東京オートサロンのHKSブースは毎年見どころ満載。膨大なチューニングパーツから最新技術と注目作を厳選し、水口大輔社長が自ら解説した。
HKS 代表取締役社長 水口大輔氏
東京オートサロンでは毎年、盛りだくさんの展示を行うHKS。それもそのはずでHKSが手がけるアイテムはあまりにも膨大だ。その膨大なアイテムのなかで厳選されたものが東京オートサロンに並ぶ。これも毎回恒例だが社長の水口大輔氏自ら展示品の紹介が行われた。
3Rを掲げるブースづくり
HKSブース…東京オートサロン2026水口氏が最初に語ったのはパーツではなくブースそのもののあり方。展示会では什器や造作材が使い捨てにされることも多いがHKSは3R(リデュース リユース リサイクル)を重視し、展示会でも3Rを大切にしている姿勢をアピールした。続いて紹介されたのは「THE HKS」と名付けられたコンプリートカー。HKSパーツを用いて完成車として仕上げたモデルで、今回はR35GT-RとGRヤリスの2台が披露された。
R35GT-Rは4.3リットルのコンプリートエンジンに足まわりやエアロまで含めたフルチューン仕様。特徴的なのは可変式リヤウイングのDRS採用で、価格は1億1,000万円からとなっている。
HKSブース…東京オートサロン2026GRヤリスは「Dimension Y」。専用フルタービンで400馬力級の出力を実現し、WRCで鍛えられたシャシーにHKS流の緻密な過給とバランスを与えた。価格は1780万円からとこちらもスペシャルなプライスタグだ。
シビックタイプRベースのFL550Rが示した実力
HKSブース…東京オートサロン2026HKSブース中央に飾られたのが、伝統のHKSレーシングカラーをまとうシビックタイプR(FL5)ベースのタイムアタックマシン「HKS Racing Performer FL550R」。
タイムアタックマシンと聞くとエンジンやミッションまで別物のフルチューンを想像しがちだが、このFL550Rはエンジンとミッションがノーマル状態。サスペンションやブレーキ、エアロは変更されているものの、この仕様で筑波サーキット コース2000にて58秒776を記録した。限界に挑戦しながらもトータルバランスの重要性が見える好例で、このマシンを使って数多くのパーツ開発が進められるという。
ターボと足まわりで広がるHKSチューニング
HKSブース…東京オートサロン2026ターボチャージャーの説明では数多くのターボの中に置かれた3つの小さなターボが話題に。S660用で100馬力仕様 120馬力仕様 150馬力仕様の3種類を用意する。旧車になりつつあるS660もさまざまな仕様で楽しんでほしいというHKSの思いが伝わる設定だ。もちろんS660に限らず多くの車種で開発を進めている。
その流れで語られたのがRB26用ターボを今後もリニューアルしていく方針。さらに日産SR20やトヨタ2J系はターボ仕様を変えることで特性違いのエンジンを作れることも説明された。GRヤリスもターボ次第で特性が変わる点が付け加えられ、4WDへのアプローチとしてはノマドを含むジムニー向けターボチャージャー設定を例に挙げた。
HKSブース…東京オートサロン2026続いてサスペンションシステム「ハイパーマックス」の解説へ。「ハイパーマックス」は走り心地をキーワードに掲げ、トラックライドというコンセプトでどんな場面でも快適な走りを狙う。微小な凹凸のゴツゴツ感を緩和し、条件次第ではしなやかさも持たせたという。
HKSブース…東京オートサロン2026水口氏はボディチューニングの重要性にも触れ、カーボンブレースとパフォーマンスダンパーを組み合わせて最適化を図っていると説明。両者を組み合わせることでしなやかに曲がることを狙いながら開発を進めているという。パワーだけでも足まわりだけでも成立しないからこそ、トータルバランスが取れたクルマづくりを考えていると語った。
Defi連携メーターとF CONの新提案
HKSブース…東京オートサロン2026エレクトリックパーツも注目度が高い。なかでも日本精機とのコラボで進むメーター類はSNSでの反応も非常にいいという。
第一弾として開発中なのが「Defi Sports Display F(DSDF) Linkage×F-CON V Pro Version 3.4」のメーターとフルコンセット。回転数や速度に加えF-CON Vの情報を表示できる。さらにDSDFとF-CON Vで得た情報をUSBメモリーに保存可能で、タイム計測や加速度データと同時にF-CONの情報をログできて走行データを解析できる。
HKSブース…東京オートサロン2026さらに注目されているのが「HKS ADVANCE LINK METER SET」。こちらも日本精機とのコラボで「Defi ADVANCEシリーズ」の信頼性はそのままに、国産スポーツカー全盛期に一世を風靡したHKSメーターのデザインエッセンスを盛り込んだ3連メーターだ。オレンジ照明や起動時の針のギミックはクルマ好き メカ好きの心を強く揺さぶる。
そしてGR86&BRZ向けにはF-CON V Pro Version 5.0も開発中。電動スロットル 直噴 協調制御に対応し、本体はマグネシウム合金で防水 耐熱性も重視。最大80項目を8時間、サンプリング10msecで記録できる大容量ログ機能を内蔵する。フラットシフト アンチラグ ローンチコントロール バブリング ピットレブリミッター 点火カット トラクションコントロールなど多彩な機能を搭載する。
HKSブース…東京オートサロン2026ノーマルECUをHKSで書き替えてチューニングする「MASTERY ECU」も紹介された。パワーアップだけでなくトルク特性まで踏まえたソフトウエアにすることで、ピークパワーだけでは語れないセッティングを実現できるという。
追加インジェクター再注目と点火系の進化
HKSブース…東京オートサロン2026以前流行したチューニングとして追加インジェクターがあるが、これが再び注目されてきているという。現代の追加インジェクターは直噴エンジンが対象。直噴はチューニングを進めるとバルブにデポジットが発生する場合があり、その抑制に追加インジェクターが有効になる。ただ装着するだけでは効果が出にくく、制御のためにパワーエディターRが必要になる。
点火系ではロータリーエンジン用の点火コイルも開発中。点火コイル自体をブラケット構造とすることで破損などを防止している。
エンジン内部とRB26延命パーツの本気
HKSブース…東京オートサロン2026エンジン本体パーツの開発にも余念がない。水口氏は2J用ピストンで軽量化を目指しブリッジコンセプトデザインを採用していると説明。コンロッドもメタルへの当たりを均一化する工夫を盛り込む。カムシャフトもリニューアル中で最新のシミュレーションを使いプロフィール設計を見直しているという。
さらに「われわれは自前の内製工場で作っています。F1で使うような工作機械もあり、極小Rで加工することでカムのリフト加速度をどう高めるか、といった知見が得られる」と語った。
HKSブース…東京オートサロン2026日産SR20用では「クランクセンサー」と「ダンパー」も紹介。タイミングチェーン採用ゆえクランクワークに対して振動がズレることがあり、そのブレが燃焼安定性を損ねる場合があるという。最新センサーで制御することでエンジンがスムーズに回るようになるとのこと。
HKSブース…東京オートサロン2026さらに会場がどよめいたのがRB26用「強化シリンダースリーブ」と「デッキクラックリペアカラー」。どちらも中古RB26エンジンを前提にした延命パーツだ。
「強化シリンダースリーブ」はオーバーホール時にφ86~φ87のボア径での使用を可能にする。表面に黒鉛が析出する専用材料を使い、鏡面仕上げ加工をしてもフリクション低減が可能。冷却水とオイルが混ざらないようOリングも備える。
「デッキクラックリペアカラー」はRB26のデッキ面で起きやすいウォータージャケットとヘッドボルト穴周辺のクラック対策。「強化シリンダースリーブ」を使うにはデッキ面にクラックがないことが条件だが、カラーに液体ガスケットを塗って挿入するだけでクラック問題を解決し、スリーブ使用を可能にする。年々入手困難になるRB26シリンダーブロックを長持ちさせる提案だ。
カーボンニュートラル燃料と排気系の効率化
HKSブース…東京オートサロン2026HKSはカーボンニュートラル燃料の開発にも積極的。現在開発されているのがバイオ由来エタノール85%の「Bio-E85 Plus」だ。カーボンニュートラル燃料は出力が下がるのではという不安を払拭するため、HKSが率先して実績を積み重ねる方針。筑波サーキットのタイムアタックで結果を出していけば、一般ユーザーにもスポーツ走行での有効性が伝わり、アフターマーケットでもカーボンニュートラル化が進むという考えだ。
HKSブース…東京オートサロン2026マフラーコーナーではキャタライザーの説明も行われた。キャタライザーはターボ直下に装着されるため、排圧低減が出力に大きく影響する。標準は600セル程度のハニカム構造で触媒浄化を行うが、HKSは150セル程度まで減らしつつプラチナ パラジウム ロジウムなど貴金属量を増やし、独自成分も加えることでセル数が少なくても触媒効果を確保する設計としているという。
eハイエースに見る電動化への布石
最後に電動化についても触れられた。HKSでは3年ほど前からeハイエースを開発中。純正エンジンをエクステンダーとして使うハイブリッドモデルで、完成度はかなり高まり工場構内では走行できる状態まで来ているという。近々ナンバー取得を行い公道走行も可能になるとのことだ。
クルマが走るという価値に対し、ありとあらゆる方向から開発を進めるHKS。東京オートサロンのHKSブースはこれからもチューニングと技術の話題を提供し続けてくれそうだ。
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