自動運転技術におけるLiDARは、とかくカメラメインのビジョンシステムと比較されがちだが、多くの専門家が認識しているように、自動運転技術の適否を、カメラかLiDARかといった単純な二元論で評価することに戦略上の意味はない。LiDARやカメラが、実際に動いているADAS車両や市販されているロボカーにどう搭載されているのか、市場動向を見る必要がある。
レスポンスセミナー、「LiDAR、コアセンシング技術から大規模な商業化まで-中国市場と次世代LiDARのトレンド-」は、Hesai Technology シニアディレクター 日本事業ヘッド 胡姚君氏が、LiDARに関する市場および技術動向を、グローバルサプライヤーのエキスパートの視点で分析する。
Hesai Technologyは、2021年から24年まで、ロボタクシー向けのLiDARグローバル市場で6割強のシェアを持つトップサプライヤーで、中国国内のみならず日欧の主要OEM、サプライヤーに採用されている。
人間の300倍の安全性が求められる自動運転
人間はほとんど視覚情報だけで運転しているのでLiDARは必要ないという主張がある。AIの推論や学習によるモデルにおいて、アプローチとしての間違いはない。しかし、胡氏は自動運転では人間を超えた安全性を確保する必要があるという。人間の事故は社会的に受容性が認められる部分があるが、機械による事故は許されないからだ。
「モービルアイが公開している論文によれば、自動運転の安全性は人間の運転より300倍安全でなければならないという。人間の運転が1億マイルごとに致命的なミスを犯すならば、自動運転は300億マイルに1回の割合を目指す必要がある」(胡氏)
つまり、けた違いの安全性が求められる自動運転では、センサーの冗長構成やカメラやレーダーでは見えないLiDARの情報も必要ということだ。だが、それはLiDARがあれば安全が担保されるということにもならない。用途や要件によってセンサーを組み合わせなければならず、「LiDARは目に見えないエアバッグのようなもの」と胡氏はいう。ちなみにエアバッグは、シートベルトを正しく装着した前提で安全設計がなされている。エアバッグがあればシートベルトや座席はなんでもいいというわけではない。

LiDAR市場の現状及び動向
LiDARの価値については技術的な視点の他、コストや価格の問題、国や地域ごとに異なる法規制の問題もある。LiDARの普及モデルの価格はすでに200ドルまで下がっている(HESAI製品の場合)。2017年ごろは市販されているLiDAR製品は3万ドル前後だったことを考えると、99%以上もコストダウンが実現している。「すでに価格の理由はなくなった」と胡氏はいう。

LiDAR製品のコストダウンやロボタクシーブームによって、市場規模は広がっている。その市場をけん引するのは中国市場だ。中国はいまや世界最大の自動車市場であるため、当然といえば当然だ。2025年、中国NEV(EV+PHEV)の販売台数はおよそ1,250万台。このうちLiDARを搭載した車両は258万台に達する。NEVの約21%がなんらかの形でLiDARを搭載している。
中国市場の規模が一番大きい。NEV車市場の21%がLiDAR搭載。1250万台ほど販売されている。300万個出荷。2030年には56%に達する見込み。21年からの4年間で13%が市場普及の目安:21%に達している。キャズム理論によれば、イノベーターとアーリーアダプターの境界が13.5%と言われている。すでに20%を超えたLiDARはアーリーアダプターからアーリーマジョリティの市場に移行しつつある状態だ。
LiDARセンサーに特化したメーカーであるHesaiは、急速に拡大するLiDAR市場をADAS、自動運転、ロボティクスの3つアプリケーション分野に分けて考えている。


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