ヤマハが初の長距離ツーリングイベント開催、8万円も「高くない」リピート参加したくなる理由とは

YRA ヤマハ バイクレッスン プレミアムツーリング
YRA ヤマハ バイクレッスン プレミアムツーリング全 18 枚

バイクの販売促進だけでなく、バイク文化の醸成に向けてヤマハ発動機が地道に取り組むのが「YRA(ヤマハライディングアカデミー)」だ。速く走るためではなく、安全にバイクを楽しむ方法を学んでもらうための講習会で、初心者やリターンライダーを中心に人気となっている。

【画像】ヤマハが初開催した長距離ツーリングイベントの様子

座学やバイクを用いての実技、そして会場周辺でのプチツーリングが主なプログラムで、バイクや装具がなくても気軽に、かつ手軽な価格(1万円~1万8000円)で参加できるのが魅力。2025年は全国20箇所以上で開催され、毎回即定員となる盛況ぶりだという。教習所などでは教えてくれない「実践的な走り方」を教えてくれるのはもちろん、ひとりで公道を走るのに不安を覚えるライダーにとって、インストラクターの先導で公道を走ることができるのが何よりのメリットだという。

そんなYRAが初めて、「YRA ヤマハ バイクレッスン プレミアムツーリング」と題した、長距離ツーリングイベントを開催した。従来とは異なる1泊2日のプログラムで、初日には特設会場内でクラッチ操作の確認から安全なブレーキの掛け方といった基礎的な講習・実技から、ツーリングに必要な知識や技術を学び、2日目には長距離ツーリングに出かけるというもの。紅葉が見え始めた10月の長野・車山高原、ビーナスラインを舞台に、15名の参加者たちがバイクと触れ合い、ツーリングを楽しんだ。

YRA ヤマハ バイクレッスン プレミアムツーリングYRA ヤマハ バイクレッスン プレミアムツーリング

◆8万円でも「高くない」

参加費は8万円。会場までの交通費は自腹だ。通常のプラグラムよりも高価だが、レッスン代はもちろん、車両のレンタル代、宿泊費、食事、保険料まですべて含まれていることを考えればほぼ原価と言っていいだろう。実際、参加者からも「バイクを普通にレンタルするだけでも3万円くらいかかる。手ぶらで来るだけで、これまで走ったことのないビーナスラインをツーリングする体験ができるなら、特別に高いとは思わない」といった声が聞かれた。

この日の参加者は、東京や埼玉、千葉など関東から、大阪、京都など関西まで、さまざまな地域から参加しており、年齢層も20代~50代と幅広い。さらに15名のうち半数近くが女性だったのも印象的だった。普段は大型の『MT-09』に乗っているという方や、SSTR(日本列島を横断するツーリングイベント)参加経験者などのベテランから、公道走行は以前YRAを受講した時だけといったビギナーまで、経験も技術もバラバラ。カワサキ『Ninja250』に乗っていた、という女性もいるなど、必ずしもヤマハファンというわけでもない。

プレミアムツーリングへの参加は、過去YRAを受講した人であることが条件となっており、最低でも今回が2回目。このイベントに幅広いライダーが惹きつけられ、リピート参加したくなる理由とはどんなところにあるのだろうか。

◆リピート参加したくなる理由

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20代の女性は、「今年初めてYRAを受講して、初めての公道ツーリングを体験しました。そこから自分では全く運転していなくて、公道で走るのは今回が2回目です。ひとりだけで走るのは不安だし、バイクに乗っている仲間が身近にいないので、ツーリングする機会もなかったんです。だけどバイクに乗りたいなという気持ちはあって、それでこのプレミアムツーリングに参加しました」と話す。

ほかにも「3年前に免許を取って、2年前にYRAに参加して以来、まったく乗っていない」という方や、「35年くらい前にバイクに乗っていたが、リターンするなら最後のチャンスと思って参加した」など、ブランクが長いため、再び乗るためのきっかけとして選んだという方も多い。

バイクに乗る方ならば、この“きっかけ”がバイクに乗る理由としていかに重要かはおわかりだろう。美味しいご飯を食べに行く、良い景色を見に行く、気持ちよく走れるワインディングをめざす…など、個人で目的を定めて出かけるのも楽しみのひとつだが、「ツーリング行こうよ」これに勝るきっかけはなかなかない。

ただ、身近にバイクに乗る仲間がいなければ、SNSでオフ会を探したり、あるいはバイク店が主催するツーリングイベントに参加するという手段に頼ることになるが、運転に慣れた方やベテランはともかく、ビギナーや運転に不慣れな方にとっては敷居が高い。参加者のバイクの種類や、技術レベルもさまざまなので「置いていかれるかも」「迷惑を掛けてしまうのでは」といった不安も抱えてしまうからだ。

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YRAはこうしたライダーたちの受け皿となり、はじめてのツーリングの後押しにもつながっている。単にツーリングに行く、というだけでなく同じ不安や目的をもつ参加者同士が、安全にバイクの走り方を学ぼうとする姿勢をサポートしてくれるイベントだからだ。

「参加した一番の理由は、やはり“安心感”。同じ目的を持つ仲間たちと一緒に走れる安心感は何ものにも代えられなかった。一番不安だったのが山道だったが、今回のルートを完走できたことで、大きな自信につながった」

「サポート体制は非常に心強いものだった。前日に練習する機会があったことも、久しぶりにバイクに乗る私にとっては安心材料だった。初めてのビーナスラインは、カーブを曲がることにとにかく一生懸命だったが、走行自体すごく気持ちが良かった。改めてもっと上手に乗れるようになりたい気持ちが強くなった」

など、安心感が最大の魅力となり、YRAへの参加意欲につながっているようだった。

◆ヤマハを選ぶきっかけに

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バイクに乗るための“きっかけ”づくりから、バイクに乗る楽しさを感じてもらうまで。YRAは手厚いサポートで、バイクファンの創出、醸成をめざしている。「ヤマハが主催していますし、これをきっかけにヤマハファンになってもらって購入いただけるのが理想ではありますが、バイクの楽しさを知ってもらう。改めて感じてもらう。それがゆくゆくはバイク文化の認知や拡大につながっていけば」と担当者は話す。まさに草の根的な活動だ。

今回、参加者に貸し出されたのはヤマハのストリートバイク『MT-25』だが、これを販促するわけでもない。それでも、「ビーナスラインをヤマハで走って気持ちよかった」という思い出が、何かのきっかけでヤマハブランドへの関心や購入につながるかもしれない。そうした地道な活動をおこなっているのがYRAだ。

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その効果は出始めているようで、YRA参加者へアンケートを取ったところ約4割が受講後にバイクを購入しており、その中のさらに約4割がヤマハ車を選んでいるという。ヤマハ車の国内シェアは約12%なので、それと比べても遥かに大きい。YRAの地道なきっかけづくりは実をつけ始めている。

「長距離ツーリングは今回が初めてだが、一定の満足は頂けたと思っている。YRAの普及はもちろん、プレミアムツーリングについても来期も続けていけるようにしていきたい」と担当者は意気込む。一方で課題もある。YRAはリピーターが多いものの、参加者の中でも年単位でブランクがあるライダーが少なくない。「なぜそうなってしまうのか。そこに次の施策のヒントがあるかもしれない」と話した。

2026年のYRAのスケジュール等は、2月に発表予定だという。バイクに乗るきっかけが欲しいライダーは要注目だ。

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《宮崎壮人》

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