タイ深南部支配の象徴、パヤタニ大砲の模型爆破

エマージング・マーケット 東南アジア
爆破されたパヤタニ大砲の模型
爆破されたパヤタニ大砲の模型 全 5 枚 拡大写真

【タイ】11日、タイ深南部パタニー市のクルセモスク前で、約200年前の大砲「パヤタニ大砲」の模型が爆破され、砲身が2つに折れるなど大破した。タイ治安当局は深南部のタイからの独立を目指すマレー系イスラム武装勢力の犯行とみている。

 パヤタニ大砲はイスラム王国だった当時のパタニーの象徴で、1786年、パタニーに侵入したタイ軍により持ち去られた。現在はバンコクのタイ国防省前に置かれている。

 複製はタイ文化省が約300万バーツを投じ製造し、今月2日にクルセモスク前に設置されたばかりだった。

 クルセモスクでは2004年、軍、警察を襲撃した武装勢力のメンバー32人が立てこもり、軍の集中攻撃を受け全員が死亡する事件が起きている。

 マレーシアと国境を接するタイ深南部(ナラティワート県、ヤラー県、パタニー県の3県とソンクラー県の一部)には、もともとイスラム教のパタニー王国があった。1902年にタイに併合され、タイ政府が同化政策を進めてきたが、現在も住民の大半はマレー語方言を話すイスラム教徒で、タイ語を話せない人も多い。タイ語、仏教が中心のタイでは異質な地域で、行政と住民の意思疎通が不足し、インフラ整備、保健衛生などはタイ国内で最低レベルにとどまっている。

 こうした状況から、深南部ではタイからの分離独立運動が断続的に続いた。2001年からは武装闘争が本格化。2004年4月には、警察派出所や軍基地を襲撃した武装勢力をタイ治安当局が迎え撃ち、1日で武装勢力側108人、治安当局側5人が死亡した。同年10月にはナラティワート県タークバイ郡で、住民の逮捕などに反発したイスラム教徒住民約3000人が警察署前で抗議デモを起こし、治安当局による発砲などで7人が死亡、約1000人が逮捕され、逮捕者のうち78人が軍用トラックで収容先に移送される途中、窒息死した。

 タイ政府は両事件後、常時10万人以上の兵士、警官を深南部に送り込み、力で鎮圧を図ってきた。しかし、現在も連日、銃撃、爆破、放火事件が起き、事態が改善するめどは立っていない。武装勢力と治安当局の抗争による死者は2001年からこれまでに約6000人。分離独立運動に関与する住民は2万人以上に上るとみられている。

《newsclip》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

アクセスランキング

  1. ベントレーの超高級住宅、最上階は「55億円」 クルマで61階の自宅まで
  2. 【ダイハツ ムーヴ 新型】「ポッキー入れ」にイルミネーション、軽自動車でも質感を“あきらめさせない”インテリアとは
  3. 日産の新型セダン『N7』、発売50日で受注2万台を突破
  4. “夏ドライブ”の快適性を上げる、便利アイテム2種5品[特選カーアクセサリー名鑑]
  5. BMW、カーボン素材を天然繊維複合素材に置き換え、量産車に採用へ
  6. DAMD流の“WR-V究極完成形”はこれだ!アメリカンましましな『ダムド WR-V リヴァーブ』に一目惚れPR
  7. 「ハリケーン」エンジン搭載ジープが米警察車両に、「コマンド・オペレーション・ビークル」発表
  8. ついにハイブリッド化! 新型トヨタ『ランドクルーザー300』の発表にSNSでは「バク売れの予感」など話題に
  9. トヨタ『プリウスPHEV』、黒が冴える「ナイトシェード」設定
  10. 新時代の「ワーゲンバス」ついに日本発売、価格は888万9000円から
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  2. 独自工会、EV減速でPHEVに着目、CNモビリティ実現へ10項目計画発表
  3. 茨城県内4エリアでBYDの大型EVバス「K8 2.0」が運行開始
  4. 中国EV「XPENG」、電動SUV2車種を改良…新電池は12分で80%充電可能
  5. コンチネンタル、EVモーター用の新センサー技術開発…精密な温度測定可能に
ランキングをもっと見る