遠隔地の救急患者を短時間で運び救命につなげる「ドクターヘリ」の運航を2月から始めた久留米大病院高度救命救急センターが、九州自動車道と九州横断道のパーキングエリアのうち35カ所でヘリが離着陸が事実上不可能になっていることを明らかにした。7日付けの西日本新聞で詳細が報じられている。
九州自動車道と九州横断道には、合計で46カ所のサービスエリア(SA)や、パーキングエリア(PA)があり、これらがドクターヘリの離着陸に使えるかどうかを、久留米大学医学部で救急医学を担当する加来信雄教授らの専門チームが調査した。調査の結果、離着陸が可能と判断されたのはわずか11カ所。
残りの35カ所では上部が曲がった首曲式照明灯が障害物となり、航空法で定められた「離着陸地点への進入コースである40メートル四方について、高さ15メートルまでの障害物が無いこと」をクリアできないことがわかった。また、駐車場を囲むように植えられた樹木があるため、大半の場所で同じく40メートルの空間が確保できないことも判明している。
これについて日本道路公団(JH)の九州支社では「SAやPAの建設時にはヘリの離着陸を想定しておらず、構造上ヘリコプターの離着陸が無理なのはたしかだ」とコメント。「ドライバーの安全を確保する点からも、他の場所で離着陸できないか調査、検討している」と取材に対し回答した。
ドクターヘリの導入が盛んなアメリカやドイツでは、ハイウェイやアウトバーンに直接ヘリコプターが着陸することもできる。しかし、日本では前述した航空法での安全基準はもちろん、規定のフライトプランを提出しないと運航ができないことになっているのだ。負傷者を緊急搬送するに最も適した手段なのだが、日本でのハードルはヘリコプターをもってしても飛び越せないほど高い。