【SUPER GT 第5戦】レクサスの大嶋和也&山下健太、“逆転独走優勝”で2連勝…GT300クラスはランボルギーニ87号車トリオが勝利

GT500クラス優勝の#6 LC500。
GT500クラス優勝の#6 LC500。全 15 枚

SUPER GT第5戦「富士500マイル」は4日、決勝日を迎え、GT500クラスはレクサスのWAKO'S 4CR LC500 大嶋和也&山下健太が予選11位からの“逆転独走優勝”で2連勝を果たした。GT300クラスもT-DASH ランボルギーニ GT3 高橋翼らのトリオが予選13位からの逆転で勝っている。

前日以上の暑さも感じられた富士スピードウェイ。決勝レース直前のウォームアップ走行で赤旗中断があり、レース開始(パレードラップ発進)は当初予定より10分遅れの午後1時40分となった。177周、500マイル(約800km)の戦いは最低4回のドライバー交代を伴うピットストップが規則で義務づけられるため、これを前提にしたピット戦略を各陣営が組み、熱暑の戦いに臨む。

今回のレースは今季唯一の“長距離割り増しポイント”適用戦で、優勝なら通常の20点より5点多い25点を獲得できる(決勝2~10位も割り増し得点)。シリーズタイトル争いにも大きな影響を及ぼす可能性が高く、猛暑下での長距離戦であることも含め、多面的に“サバイバルな一戦”といっていいだろう。GT500クラス15台、GT300クラス29台の合計44台が、パレードラップ~フォーメーションラップを経て、過酷な500マイル戦のスタートを切っていった(両クラスに1台ずつピットスタート車両あり)。

レースは2度のセーフティカー(SC)導入があり、177周を完了する前にレース終了時刻の午後6時40分を迎えることになるのだが(175周で終了)、GT500クラスの戦いは2度目のSC導入が戦局を大きく動かし、そして決定づけることとなった。

GT500クラスの表彰台(中央左が大嶋、右が山下)。GT500クラスの表彰台(中央左が大嶋、右が山下)。

上位が106周目を終える前後の頃合い、トラブルらしき状況で緊急停車したマシンが出火し、結果的にこの日2度目のSC導入に(ドライバーは無事)。SC導入と同時に規則でピットロードはクローズされるのだが、その直前、このとき2番手を走っていた#6 WAKO'S 4CR LC500(大嶋和也&山下健太/タイヤはブリヂストン=BS)が絶妙なタイミングで3回目のルーティンピットに入っていたのだ。

2秒前だった、という話がレース後には伝わってきており、まさしく絶妙かつ最高のタイミングだった。他の上位陣がSC明け後に相次いでピットインすると、#6 LC500は丸々1周近いリードを奪い首位に立つこととなったのである。

#6 レクサスLC500は予選11位からの優勝。#6 レクサスLC500は予選11位からの優勝。

前戦優勝でドライバーズポイントリーダーとなり、今回は厳しいトップハンデでの臨戦ながらも予選11位から着々と追い上げてきていた#6 LC500。大嶋&山下の見事な走りとチームの万全の戦略と準備が勝利の女神をひきつけた、そんな印象の“決定打”であった。居た位置が幸運だったことはあるが、SCが出るか出ないか、出るまでの(わずかな)時間的猶予はあるかないかを冷静に判断したピットが呼び込んだ最良のタイミングであり、コクピットの山下がしっかり状況を確認しつつ入ったからこそ得られた大量リードだった。

その後は最大で80秒近くのマージンを大事に使って、実質のトップの座をしっかりキープしてゴールイン、#6 LC500は前戦に続く2連勝を飾った。大嶋&山下はドライバーズポイントを60に伸ばし、ランク2番手に対するリードは16点、タイトル獲得に向けて大きく前進している。彼らがこのまま王座に輝いた場合、今回の勝因となった顛末はその意味でも決定打となるだろう。

GT500クラス決勝2位の#1 NSX。GT500クラス決勝2位の#1 NSX。

レース後、大嶋は「こんなチャンスはなかなかこない。逃さないように、しっかり戦っていきたい」と、残り3戦のチャンピオン争いを睨んで決意を固めていた。

GT500クラスの決勝2位は昨季王者の#1 RAYBRIG NSX-GT(山本尚貴&J. バトン/BS)、3位にはポール発進だった#23 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生&R. クインタレッリ/ミシュラン=MI)が入り、レクサス、ホンダ、日産が夏の富士の表彰台を分け合った。

GT500クラス決勝3位の#23 GT-R。GT500クラス決勝3位の#23 GT-R。

決勝4位は#37 KeePer TOM'S LC500(平川亮&N.キャシディ/BS)。前戦終了時1点差でドライバーズポイントランク2位だった平川&キャシディは、ランク2位は守ったが#6 LC500との差は前記したように16点へと開いている。

決勝7位までがトップ同一周回で、5位は#12 カルソニック IMPUL GT-R(佐々木大樹&J.ロシター/BS)、6位が#16 MOTUL MUGEN NSX-GT(武藤英紀&中嶋大祐/ヨコハマ=YH)、そして7位に#8 ARTA NSX-GT(野尻智紀&伊沢拓也/BS)という順位だった。

GT500クラスのスタートシーン。GT500クラスのスタートシーン。

GT300クラスも#87 T-DASH ランボルギーニ GT3(高橋翼&A. クート&藤波清斗/YH)が予選13位から戦略をうまく機能させるなどして見事に逆転優勝している。決勝2位はポール発進だった#52 埼玉トヨペットGB マークX MC(脇阪薫一&吉田広樹/BS)。3~4位はNSX勢で、#34 Modulo KENWOOD NSX GT3(道上龍&大津弘樹/YH)、#18 UPGARAGE NSX GT3(小林崇志&松浦孝亮&山田真之亮/YH)の順。

5位は優勝車の僚機である#88 マネパ ランボルギーニ GT3(小暮卓史&元嶋佑弥/YH)。6位にはドライバーズポイント首位=トップハンデでこのレースに臨んだ#55 ARTA NSX GT3(高木真一&福住仁嶺/BS)が入っている。なお、GT300クラスは優勝車が163周、2~11位が162周を走破してのチェッカーフラッグだった。

GT300クラス優勝の#87 ウラカンGT3。GT300クラス優勝の#87 ウラカンGT3。

真夏の富士長距離バトルを終え、SUPER GTの2019年シリーズも残りは3戦。次戦第6戦は九州のオートポリスで9月7~8日に開催される。

《遠藤俊幸》

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