【ダイハツ ロッキー 新型】インテリアがコンセプトカーから大きくイメチェンした理由[デザイナーインタビュー]

ダイハツロッキー インテリアファイナルスケッチ案
ダイハツロッキー インテリアファイナルスケッチ案全 14 枚

ダイハツ『ロッキー』のインテリアは、コンセプトカー『DN TREC』をベースとしながらも、センターコンソールを高く配するなど様々なデザイン上の工夫が凝らされている。そこで、デザインを取りまとめたダイハツDNGAユニット開発コネクト本部デザイン部第1デザイン室国内スタジオ主担当員の奥野純久さんに話を伺ってみた。

赤い差し色は鞄からヒント

ダイハツ DN TRECインテリアダイハツ DN TRECインテリア
「DN TRECのインテリアはエクステリアと同様に、出来るだけシンプルで軽く見せるイメージでデザインしている。

しかし市販車ではそのまま作るのではなく、一度フラット(クリア)にした上でどういうアイディアや世界観が作れるかを考えた」と奥野さんはいう。あえてなぜフラットにして、いちから考え直したのか。奥野さんは、「DN TRECのコンセプトのまま作るのではなく、もっと他にも良い考えやアイディアがあるのではないか」ということからいま一度考え直すことにしたのだ。

ダイハツ ロッキー インテリアアイディアスケッチ案ダイハツ ロッキー インテリアアイディアスケッチ案
その結果、「カジュアルで楽しそうな雰囲気ということで、“マルアイ案”に決まりかけた」と奥野さん。しかし、ダイハツ社内でのこのクルマの位置づけは軽自動車の上、いわば上級車だ。そこを踏まえると、「少し玩具っぽすぎるのではないか。もう少し“しっかりと”運転が出来る雰囲気を織り込んだ方がいいという話になった」という。

そこで視界をよくすっきりと見せるために、インパネ上面は出来るだけ何もないようにしていった。その考え方は、「このクルマは、シティーユースがメインであるもののSUVなので、アウトドアに出かけることもあるだろう。その時にワクワクしたり、運転すること自体により重きを置こうと、もう少しコックピット感を演出ようにした」と話す。

ダイハツロッキー インテリア”マルアイ”スケッチ案ダイハツロッキー インテリア”マルアイ”スケッチ案
しかし、決して過度にはしないように、センタークラスターは4.5度ぐらいドライバー側に傾けられた。奥野さんは、「どのくらい傾ければコックピット感が強すぎず弱すぎずになるかを調整していった結果の角度」とのこと。また、設計的にもそのくらいであれば問題ないことから採用された。

また、ドライバーを中心に運転席周りは囲まれた雰囲気にしようとしながらも、決してそこに偏ることなく、当初のコンセプトである軽さは持たせながら、「SUVの強さやワクワク感を与えるために、アウトレットなどのパーツを少し大きめにして、差し色などを入れて楽しさ感も与えた」と述べる。

さらにフロントコンソールポケットなどにも赤の差し色が入れられた。通常そういったポケットは真っ黒だが、「例えば鞄などの中を見るとオレンジ色が入っていたりする。そこをヒントにした。赤い中に携帯などの黒い物を入れた時に見つけやすい」と奥野さん。そういった普段使っている鞄の良さなどの雰囲気を赤い差し色を入れることで表現。因みにコストに関しては、「これまでも内側に別パーツを使用しているので単に色を変えただけ」とのことだった。

ダイハツロッキー インテリアファイナルスケッチ案ダイハツロッキー インテリアファイナルスケッチ案

コンソールを高くすることでハッチバックベースのSUVとは異なる印象を

奥野さんによると、エクステリア同様インテリアにおいても通常のハッチバックをベースに背を高くしただけのSUVに見せたくないことから、「コンソールを高い位置に配した。普通のハッチバックは低い位置にあり広々感を演出。しかしこのクルマの場合はインパネが左右に広がり、そこにしっかりとした骨太のコンソールがついている形状だ。ドアを開けた時にこのコンソールが一番目立つようにレイアウト。さらにセンターコンソールにシルバーの加飾を入れてより目立つようにした」と説明。

こだわりのひとつであるメーター周りは、「フル液晶風といっているが、7インチの小さいものと以前からある別のユニットを組み合わせることで大きく新しく見せている」と話す。奥野さんは、「最初の企画ではもう少し小さいデジタルが入る予定だったが、新しさと画面が切り替わることでお客様をワクワクさせたいと、企画部門と設計部門に投げかけて、こだわって作り上げた」という。

ダイハツ ロッキーダイハツ ロッキー

靴のジオメトリックパターンをシートに再現

インテリアカラーも、「“洗練”、“クリア”、“アクティブ”、“パワフル”、“独創的”といったキーワードをもとに、内装デザインの考え方である、機能的なところと、Aセグメントならではの親しみやすさ、優しさ、そして若者が反応するような靴などのイメージをいかに室内に取り入れられるか。そこを重視しながら時間をかけてデザインした」と奥野さん。

また前述のコンソールなどの赤の差し色も、「単体で見るとくすんだ赤だが、黒を基調とした室内で丁度いいぐらいの赤を何種類も作って進めていった」という。

シートの表皮部分では、「若者が履くような靴のジオメトリックなパターンなどを組み合わせた」と説明。本来上級グレードと標準グレードでは表皮などは変更するが、「出来るだけイメージ統一し、かつ、お客様に安い価格で提供するために、センター部分は同じ表皮を使用。サイド部分を標準はファブリック、上級はレザーを使って差別化。またステッチやパイピングなどで印象を変えている」と、イメージを残しつつ変化も持たせていることを語った。

ダイハツ ロッキーダイハツ ロッキー
ダイハツ ロッキーダイハツ ロッキー

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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