モメンタが自動運転AIの進化戦略を解説、データ駆動からフィジカルAIへ…EdgeTech+ 2026 予定

モメンタが中国・蘇州市で展開する、自動運転車両による物流
モメンタが中国・蘇州市で展開する、自動運転車両による物流全 2 枚

中国の自動運転技術開発企業、Momenta(モメンタ)は、11月18~20日にパシフィコ横浜で開催される「EdgeTech+ 2026」の構成イベント「オートモーティブソフトウエア エキスポ」で、自動運転技術に関する基調講演を行なう。

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講演は11月18日11時20分から12時05分まで。「Global Top10 OEMが中国で選んだ『Momenta』のE2E自動運転」をテーマに、同社の事業開発担当バイスプレジデント、勞世竑(ロウ・セイコウ)氏が登壇する。

講演では、創業から現在までの技術開発の歩みを振り返りながら、データ・フライホイール(自己強化サイクル)を中心とする「真のデータ・ドリブン」の実践手法と、フィジカルAIを見据えた将来構想を解説する。

●量産車の走行データでAIを進化させる

モメンタは、自動運転向けAIの開発を手がける中国企業だ。創業当初からAI主導のE2E(エンドツーエンド)技術を重視し、自動運転システムの量産車への搭載を進めてきた。

同社の技術開発の特徴が「データ・フライホイール」だ。量産車から収集した走行データを使ってAIを学習させ、改良した技術を車両に反映する。さらに、新たな走行データを収集してAIを改善するという循環を繰り返す。この仕組みは、量産車の普及がAIの性能向上につながり、性能の向上がさらなる普及を後押しするという考え方に基づく。

モメンタは、走行データの収集だけでなく、データの選別、学習、検証などの工程を自動化することで、開発速度を高めることをめざしている。特に重要なのが、発生頻度の低い特殊な交通状況への対応だ。自動運転では、通常の走行場面だけでなく、予測しにくい歩行者の動きや複雑な交差点など、多様な状況に対応する必要がある。

こうした「ロングテール問題」を大量の走行データから学習し、継続的に改善することが、データ・フライホイールの狙いとなっている。

●E2E技術で認識から運転判断までを統合

モメンタが開発を進めるE2E自動運転は、車両の周囲を認識する処理と、進路や運転行動を判断する処理を、統合したAIモデルで扱う技術だ。

従来の自動運転システムでは、物体認識、周辺環境の理解、経路計画などを個別の機能として設計する方法が一般的だった。これに対し、E2E技術では大量の走行データを使い、AIが運転に必要な判断を学習する。人間があらかじめ設定するルールへの依存を減らし、複雑な交通状況にも柔軟に対応することをめざす。

モメンタは、長期記憶と短期記憶を組み合わせたAIモデルの開発にも取り組んでいる。過去の情報と直近の交通状況を利用することで、運転判断の精度を高める考え方だ。

今回の講演では、こうしたAI技術を実際の量産車に搭載し、継続的に進化させる開発手法が焦点となるだろう。

北京モーターショー2026でR7世界モデルを訴求するモメンタ北京モーターショー2026でR7世界モデルを訴求するモメンタ

●世界モデルと強化学習でフィジカルAIへ

モメンタは2026年4月、北京モーターショーで「Momenta R7 World Model(R7世界モデル)」の量産導入を発表した。従来の自動運転AIから、現実世界の物理的な動きや相互作用を理解・予測する「フィジカルAI」への進化をめざす技術だ。

モメンタによると、フィジカルAIとは、現実世界の状況を理解し、その変化を予測しながら行動するAIを指す。モメンタは、その基盤となる技術として「世界モデル」と「強化学習」を重視している。世界モデルは、物体の動きや相互作用などを学習し、将来の状況を予測する技術だ。強化学習は、AIが行動と結果を繰り返し評価し、適切な判断を学ぶ仕組みとなる。

R7世界モデルでは、大量の実走行データによる事前学習、仮想環境でのシミュレーション、世界モデル内での強化学習という3段階の構造を採用した。これにより、実際の道路ではめったに発生しない危険な状況も、仮想空間で繰り返し学習できる。過去の運転事例を模倣するだけでなく、未経験の状況を予測して判断する能力の獲得をめざす。

モメンタによると、2026年4月時点でモメンタの運転支援システムを搭載した量産車は80万台を超え、70車種以上に採用された。採用が決定した車種は累計200車種を超えている。

モメンタは、量産車向け運転支援と、ロボタクシーなど高度な自動運転の開発を並行して進める「2本足戦略」も掲げる。量産車から得られるデータと高度な自動運転の開発成果を相互に活用し、技術の進化を加速させる考えだ。

●SDV時代の自動運転ソフトウェア開発を紹介

今回の基調講演では、モメンタが自動運転技術を量産車へ実装してきた経緯と、データを活用してAIを継続的に進化させる開発手法を取り上げる。また、世界モデルや強化学習を通じて、AIが現実世界を理解し、自ら判断する能力を高める将来構想も紹介する予定だ。


オートモーティブソフトウエア エキスポは、SDV(ソフトウェア定義車両)時代に向けた自動車開発とソフトウェア技術を取り上げる専門イベントだ。

EdgeTech+ 2026は、一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)が主催する、組込み・エッジ技術の総合展示会。会期は11月18~20日、会場はパシフィコ横浜の展示ホールとアネックスホール。入場はオンライン事前登録制で無料となっている。

《高木啓》

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