2年間にわたる議論や政治工作を経て、道路公団民営化の設計図がようやく固まった。政府と与党は12月22日、「民営化の基本的枠組み」について合意。国交省は04年の通常国会に関連法案を提出し、法案成立後、05年度中に民営化が実現する。
この合意案をめぐっては、世論の後押しを受けて民営化論議をリードしてきた「道路関係4公団民営化推進委員会」のあいだでも評価が分かれるところ。「で結局、道路族と民営化委のどちらが勝ったの?」、「通行料は?」---こうした納税者・ドライバーの疑問に答えるため、合意案をわかりやすく紹介しよう。
■民営化形態は?
民営化に当たっては“上下分離”---道路資産を公的組織に持たせ、新会社は維持・管理に専念する方式が採用された。こうしないと、道路資産に莫大な固定資産税がかかったり(現行の公団方式は非課税)、法人税などの減免が難しくなるからだ。公的組織は独立行政法人、新会社は政府100%出資の特殊会社として設立される見込みだ。
まず、道路資産と約40兆円にのぼる有利子債務を独立行政法人に移管。この独立行政法人は、新会社から受け取るリース料で債務を返済していく。完済の期間は民営化後45年間。つまり、2050年ということになる。その時点で独立行政法人は解散し、道路資産は国に返されて無料開放となる。
「それだと、新会社がつぶれてしまうのでは…」という疑問はもっともだ。しかし、新会社はこの時点でサービスエリア(SA)・パーキングエリア(PA)事業(JRで言う駅ビル事業)や道路ネットワークを活かした通信インフラ事業などを大々的に展開している(はず)で、“本業”の通行料収入がなくなっても、こうした関連事業や維持・管理業務の委託で経営がたちゆくはず、というのが国土交通省の説明だ。
通行料金の話は後で詳しく述べるが、実は政府・与党合意文書には「料金の設定に当たっては、利潤を含まない」という記述がある。通行料で儲けてしまうと、法人税の課税対象になるため債務の支払いペースが遅れるし、そもそも「基本的に道路は無料」という道路法の趣旨にも反するからだ。
つまり、新会社にとって通行料は日銭としてフトコロに入るものの、自由に使えない。むしろSA・PA事業など道路関連ビジネスで儲けていく、というイメージなのだ。
新会社は全国6社でスタート。JHのみ3分割され、首都高や阪高など他公団はそのまま民営化される。JHの分割エリアは未定だが、東日本、中日本、西日本などとなりそうだ。小泉首相が意欲を示した株式上場は「将来、上場を目指すが、時期や方法は経営状況を見極めつつ判断する」と実質的に先送りとなった。
1/4■民営化形態は?
2/4■新たな道路の建設は?
3/4■で、通行料は?
4/4■結局は、得意の“先送り”