【東京オートサロン14】カースタイリングの原型、クレイモデルはこうして作られる

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すでに市販車として発売されたN-WGN。そのボディパネルの原型と言えるのが、このクレイモデルだ
すでに市販車として発売されたN-WGN。そのボディパネルの原型と言えるのが、このクレイモデルだ 全 5 枚 拡大写真

東京オートサロン、ホンダブースの奥ではちょっと変わったパフォーマンスが行われていた。

飾られていたのは、昨年暮れに発売されたばかりの『N-WGN』。しかし、良く見るとボディの質感が何だか違うし、所々茶色い部分がある。これは新車を開発する時に試作されるクレイモデルと言われるもの。つまり実物大の粘土細工だ。

本田技術研究所のデザイン開発室スタッフが、東京オートサロンの会場まで運んできたのである。見た目はN-WGNそのものだが、実際にはタイヤは回るものの、舵は一切効かない1/1のミニカーのようなものなので、運ぶのはさぞかし大変だったと想像していたら、最近はタイヤを持ち上げるジャッキなど色々便利な道具があるので、それほど大変ではなかったそうだ。

話を聞いたのはデザイン開発室 第1ブロック2スタジオの有定さん。ホンダの場合1スタジオはデッサンで、2スタジオがクレイモデルを担当する部署なんだとか。

クレイモデルにはまず車台として鉄骨でシャーシが組まれ、それにタイヤが付く。その上に発泡ウレタンで大体のクルマのカタチを作り、そこにクレイを盛り付け、クルマのカタチを削り出していくそうだ。

大まかな寸法があるのかと思って聞いて見ると、これが完全なフリーハンド。デザイナーのスケッチを見てイメージを掴みながら形状を作り上げていくそうだ。まず片側を仕上げたら、反対側は機械で反転して自動で削れると言うが、けっこう重労働でもある。大体1週間の平日、つまり5日間で1台のクレイモデルが作り上げる、というのが一般的なペースらしい。

ちなみにクレイの色や素材の配合は、自動車メーカーによって少しずつ異なるのだとか。つまりすべてオーダーで専用のクレイをブレンドしてもらっているのである。昔は切削性を高めるための素材として硫黄が配合されていたが、産業廃棄物として環境に悪影響を及ぼすことから、現在はガラスの微粉末に変えられているそうだ。

オートサロンでは一度仕上げられたクレイモデルに粘土を再び盛り、シェイプを研ぎ出すという作業をデモンストレーションしていたのだ。完成したモデルなので、削り過ぎて失敗したら修正が大変なのかと思ったら、クレイを盛り直せばすぐにまた削り直せるそうだ。

なお、このNワゴンに取り付けられていたヘッドランプは試作品なので、左右のライトで隣のブースにあったメルセデスのAMGモデルが余裕で買えるほど高価らしい。カスタムやチューニングも刺激的で楽しいけれど、ノーマルの市販車も開発時には感性がモノをいうレベルの仕事が成されているのである。

《高根英幸》

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