クルマの顔には知性がある…ボルボ XC40[デザイナーインタビュー]

ボルボエクステリアデザイン部門バイスプレジデント兼チーフデザイナーのマクシミリアン・ミッソーニ氏
ボルボエクステリアデザイン部門バイスプレジデント兼チーフデザイナーのマクシミリアン・ミッソーニ氏全 16 枚

日本カーオブザイヤー2018-2019でイヤーカーに選ばれたボルボ『XC40』。単に小型化した「XC」シリーズに見せるのではなく、独自の個性を持たせるようデザインされたという。そこで、そのポイントについてデザイナーに話を聞いた。

【画像全16枚】

クローンではない、やんちゃな従兄弟

----:XCシリーズの中で最も小型のXC40ですが、ほかの『XC90』や『XC60』と比較し、大きくデザインのイメージが変わっています。そこでまず、XC40のデザインコンセプトを教えてください。

ボルボエクステリアデザイン部門バイスプレジデント兼チーフデザイナーのマクシミリアン・ミッソーニ氏(以下敬称略):まず気をつけたのは単にXC60を単に小型化したクローンモデルではなく、全く別の性格を持たせるということでした。具体的にはXC60やXC90に比べるとXC40はもっと若々しく、ちょっと生意気な従兄弟というイメージ。英語でいうとファンキー、家族とはちょっと違う、毛色の違う感じを持たせようとしました。

実はこういった新しいコンセプトを作る場合、2つのチョイスがあります。ひとつは素晴らしいデザインを作って、それを大型から小型まで全く同じメッセージを、サイズを変えるだけで伝えるというやり方です。

しかし、我々はそれとは全く違うやり方をしました。つまり、セグメントごとに全く違う性格を打ち出したのです。もちろんこれはより時間がかかることになります。なぜならばそれぞれのセグメントごとに個性を与え、再度デザインを作り直さなければいけないからです。しかしこれこそが正しい道だと我々は考えました。

その結果を靴に例えてみましょう。XC90は非常にエレガントな黒の革靴。XC60はプレミアムで上質なスウェードの靴でよりスポーティなイメージですね。そしてXC40は高級なスニーカーと、全く違うファッションステートメントになりますが、それでも同じファミリーで同じ質の高さを持っているわけです。

実際にそれをデザインに当てはめてみると、XC90は大変誇り高く、どちらかというと建築物のような荘厳さを感じさせています。XC60はもっとダイナミックでスポーティ、筋肉質なイメージが感じられるでしょう。そしてXC40は、よりロボティックのデザインで、あまり流れるようなイメージではなく安定した質実剛健なイメージを持たせています。

ネコではなくイングリッシュブルドッグをイメージしたフロント

----:もう少し具体的にXC40のデザイン的な特徴を教えてください。

ミッソーニ:まずはフロント周りでは、XC90は大きな鼻、そして強い顎、そして焦点の合った鋭い目と持ったライオンをイメージしていますが、ライオンをもっと小さなイメージにしたらネコになってしまうでしょう。これは避けたいので、我々は違う動物、XC40ではイングリッシュブルドッグをイメージしています。

そうすることで、生意気でちょっと強気な若々しい性格をフロント周りで表現しています。少し前傾斜したグリルやヘッドランプを形成すると同時に、左右の端がボンネット側に蹴り上がっています。これは俊敏性を示しているのです。

また、ウインドウグラフィックもサイドの後端では蹴り上がっており、若々しさとともにクリーンなボディセクションを強調しているのです。

実はもうひとつ、私が誇りに思っているデザインではスタンスがとてもいいことも挙げられます。つまり路上にいる時に存在感があるということです。これはフロントに比べてリアトレッドが数センチ広くなっていることによってもたらされている効果で、ショルダーを強調し、スタンスの良さを感じさせているのです。

前後ランプがシグネチャー

----:それぞれのクルマごとに個性を与えていることはわかりました。その一方でボルボらしさ、ここ最近のボルボのデザインアイデンティティを盛り込んでいかなければいけないと思うのですが、そのバランスはどのように考えているのでしょうか。

ミッソーニ:とても良い質問ですね。これはプロとしてのデザイナーのコアともなるような非常に重要な点です。

まず我々がよくシグネチャーと呼ぶ独特なアイテム、つまり一目で見てボルボが他のメーカーとは違う、差別化されているという部分はキープしています。

具体的には、トールハンマー型のヘッドライトや、縦型のテールランプです。最近では他のメーカーでも似たようなものが出て来ましたが、しかしこれを見れば絶対にボルボとわかってもらえるでしょう。また、サイドのウインドウグラフィックもボルボ独自のものを採用しています。

クルマの顔は人の顔と同じ

----:ではあなたがこのクルマのデザインで最も好きなところはどこですか。

ミッソーニ:ボンネットについているスウェーデンの国旗ですね(笑)。

難しい質問ですが、これは必ずしもXC40だけの話ではなく、ボルボ全体でいえることなのですが、フロント周りで知性を感じることができることです。クルマに知性とはどういうことかと思われるかもしれませんが、例えばガラスや鉄やプラスチックでできていたとしても、そこには人相があり、デザイナーとして知性を与えることができたことに私は誇りを持っています。あまりアグレッシブでもなく、親しみやすすぎるわけでもなく、知性があるということが重要なのです。それがイコールブランドだと思っていますので、とても上手く表現できたと思います。

1920年代に初めて規制ができて、クルマと定義するためには必ず左右にランプがなければなりませんでした。それ以来我々は全てのものに人の顔を意識するようになったのです。フロント周りを擬人化することによって、感情的な繋がりが生まれてきます。そういった意味で、クルマと人とを感情的に繋ぐという点で顔つきは重要なことなのです。

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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