元BMWのデザイナーで同大学客員教授の永島譲二氏は、自動運転時代には車を選ぶうえでデザインの重要性が増すと指摘。外観だけでなく、さまざまな感覚を通じて「自動車に乗った」という実感を生み出す必要があると語った。
東京工科大学未来モビリティ研究センターは10月31日、特別シンポジウム「ポストAI時代のモビリティアーキテクチャ」を蒲田キャンパス(東京都大田区)で開催した。
シンポジウムは「デザイン・空力・自動運転がひらく街の風景」を副題に、カーデザイン、レーシング工学、自動運転技術などの専門家が議論した。永島氏のほか、レーシングカーデザイナーの由良拓也氏、未来モビリティ研究センター長の須田義大教授らが登壇した。
◆車を選ぶ基準はデザインだけになる
永島氏は武蔵野美術大学造形学部卒業後、オペル、ルノーを経てBMWに入社。『Z3』、『5シリーズ』(E39)、『3シリーズ』(E90)などの外観を手がけ、エクステリア・クリエイティブ・ディレクターを務めた。約40年間のデザイナー生活の前半はアナログ、後半はデジタルが主流だったといい、両者を比較できる立場から、AIと自動運転時代の課題を論じた。

永島氏は、運転が容易になってきた機械の進歩の延長に自動運転があると捉える。読書や仕事、睡眠などをしながら目的地に着けるようになるいっぽう、運転のしやすさや楽しさによる車ごとの差は薄れるとみる。「おそらく将来は、デザインぐらいしか車を選ぶ基準がなくなっちゃう。デザインの役割が、将来さらに大きくなる」。
◆「どれも同じ顔に見える」という印象
ただし、そのデザインに課題があるという。永島氏は旧車の価格上昇や、最近の車をつまらないと感じる声に触れ、「どれも同じ顔に見える」という印象に着目した。自身は、最近の車が過去の車に比べて特に似ているとは考えていない。デザイナーはそれぞれ異なる車をつくっており、実際に造形も違う。それでも、見る人が似た印象を受けている点が問題だと指摘した。
講演では、コンピューターで描いたデザイン画と、1960~70年代の手描きのスケッチを比較した。手描きには作者ごとの異なるスタイルがあるのに対し、現在のデザイン画は会社が違っても似た雰囲気に見えるという。
「何が昔と違うのかなっていうと、おそらく『サプライズ』なんじゃないかな。それがなくなってきた」




