させる材料が約15%、タイヤを補強する繊維や鋼材が残りの15%となっている。この中で合成ゴム、充填材(カーボンブラック)・配合剤、補強繊維は化学資源由来となっているため、再生資源とすることで原材料の安定調達と再生材の使用拡大につながる。これはブリヂストンが目標にしている2050年100%サステナブルマテリアル化に向けて、合成ゴム・カーボンブラックの再生資源化に大きく貢献し、水平リサイクルの実現により、サーキュラーエコノミーの実現+競争優位性の確立になるという。
ただタイヤの中にはさまざまな原材料が混ざっているため、それぞれの原材料に分離し、資源として再利用しにくい状況である。一例として挙げられたのは、お好み焼きにはさまざまな材料が入っている中で、一度混ぜたものの中から、小麦粉や卵、キャベツだけを取り出すのが難しいように、タイヤの中から必要な材料を分離して回収するのが難しいという。



